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勝田

常磐線は、2015年から「上野東京ライン」とも呼ぶ。
東北本線系統の列車を東京駅へ乗り入れさせて、並行する山手線や京浜東北線の混雑率が大幅に緩和される意図で再編成された。との説明を読むと、「はあ…」と分からんでもないのだが、逆コースで来た人間にとって、水戸くんだりで、上野とか東京とかの名称が出てくると、なんでやねん!?となる。
が、下り列車のみそう呼び、上り列車では呼ばないそうなので、溜飲は下がる。

そんな配慮に満ちた常磐線(上野東京ライン)だが、昼間は水戸駅で乗車すると、土浦駅で降ろされる。
ほぼ1時間ぐらいの距離なので、運転手の交代など鉄道側の運用上、都合のよい方法なのだろうが、運転手や車掌を交代させるだけで、車両はそのままにしてくれればいいのに。と思う。

そういえば、常磐線は照明が消えるトコが無くなったなぁ。


勝田駅は国営ひたち海浜公園の入り口的駅

勝田駅は、常磐線の水戸駅から1駅先(北側)に有る。
勝田市は、日立製作所の企業城下町として発展した工業都市だが、那珂湊市と合併し現在は、「ひたちなか市」となっていて、「なかみなと」の「なか」は残ったが、「かつた」は何も。
NHKの「おはよう日本」を見ていると、国営ひたち海浜公園のネモフィラやコキアが映り、人気なんだなぁ、と神奈川県在住のオレには、「たぶん行くことはないかなぁ」ぐらいの「遠いところ」という印象が有るが、勝田駅は、「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」の会場だった国営ひたち海浜公園の入り口的駅なので、ロバート・インディアナの「LOVE」をオマージュした「ROCK」のモニュメントが有る。

ロバート・インディアナでないROCK
ROCK IN JAPAN FESTIVAL の出場ミュージシャンの名前が記されたプレート

「勝田駐屯地・施設学校 開設72周年記念行事」にかこつけて、神奈川県民が勝田くんだりまで、電車を乗り継いで行ったワケだが、5時の始発電車に乗って、勝田駅に着いたのは8時半だった。

勝田駅から勝田駐屯地は歩いても20分程度なのだが、なんと無料シャトルバスが運行される。
小松基地の航空祭なんぞ、小松駅から歩くと小一時間かかるのに、多くの人が歩いとるぞ!? 俺も歩いたし!
開けた田園風景の中を多くの人たちが永遠と列をなして歩く姿は避難民の様でもある。石川県民は我慢強いんか!?
逆に、茨城県民はそんなに歩きたくないのか!?

まあしかし、このシャトルバスがクセモノで、1台で運行していて、たまに招待客を運ぶはずのマイクロバスが加勢に来てという感じで、勝田駅西口は常に、駅エレベーターから乗場まで列が続いた。
歩いて20分程度、車だと5分程度の距離なのだが、バスは基地の裏側から入るので、金上十字路という交差点でなかなか右折できなかったり、補助席まで乗るので、乗車時も降車時も時間がかかったりと、意外に時間がかかるのだ。
俺の場合、勝田駅西口を降りてから、シャトルバスを下車するまで、1時間強かかった。歩いた方が早かった。
石川県民だったら迷わず歩いていた。

実弾籠めてないのかな?

9:40からの観閲式が始まっていた。観閲式では、兵隊がグラウンドに整列し、基地の親分の話があったり、来賓の国会議員のお祝いの言葉があったりするが、左翼の国会議員は出席しない。
共産党の議員が出席し、「この~!人殺しの手先ども!!」などとお祝いの挨拶をして、整列した兵隊たちによる一斉射撃を受けたらお祭り騒ぎだね!(きゃは)と思うが実現していない。

俺のお目当ては、11:25からの訓練展示なので余裕なのだが、続く観閲行進の間に、みるみる厚い雲が垂れ込め、辺りは暗くなり、11:00頃には雨が降り始めた。
俺はいち早く、陸上自衛隊施設学校のロビーに逃げ込んだので、持っていった傘を出すことも無かったのだが、あっという間にロビーは人で溢れかえった。
窓から外を眺めていると、訓練展示は中止というアナウンスが有った。目当てが消えた。
大砲を撃つと恐ろしいぐらいの音と振動が有る。建物の窓ガラスは割れるのではないか?と思うぐらい震える。
種類は違うが、ウクライナに侵攻してきたロシア人を大量処分しているはずの大砲の威力を久しぶりに味わいたかったのだが…

