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中野区 新越泉

ちょうど去年の今頃、社交ダンスを辞めた。ダンスを踊って私の人生はいったいどう変わるのか、と気付いたからだった。 決して高い受講料ではなく、寧ろ小一時間で2000円弱と銀座の教室にしてはおそらく破格だったろうけれど、そもそも楽しみからめんどくささに気持ちが移行したので、スパッと辞めてしまったのだ。
今晩のようなキリッと冷たい、星の綺麗な帰り道に、ステップを踏み踏み練習しながら帰っていた日々。帰宅後は、寝っ転がる家人に「今日のステップ、どう?」と見せつける日々が終わり、その隙間を埋めるように浸潤状態となっていったのがサウナだ。きっと、秋の冷たさも手伝ったのかもしれない。

って、半年しかやってないんだけど。入門時は、違いのよくわからんブルース・ジルバ・スクエアルンバ・マンボを。ルンバ以外は結構好きだった。音楽は、ザ・練習曲ばかりだったのだが、楽しかった。二か月後に初球クラスに上がってからは、ワルツ・タンゴ・ルンバ・チャチャチャを習った。ステップも難しくなり、振りというか上半身の動きも大事になってくる。また、中級に上がる手前の人まで在籍するので、レベルの差が顕著にわかる。
銀座の真ん中でダンス教室、「Shall we ダンス?」の竹中直人のような方々を面白がって見てみようという不埒な動機は、完全にブーメランとなって返ってきた。
家人は「それ、踊りなの?1分と持たないじゃん」とつれなかったが、このまま習っていても、私の社交ダンスは地団駄にしか見えない。社交どころか、非社交的ですらある。
そして私は、踊りを踊る予定があるのか。否、である。
冬のクリスマス練習会に参加する場合は、ライトな衣装が必要だということを聞いて、高校時代に留学先で買って親から激怒されたワンショルダーのドレスならまだクローゼットにあるが、あんなものを着て地団駄踏むほど、私は愚かではなかった。

そう、こんな夜には思い出すよね。生徒には航空会社や商社に勤める会社員が多かったが、彼らはいま、どうしているのだろうか。まだ小気味よく社交的なステップを踏んでいるのだろうか。

新井薬師からてくてく5分、怪しいステップを踏み踏み向かい、番台のおじさんにご挨拶するも、お返事なし。「らっしゃい!」までは求めていないけれど、「こんばんは」ひとつで気分は変わるのにね。番台の方にもよると思うのだけれど。愛想、挨拶ともにないのは寂しいね。
例によって回数券とサウナ代500円を支払い、サキーとロッカーキー、バスタオルをお借りする。こちらは近くの「上越泉」と姉妹店。番台の方の奥様のご家族があちらを経営しているとのこと。となると番台さんはお婿さんか、などといらぬ詮索。

階段を降って、地下に脱衣所と浴場がある。ビルタイプでもあり、地下となると、いつもの天井の高い吹き抜け感はないが、それはそれ、これはこれ。こちらのレイアウトは、手前から深く大きい水風呂、電気、ジェットバス系三席、半露天で日替わり湯はペパーミント、広い洗い場、立ちシャワー二席、ドライサウナが配されている。

「今日の電流」。揉兵衞のようで、例によって平行線で待機。何かを感じたわけではないが、「押す・揉む・叩くをお楽しみください」「一度はお入りください」と貼り紙あり、叩くは流石になあ、と電極板に対して両脚を水平にすることなく、8秒と持たなかった。

日替わり湯は浴場の一番奥に位置し、壁の奥にあるのでとても静か。雪は降っていないし、外は見えないけれど、音だけでいうと「しん」としている。薬効も濃いようでいい香りだ。日替わり湯ってやっぱりいいね。このコーナーにも湯の中に席があったりして、ゆっくりできそうな造りだ。

サウナではお笑い番組がやっている。出演者の笑い声が大きすぎて、ミルクボーイの特に駒場のセリフが聞こえ難く、ここではエア地団駄。ワイプもそうだが、演者以外の音声はそこそこでいいのではないか。ワイプを意識した表情とか、需要あるのかな。

タオルとニューウィングのマットを敷き、カサイさんスタイル。今日のサ室の時の流れは早い。続いての「今くら」では"20代なのに80'sアイドルに憧れる女"で、楽曲を楽しむ。いつかも書いたが、藤井隆さん、大好きなのだ。ちなみに友近も、中村倫也も。藤井さんのサービス精神とダンスはいい。演技もいいよね。倫也くんの声も生活感も、どれだけ在宅期間に癒されたか。友近は、ライブもいい。もし、藤井さんか倫也くんと踊れるなら、仕事辞めて社交ダンス続けたいというのも戯言ではない。この二人なら、ワイプでも観たい。って、こういう需要があるのかな。

帰り道、脱衣所で流れていた百恵ちゃんを口ずさみ、いい気分の夜だ。

サウナ:7-15分 × 4
水風呂:2分 × 4
休憩:5分 × 4
合計:4セット
サ 79℃ 水 20℃

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