【NFT】日本国内NFTアート業者が展開する「ハイブリッド方式」の可能性
はじめましてのヒトは、はじめまして。
いつもの皆様、こんにちわ。
大葉さんです。
前回のお話
今回は、ちょっとビジネス寄りのお話。でも、とっても大切なお話。
純粋なWeb3信者、クリプト信者の方々には受け入れられないお話かもしれませんが、NFTアートを一般普及させるにあたって避けて通れない、技術的な課題、金額的な課題を解決するために、「どのように妥協するべきなのか」というお話。
個人的には、ワタクシはこの流れに大賛成です。
なぜこの記事を書いたのか
某日本国内NFTアート業者が展開する、プライベートブロックチェーン+パブリックブロックチェーンのハイブリッド方式が「ビジネス的に」素晴らしいポテンシャルを秘めていると感じた為です。
「NFT冬の時代」と言われる昨今の流れを打破する可能性に満ちていますので、解説していきたいと思います。
以後、詳細です。
■前提知識:プライベートチェーン、パブリックチェーン
パブリックチェーンについては説明不要かと思います、ビットコインや、イーサリアムのことを指します。
プライベートチェーンについては、DMMビットコインさんの以下の記事をご一読ください。紹介されている「コンソーシアムブロックチェーン」は、本noteではプライベートチェーンの1形式として取り扱います。
メリット、デメリットについては、こちらの記事がわかりやすいです。
簡単にいうと「プライベートチェーンはセキュリティ等にメリットがあるが、参加者が限られる上に、参加者全員で合意すれば仕様変更やデータの改竄が容易であり、透明性に欠ける」が結論です。
■前提知識:NFTに紐づいたデジタルイラストの真偽判定に関する問題点
かつてNFTで実現可能と考えられていた「幻想の一つ」に「デジタルで作成した絵画や音楽などを唯一無二の作品として証明できる」というものがあります。
<Case1:パブリックチェーンの場合>
NFTアートとして表示されるデジタルアートは、ブロックチェーン上に公開されているトークンと紐づけられています。紐づける方法は一意ですが、紐づける先の電子データの保管方法は任意です。マーケットプレイスの共用サーバ(OpenSeaの共有コントラクトなど)、NTFSなどが一般的ですが、企業名義契約のクラウドサーバ、自分が建てた個人画像置き場なども指定できます。もし、これらの画像そのものを悪意をもって置き換えられた場合、唯一無二の証明が崩れます。
ただし、ブロックチェーンにより、トークンの流通経路は追跡可能です。
<Case2:プライベートチェーンの場合>
NFTアートとして表示されるデジタルアートは、プライベートチェーン運営会社が定義した方法で、唯一無二の証明が行われているってことになっています。外部にいる第3者から確認する方法はありません。
だって公開されていないからこそのプライベートチェーンですもの、運営会社様を信じましょう、トラストミー
つまり、プライベートチェーンの場合は、第三者目線で唯一無二と証明する手法がありません。Web 2.0ビジネスの延長上にあります。
ただし、レガシーな手法であるが故に「NFT発行者を限定できる」「偽物コレクションを見つけた際、運用の一存で排除できる」「悪意ある行動をとった業者に対して、利用規則に基づくペナルティを適応できる」「データの移動に関するコスト(ETHでいうガス代)がとても安い」というビジネス上のメリットもあります。ここ、テストに出ます。
■本編:プライベートチェーンと、ハイブリッドチェーンの「良いとこ取り」
はい、ようやく本編です。
パブリックチェーン型NFTアートの場合:
→誰が作ったかわかんなくて怪しいものが混ざる
→誰でも使える
→流通コストは高い
→流通経路は追跡可能
プライベートチェーン型NFTアートの場合:
→誰が作ったかは明確
→特定サービスでしか使えない
→流通コストは安い
→流通経路はサービス提供者を信じるしかない
結局はこういうことですね、良いですね。
では、それぞれの良いとこ取りをしましょう。
ハイブリッド型NFTアート:
→最初の発行はプライベートチェーン
→同一サービス内の売買はプライベートチェーン
→他のサービスで使いたい方には、NFTアートを
(有料オプションで、別途費用を頂いて)
プライベートチェーン型からパブリックチェーン型に変換
→他サービスのNFTアートをプライベートチェーンで販売したい場合は
『引換券』的なNFTアートを、サービス運営者が作成して流通させる
こんな感じです。
特定のサービス上で「NFTアート」という名前のついた「デジタルスタンプが欲しい客層」にとっては、唯一無二性や流通経路なんて、気にならないのです。友達や家族の会話の際に、ポチッと送れれば、それでOK。
いっぽうで、入手したNFTは全て、OpenSeaで眺めたり、onCyberで飾ったりしたいというニーズを持っている客層も、間違いなく、いらっしゃいます。(世界規模ではこちらの方が多いですが、日本に限定すると「デジタルスタンプが欲しい層」の方が多いように見えています)
この2つの客層、両方にアプローチするための、最も良い「妥協策」がハイブリッド型NFTアートです。
■理想論は理解したけど、現実的に問題、実装できるの?
はい、本方式を実装済みの日本国内NFTアート業者がすでに存在してします。
GMO Adam
プライベートチェーン⇔パブリックチェーン機能を「入出庫」と記載しています。2021年9月に実装済み、先見の目が凄いですね!
ヘルプページ「Adam byGMO上で取引されるNFTとブロックチェーンについて」の記載「なお、Adam byGMOにおける取引(出品・購入・売却・入札)は、Ethereumブロックチェーン上には記録されません。」を見る限り「入出庫」以外の取引はETH以外のプライベートチェーンで実施されていると推測されます。
Adamが、他のマーケットプレイスと比べて安価に商品を提供できる理由の一つが、このプライベートチェーン活用となります。
■凄い、私もハイブリッド型NFTアートを発行したい
個人クリエイターの方々には、ここで残念なお知らせをお伝えしなければなりません。現状、ハイブリッド型を採用している国内NFTマーケットは「法人契約をしたクリエイターのみを対象にNFTアート発行を許可しています」
プライベートチェーンが偽物、不正コレクションで汚染されないために、本人確認を徹底している為です。理想郷を守る為には必要な措置です、ご理解ください。
■(おまけ)ANA NFT MarketPlace
私が観測している限りにおいて、ハイブリッド型NFTアート形式を採用しています。どこかのベンチャー会社がパッケージ化して横展開しているのかも。
ANA NFT MarketPlace
https://nft.ana-granwhale.com/
プライベートチェーン上での売買が8割以上と想定しているようで、作品そのものの(2次販売していない)定価は(NFTとしては)低価格です。
■(おまけ)JR九州 NFT
こちらは「Astar Network」という非ETHのパブリックブロックチェーンを採用しています。価格が安く設定されている理由として、gas代がETHと比べると非常に安価な点が上げられます。
妥協ありETH互換のハイブリッド型NFTアートと、安価なパブリックチェーン採用方式。どちらが生き残るのかは、注目しておいても面白いかと思いました。
今回はここまでです。
ではでわではでわわ〜
次のお話
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?