周りが市街地の基地の装備はキャタピラーでない方が正解
タイヤもきれい

当初通り雨と思われた雨も長引きそうな予報に変わった。
俺は帰るタイミングを計った。小降りになるのを待った。

グラウンドとは逆の入り口から、シャトルバスという単語が聞こえた。
駅まで歩くつもりだったけど、遠くで乗車するはずだったシャトルバスが学校の入り口まで来ていた。
たぶん帰りの第1便だったと思うけど、乗ることができた。
近くの席のオバちゃんは横浜から来たと言っていたから、俺と同じような人が居たと知った。

F-4 ファントムⅡ

茨城県には百里基地が有り、ついこないだまで、F-4 ファントムⅡが主力装備で、ベトナム戦争では活躍したかもしれんが、現代においては、知波単学園の九七式中戦車のような戦闘力で、俺が知っている範囲では、偵察という写真撮影しかしていなかった。
当時、百里といえば、地元民がケロヨンと呼ぶカエルのマークでお馴染みの第301飛行隊で、この部隊は、2020年末に三沢基地に移駐したので、筑波山のガマガエルは遠い下北半島の根本に行ってしまい、さらにF-4ⅡからF-35Aという最新戦闘機に変わってしまった。
そんな百里基地では航空祭が開催されるし、航空観閲式は百里基地で行われる。
航空祭には出店(でみせ)が有り、地元の店やテキ屋が店を出す。
値段は、お祭りの出店と同じく少々お高い。が、そもそも基地の食堂を開放しているワケでもないし、お祭り気分で買う客が多い。
当たる店は、列ができ、大儲けする。品切れを起こすワケにはいかない。
足らないぐらいであれば、余らす方を選ぶ。販売機会を逃すワケにはいかない。充分な材料を仕入れる。
コンビニで大量の恵方巻を仕入れる理由と同じ。関西以外ではそんな縁もゆかりも無い割高なだけの巻き寿司を買う愚か者は少ないので、大量廃棄となる。
「勝田駐屯地・施設学校 開設72周年記念行事」にも数店の出店が有ったが、「後で見よう」と思って、結果覗くことは無かった。
雨の自衛隊の祭典の後は、地元の豚小屋の夕食や翌日のメニューが豪華になると聞いたことがある。
ブタちゃん。いっぱい食べてね。

第301飛行隊
三沢のケロヨン

コンビニで買っていたオニギリを2個食べたばかりだったけど…
勝田はスタミナラーメンが名物だということを2日前に知ったばかりだった。
「スタミナラーメン松五郎」が元祖らしいが、駅から遠い。
駅から歩いて行ける「手打ちらーめん 大進」がいいかなぁ。と目星を付けたのだが、この店は 11:30 から 14:00 までしか開いていない。
本来、15:00までたっぷり基地に居るつもりだった俺は諦めていたのだが、営業時間中に行ける!

11:45 頃店に到着。4人並んでいる。
迷わず並ぶ。
向かいのラーメン屋は、そこそこ客が入っているが、並んではいない。うん。正解かもしれない。
正午前に入店できた。

冷やしスタミナラーメンを選ぶのが当たり前と思っていた俺は、「並ひとつ」と注文すると、「焼肉並ですか?」と聞き直された。
「いや、スタミナラーメン」と答えると、「冷やしですか、ホットですか?」と聞かれ、「なぜ、焼肉なのだ?なんだそれ?」と動揺していた俺は何故か「ホット」と答えてしまった。

俺の隣の常連さんは「焼肉・冷やし・ダブル」と注文した。
その後もみんな焼肉ラーメンをダブルで注文していた。
店のテントにも「スタミナラーメン」と書いてあるのに!?
餃子を注文する人も多いが、オニギリで腹いっぱいのオレは、ラーメン並でさえ厳しい。などと落ち着かないままスマホを見ているふりをしている内に着丼。

スタミナラーメン

うぅ… すごくインスタ映えする姿!
説明なしでは何か分からない。説明しても分からない。

ファブル並みに猫舌の俺は、汗と鼻水を吹き出しながら悪戦苦闘してなんとか食べ終え、支払いを済ませ、外の涼しい空気でクールダウン。
沢尻エリカみたいな感想だったが、一応体験できたのでヨシとする。
何はともあれ、「名物」というものが有るコトはいいことだ。
しかし、焼肉ラーメンが気になる…

向かいに立地する

常磐線のドアは押しボタン式なので緊張するが、今からの季節、特急通過の駅ではドアを開けたままでは車内は冷え切ってしまうから正しいのだ。

予定より随分早い帰路となったが、遠いからいいのだ。
車窓から見える、戸建ての庭には結構な割合で柿の実がなっていて、「柿なんて買うものでなく貰うもの」と言っていた田舎出身の人の言葉を思い出したが、こんな数の柿があったら、近所で貰うと迷惑かもしれないなぁ。と思ったし、高齢化も進んでいるだろうから、もがれることもなく、落ちて終わりなのかなぁ、とも思った。

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