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【NFT】ordinalsの存続に影響のある討論が現在進行形【bitcoin開発のお話】(追記あり)

はじめましてのヒトは、はじめまして。
いつもの皆様、こんにちわ。
大葉さんです。

前回のお話

あんまり触れたくなかったのですが(いつものことながら)日本語で解説している記事がほぼ皆無なので、情報共有という形でざっくりとご紹介します。

ちなみにワタクシはordinals反対派の立場です。ゆえに、ワタクシの偏見をうまくフィルタリングした上で、内容は噛み砕いて理解してくださいね。

ただ、ordinals肯定派/否定はどちらの立場だったとしても、歴史が今、動いているのにそれを「知らない」という一点において、重大な機会損失なので、もっと日本語圏で話題になって欲しい内容です。


なぜこの記事を書いたのか?

bitcoin のGitHubにて、ordinalsの機能を継続するかどうかの討論が白熱しています。ワーストケース、ordinalsが使えなくなりますので、議論の進行を見守っておくことをお勧めします。

お勧めのまとめツイートはこちら。

■そもそもordinalsが反対される理由は何故?

ワタクシが2023年3月の時点で確認していたordinals賛成派の主張をここに記述します。


ordinals賛成派の意見

  • ordinalsは「ETH版NFTの弱点である、メタデータ部分をオンチェーンに搭載できる画期的な技術」

  • 「価値保存」として実績のあるBTCの上にETHで培われたNFT技術を移植するので最強。

  • 1BTCをsatoshi単位に分割してナンバリングする仕組みなので、数字が小さい方が価値が高く、将来的に価格が上がる。

  • BTCが滅びない限り、ordinalsで刻んだあなたの作品は消えない。何故ならメタデータがフルオンチェーンだから。

  • すなわち、あなたのイラストは永久的にBTCのブロックチェーンが保護してくれる。

  • ordinalsが活発になることで、bitcoinのtransaction fee(ETHでいうところのGAS代)が高騰し、マイニングをしている方々の収入が上がる。

この辺りでしょうか?日本でordinalsが流行ったのがGW前後で、猛烈な勢いで市場が拡大し、7−8月くらいには「金銭的価格(not 価値)」もピークを迎えたと記憶しています。


「良いことばかりじゃないですか、どうしてordinals反対派なんているんですか?」


そうお考えの皆さんは、おそらくNFTやトークン文化からクリプトに参加された方々だと思います。一方で、古参のレイヤー1ブロックチェーン派の方々は、ordinals反対派の方が多いです。


ordinals反対派の意見

  • ひとことでいうと「ordinalsが流行ったことでbitcoin本来の機能である送受信に影響が出た」

  • 画像データをフルオンチェーンに載せるということは、その分、ブロックチェーンが大きくなるということ。

  • bitcoinを管理運用する「node」と呼ばれるサーバーは、ソフトウェア+ブロックチェーンのサイズのディスク容量を用意する必要がある。

  • ordinalsが流行る前のbitcoinのブロックチェーンは446GB程度。一方でordinalsが流行したのちの2023年11月末時点では530GB。2023年2月頃からディスク容量増加スピードが加速しており、これは明らかにordinalsの影響。

  • node維持はサーバーコストとのシーソーゲームであり、ブロックチェーンは小さければ小さいほどコストが下がる。にもかかわらずordinalsは「フルオンチェーン」を推奨しており、サーバーコストの増加を(ordinals文化圏とは関係がない)node運用者に押し付けている。

  • ordinalsが流行り始めた2023年2月以降、bitcoinのtransaction fee(ETHでいうところのGAS代)が明確に高騰してしまった。bitcoinの本来の機能である送金機能に影響が出ており、相手がbitcoinを受信するまでに数日かかるようなケースも出て来た(※これにはLightning Networkの普及を推し進めた一面もあるので、完全悪とは言えないが、、、)


「bitcoinの将来的な維持費用を跳ね上げておきながら、本人達は一切コスト負担せずにNFTを使って投資ギャンブルしているんじゃね〜よ」


ということです。

え、NFTアートはイラスト保存の手段で芸術でアートだ?残念ながら、それ、日本を含むアジア圏の価値観なのです。

かの有名なJPモルガン様ですら「DeFi」「NFT」を一つの記事で平行に並べて語るほど、NFTというキーワードは海外では証券扱いです。つまり「あなたのアートを永久に保存」云々は、単なるセールストークです。少なくともクリプト重視の英語文化圏では。

※ワタクシ個人が、NFTとNFTアートを別カテゴリーとして語りたがる理由でもあります。根本的な価値観が異なります。混ぜるな危険。

■フルオンチェーン機能に使われている「inscriptons」機能は脆弱性(bug)???

