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学生が惹かれている農業

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現役大学生・うっちーが農業に惹かれる理由。
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学生が惹かれている農業

僕と徳ちゃんは今年の4月に、4回生になります。まわりの学生は就活の真っ最中。でも、僕たちは就活そっちのけで取り組んでいることがあります。それは、大学がある滋賀県の草津市でファーマーズマーケットを開くこと。  安くてきれいな野菜ならスーパーに行けばいつだって手に入ります。どこに住んでいても、こだわりの美味しい野菜をネットの通販で購入することもできます。世の中がこれだけ便利になり、経済的に豊かになったいま、どうしてファーマーズマーケット? 「Who is your farmer?

学生が惹かれている農業・3

 農業オタクの友だち、徳ちゃんは、お芋が好きです。お芋が持つ生命力の強さに惚れています。「江戸時代の稲が不作の時、お芋は何度も飢饉から救ってくれてたんやて!すごくない!?」と、ニコニコしながら、自分の息子を自慢する、お父さんのように話します。  人々を飢えから救ったお芋。一方で『いもっぽい』という表現は、江戸時代から田舎者を小馬鹿にするために使われていました。でも、お芋好きの徳ちゃんにとっては最高の褒め言葉。お芋のように素朴で温かみのある、そんな雰囲気を持つ人に彼は憧れを持

学生が惹かれている農業・2

 僕には、みんなに紹介したい農業オタクの友だちがいます。そのひとりが一つ年下の徳ちゃん。一緒に大学のキャンパス内に畑を作りました。草むしりでも楽しいと、いつもニコニコしながら農作業をするのが彼の特徴です。  徳ちゃんは、山や川で遊んでばかりの子どもだったそうです。なかでもいちばんのお気に入りは、岐阜県に住んでいる、おばあちゃんの家に行って畑仕事を手伝うこと。テレビゲームはすぐに飽きてしまったけれど、畑での土遊びはどれだけ時間が経ってもやめられない、それくらい農業が好きなんだと

学生が惹かれている農業・1

 お金をたくさん持っていることが生活を豊かにする。ごく普通の日本の家庭で育った僕は、ずっと思っていました。けれどもニュージーランドを訪れ、先住民・マオリ族とともにすごした日々は、豊かな暮らしのほんとうの意味を教えてくれました。  たとえば食事。搾りたての牛乳に、産まれたばかりの卵、さっき畑で採ってきた野菜。食卓に並ぶのは、自分たちが手をかけ、育てた食材で作られた料理ばかりでした。ファームの仕事のあと、みんなで食卓を囲む時間は、人の営みをしみじみと感じさせるものでした。