見出し画像

映画記録「ドルフィン」

2024.10.19.

韓国文化院のイベント「コリアンシネマウィーク」へ。
日本劇場未公開の作品を中心に、幅広いジャンルから、最新の韓国映画作品を上映してくれるとのこと。
そういえば、最近映画館で映画を観ていないなあ・・と思った矢先に、応募したのでした。

この日は2作鑑賞し、その1本目。

あらすじ
30代の娘ナヨンは、血筋よりさらに濃い心で包まれた家族と家が人生の唯一の拠り所であり、楽しみであったが、突然の母親の再婚と弟の独立宣言で、彼女の平和だった日常に亀裂が起きる。そんなある日、町のボーリング場の社長ミスクとソウルから来たヘスのおかげで生まれて初めて家の外での楽しみに夢中になるが・・・。

韓国文化院サイトより

私自身は、東京生まれ、東京育ち、高校時代にデンマークの片田舎へ留学したことはあるとはいえ、人生の大半を東京で過ごした。
田舎町での生活といえば、デンマークのほか、熊本県球磨郡あさぎり町での1か月弱の滞在が思い出される。

そこでの経験では、大型スーパーに出かけた日には、村中にそのうわさが流れるであるとか、妙齢になると結婚しないのか、子どもは生まないのか・・など、田舎あるあるの人間関係の濃さを思い出す。
もちろん、困ったときには隣近所で助けてくれて、遠い親戚より近くの他人、という文字通りの互助文化もあるのだけれど、地元の方にとっても、合う合わないはあるだろう。

そんな韓国の地方都市で生まれ育ち、就職もした主人公。家族が一人、また一人、と生まれ育った町を後にしてしまい、日常が大きく変わっていく。
その反面、ソウルから田舎町に降り立った技師との関り、改めての町の人々との交流から、小さな町で、さらに小さな自分の殻の中に閉じこもっていた日々が変わっていく。

主人公の女優さんも去ることながら、主人公の弟役、ボーリング場の社長さん役、ソウルから引っ越してきた男性と、脇を固める俳優さんたちもよかった。

ちなみに、主人公の上祐さんは、「少女時代」のメンバーのクォン・ユリさんという方。きっと普段は華やかな生活をソウルで送っていると思うのだけれど、朴訥とした田舎町の新聞記者の演技がとてもよかった。
そして、田舎町の景色も、日本にも似ているようで、ちょっと違って、いいんだよねえ。
そして、これ以上ないくらい、ボーリングをしたくなる映画。このタイトル「ドルフィン」も、ボーリングの球が最後にイルカのように跳ね上がって残りのピンを倒すことを指す用語なのだとか。その意味するところは、スコアにはならないが小さな奇跡のようにやってきた意外な幸運、なんだって。

本作は、全州国際映画祭、ソウル独立映画祭、ムジュサンゴル(茂朱山里)映画祭、カナダバンクーバーアジア映画祭など、国内外の映画祭に招待されたそう。

さて、ボーリングに行こうか。

いいなと思ったら応援しよう!