そんなわけで、ordinals賛成派と反対派は、延々と議論を重ねていたのですが、2023年12月6日に、新たなアプローチが発生しました。

意訳:

ordinalsで利用されている「フルオンチェーン機能」に使われている「Inscriptions」機能は、そもそも脆弱性(bug)なので、修正して使えなくしてしまうべきです。

ものすごく強引な議論に見えますが、詳細を聞くと一理あります。

2013年に Bitcoin Coreでは、ブロックチェーンに埋め込めるデータのサイズを仕様として制限しています。Inscriptions は制限されたデータサイズの中で特定のプログラミングコードを動かすことで、このリミットを無視してフルサイズのメタデータをオンチェーンに刻んでいます。これは脆弱性(bug)を使ったサービスです。脆弱性は修正されるべきで、結果としてordinalsが使えなくなったとしても、それは仕方がないことです。

さらに、NISTという脆弱性を管理している政府機関に、本内容をシェアしてジャッジメントまで要求しました。結果「CVE-2023-50428」が採番されています。

ただ、このあまりにも強引な進め方に、BitCoin開発者の中でも賛否両論が渦巻いており、現在進行形で議論が積み上げられています。←(2023年12月12日、イマココ)

■どこで議論されているの?

ここです。ブックマーク推奨。

2024年2月2日追記:結局、決着つかずにクローズしました。バグ修正(?)の採用は延期です。きっと別のissueで議論が再開されるでしょう。

■そんなに意見が割れているなら、ordinalsサポートあり/なしで、bitcoinを分裂させれば良いのでは?

それは一つの選択肢ではありますが、今はまだその時ではありません。

2018年、bitcoinからbitcoin cashが分裂した際も、まず、上記のGitHub上で議論が重ねられ、議論が破断した次のアクションとして分裂しました。

つまり、上記の会話の結論が、今後のbitcoinの方向性を決めます。注目しないなんて勿体無さすぎです。

■今後の可能性(素晴らしいご指摘を頂きましたので取り消します)

(1)ordinals inscriptionが生き残るケース

高額なtransaction feeは継続です。送金のみを円滑に行うためにレイヤー2技術が発展すると思いますが、Lightning Network禁止の国も出て来ているので、次の壁にぶつかるでしょう。

(2)脆弱性が修正されるケース

非中央集権を擁するbitcoinが、政府の権威を使って強引に進めたという事実が残るため、一部のbitcoin core開発メンバーは離脱すると思います。

(3)決着がつかないケース

bitcoin分裂、再びか?


どの選択になるのか、固唾を飲んで見守っています。

■(本noteに対する反論)「バグ修正」でOrdinalsが使えなくなることはない

<2023年12月13日13時追記>

本noteを公開した結果、kishin | ∵ @トラストレスさん( https://twitter.com/btc_dakara )から、とても素晴らしい反論記事を頂きましたので、こちらで紹介させて頂きます。

私が最初に示しました「今後の可能性」は間違っておりました。私の不勉強が元で、誤った情報を拡散してしまい、申し訳ございませんでした。

■2024年2月2日追記:素晴らしい記事が出来てました!

このnote記事を公開して(そしてXでツッコミを喰らって)から1ヶ月と少し、経ちました。第3者視点からの素晴らしい記事が公開されていたので、こちらで紹介させて頂きます。

私が伝えたかった要素も含め、すべて包括している素晴らしい記事です。ぜひぜひ、ご確認ください。

■最後に個人的な感想

知らんけど。


本日はここまでです。
ではでわ〜


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