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NHK短歌(2024年4月号)

NHK短歌 テキスト2024年4月号 2首掲載頂きました。
ありがとうございます!

吉川宏志 選「さえ(助詞)」佳作
じいちゃんが茄子やきゅうりに乗るというそんな嘘さえさみしい新盆

大好きだった祖父の新盆の精霊馬の景を詠んだものです。「これに乗ってほら、帰ってくるねぇ。割り箸の足じゃ折れちゃうんじゃないのぉ〜?」とかみんなでふざけていたら、思いのほか悲しみがずんずん来て、泣いてしまったのを思い出して。野菜に乗ってあの世を行き来するのだ、という風習=物語のなかに、まだ祖父を入れ込むにはまだ現実が生々しすぎて、受け入れられないな。という気持ちを「嘘」に込めつつ。

岡野大嗣 選「コンビニ」佳作
さようならいつものコンビニもう二度と来ることはないこの町灯せよ

失恋→同棲解消の引越しを思い出して詠みました。マンションの1階、コンビニだったんですよ。ここを出ることで、このコンビニは「いつもの」という枕詞が取れてしまうなと思って不思議な感じがした。もう一生この地域には来ないだろけれど、コンビニはこうこうと光り続け、町を照らし続けている。私がいなくても関係ないよね。せいぜいがんばってよね、ふんっ。みたいな強がりガールの歌でした。

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