難読名前を付けてしまいがちな親、その弊害と解決策

僕は苗字は至って平々凡々としておりますが、名はとても珍しいです。どのくらい珍しいかというと、自信をもって現代日本で一人しかいない名前であると言える位です。ではいわゆるDQNネームかというとそういうわけではなく、歴史上の(その分野ではとても有名だけど)マイナーな人物から直接取ってきた名前となります。よく言えば高学歴意識高いネームですが、難読ネームであることには変わり有りません。これまでの人生で新しく会う人には必ず読み方を聞かれ、そのたびに読み方を伝えるというプロセスを恐らく何百回と繰り返してきました。

高学歴意識高い系ネームの走りとしては森鴎外の子供(於菟(おと)、不律(ふりつ)、類(るい)、茉莉(まり)、杏奴(あんぬ))が有名ですが、僕の名前もそれに類するものだと思ってください。なので名前に自体に誇りはありますし、少なからず愛着もあります。響きの格好良さにも満足しています。ただ森鴎外の時代と違って、今はネットが膾炙してしまった時代です。その一点で、とてもめんどくさい事態になります。日本でおよそ一人しか存在しな名前ともなれば、ググってエゴサすれば確実に当人の情報が白日の下になります。出身学校から職歴はもちろん、サークルでとったちょっと恥ずかしい写真まで丸裸です。

私の親が名前を付けたときはまだネットが普及する前でしたので、”ネット社会における特異性の高い名前のリスク”を予見することはとても難しかったでしょう。なのでその点について恨む筋合いは正直ないです。ただこのネット社会においてこれから子供に名前を付けようとする人は、安易に特異的で特定されやすい珍しい名前を子供につけるのは、個人情報の点において不利になります。多くの人は有名人にならずに人生を終えるわけですから、平々凡々としたありきたりの名前で以てネット社会の中で埋もれるほうが得策です。

では具体的にどのように子供に名付けをしていけばよいか。以下に具体的な方法を記します。

①前年度の名前ランキングTOP10から気に入ったものを選ぶ

自分の子供が生まれるとハイになって立派で素敵な名前を付けよう!と意気込む気持ちはわかります。しかし珍しい素敵な名前は将来お子さんの知人や面接官が電車やトイレの中で何気なしにググって個人情報を特定しようとします。いやですよね?なのでここは心を鬼にして、一般的で非個性的で一見するとIQが低そうな現在最も流行っている名前、すなわち前年度名前欄ランキングTOP10の中から適当にまだマシ!と思える凡庸な名前を選択し、気持ちが変わらない間に役所に出生届を出しに行きましょう。途中でコーヒーを飲むためにスタバに寄ってはいけません。大事な大事な決断が鈍ってしまいます。名前などに意味はない!と心の中で唱えながら脇目も振らず役所に邁進して下さい。それだけであなたのお子さんの個人情報セキュリティは格段に上がります。

”一般的に苗字+前年度流行った名前”の組み合わせにすれば、同姓同名を少なくとも数人持つことができるのではないでしょうか。同じ年代で同姓同名であれば、それだけ一層ネット検閲の中で埋もれることができます。就活でエゴサされて難癖付けられるリスクもぐっと減ります。

②それでも珍しくって素敵で唯一無二なスペシャリティーあふれる如何にもアホっぽい名前を付けたい?その場合は..

その場合は、簡単です。家族内でしか通用しない呼び名を作るのです。どんな呼び名でも構いません。アニメのキャラでもいいし、外人の名前でもいいです。難読漢字でもいいですし、歴史上の名前からとってきてもよいです。なぜならその呼び名は戸籍には登録されていないので、免許証にもマイナンバーにもパスポートにも記載されません。完全に非公式な呼び名ですので、お子さんが意図的にネット上に書き込まなければ、世の中に流出することはありません。

③苗字がそもそも珍しいんだけど...

どれはどうしようもないですね。いっそのこと超難読名前を付けてしまった方がブランド力が上がるかもしれません。


※余談

僕の甥っ子Aは、家庭内では某外人の名前で呼ばれ、公的な場では公的な名前を使用しています。某外人の名前に関しては本人は単なる渾名であるとしか思っていないようで、実用上なにも混乱は起きていません。というか叔父である僕は甥っ子の本名はうる覚えでいつも渾名で読んでます。名前なんてそんな程度の機能しか持っていません。


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