短歌連作10首「琥珀の領分」



琥珀の領分    橋爪志保

笑いながら バイエルは60番 目くばせしない大人を探す旅

まばゆければ 銘菓ひよ子の入学式をあなたはひとつ持っているのだから

ブロウクンハートのそばに棲んでいる卑猥な天使 スープのわかめ

ゲームキューブの取っ手をにぎり持ち上げて消費ではない楽しさのころ

思わないことだけがある木曜日生まれたいとは思わなかった

空に馬 紙が波打つ意味なんてわかりすぎる 手のひらは日影すぎる

背泳ぎは息が空から吸えるから習わないけど美しかった

同じ色を探す過程でまぎれこむサーモグラフィーの虹のなか

給水機の列から見えるワンピース糸狂おしいから糸でてる 

明け方の〈児童わいわいセンター〉の後悔をともなう琥珀色


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