見出し画像

e-温泉マイスター 塚野鉱泉

                   e-温泉マイスター 古賀裕基

 塚野鉱泉は大分市大字廻栖野に位置する鉱泉である。泉質は含二酸化炭素-ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩冷鉱泉である。また、マグネシウムを豊富に含むことも特色である。マグネシウムは本泉の湧出地付近の、蛇紋岩からなる地層に由来すると推察されている。泉温は15。7℃と低い。色は試験室試験では中黄褐色とされる。メタケイ酸を含むためか、浴槽を目視すると黄みがかった白濁色をしている。

 本泉は明治期に整備され、以後主として飲用による効能を評価されてきた。飲用の効能としては胃腸病、慢性便秘、肝炎、糖尿病への効果が挙げられるが1、特に胃十二指腸潰瘍への効能が有名である。塚野鉱泉を管理する山水荘の職員(以下、A氏)に聞き取りをしたところ、具体的にはマグネシウムの排便促進効果で胃腸が洗浄され、ピロリ菌等潰瘍の原因となる菌や物質が除去されて病状が緩和されるとのことである。本泉はピロリ菌の発見周知がなされる以前より胃潰瘍に効能があると知られており、ピロリ菌発見以前から、大分県内のみならず福岡や広島などからも潰瘍の治療を目的に人がやってきていた(A氏)。マグネシウムは酸化マグネシウムとして下剤に利用される他2、胆汁の分泌を促すことが医学的にも明らかにされている。また炭酸水素イオンと二酸化炭素の成分が胃腸病、慢性便秘に効能があると知られており1、これらが複合的に作用して胃十二指腸潰瘍への特効効果を発揮しているものと推察される。飲用による効能を得るには飲み方が重要であり、朝食前の空腹時に500 ml~2 lを飲む飲み方が推奨される。空腹時以外に少量飲んだ程度では腹下しは生じないが、効能も得られない(A氏)。

 飲用時の食味は、温泉分析書では湧出地において強炭酸味、中塩味とされる。実際に飲んだところ塩気の中に鉄分の味も混ざる炭酸水で、炭酸で割った涙か血のような非常に独特な食味と感じた。

引用文献

1)大分市(2021):塚野鉱泉.

2)健栄製薬(2017):便秘に酸化マグネシウムが効く理由とは?


e-温泉マイスター講座の終了レポート「あなたの好きな温泉のの分析書を見て、源泉名・泉質名およびPRポイントをPRして下さい。」から

【e-温泉マイスター(マイクロラーニング)】
  一講座10分程度のスキマ時間で「温泉学」の基礎が学べます。
  温泉マイスター講座 受講料 12,000円
  e-ラーニングで30講座を学び、終了問題とレポートが合格すると
 「e-温泉マイスター」として認定されます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?