イタいけん(異体験)『鉄塔の上に佇む人影』

これは1社目の会社の現場で体験したお話(-_-)
当時、私は送電線の工事の為に実家から離れて千葉に出張に行っていました。まだ入社して3年目だった私はK先輩に同行させてもらって現場に行っていました。

その現場は今までみたいに山の中ではなく市街地のど真ん中での作業となるため、色々な問題が発生していました。近隣の住民からの工事反対運動とか、ヤ○ザさんの家の真横での作業とか、某団体の所有する土地を借りたりするための交渉とか・・・(^_^;)
そういう条件下での作業だったため、当然のように工事の妨害(嫌がらせ)が毎日のようにあったので、作業が休みの日でも1日2回(朝と夕方)のパトロールを行っていました。

ある日のこと・・・・
K先輩の運転する車に同乗して休日のパトロールに出掛けたのですが、
89号鉄塔の敷地内の点検を済ませた私がふと数百m先の88号鉄塔を
眺めると、88号鉄塔のてっぺんに人が立っているのが見えました。(゚o゚)
しかもなんだかゆらゆらと左右に揺れていて今にも落ちそうな感じに見えました。
私「K先輩!!休日なのに鉄塔に昇って(のぼって)いる人がいるみたいなんですけど・・・」というと、
K先輩「そんなわけね~だろ~航空障害灯(赤くチカチカ光る、鉄塔についているランプ)がそんな風に見えているだけだろ?どれどれ・・・」
と持っていた双眼鏡でK先輩が88号鉄塔を眺めると
「本当だ!確かにてっぺんに人がいる!こりゃヤバイ!」と慌てだしました。
「一般の人が昇ることもあるんですか?」
と車に乗り込みながらK先輩に尋ねると
「今工事の為に敷地に入りやすくなっているし鉄塔の脚(あし)の昇らないようにする装置も簡単に外せるからな、たまに首くくる(自〇する)ために昇る人もいるんだよ」
という話を聞いてぞ~っとしたのを今でも覚えています。

さてそんなことを話しているうちに、問題の88号鉄塔の真下に到着。
急いで門の鍵を開けて敷地内に入り、鉄塔の脚の装置を確認すると、きっちりと閉まっていて、とても人が昇れような状態ではありませんでした。
「あれ~?」と私とK先輩はちょっと鉄塔から離れててっぺんを見上げてみました。

でもてっぺんには誰も、というかなにもありませんでした。顔を見合わせて首をかしげる私たち。
「確かにいたよな?人が・・・ゆらゆらと落っこちそうに揺れていた人が・・・」
「ええ、確かにいましたよね・・・でもK先輩、おかしくないですか?あんな高いところ(地上100mくらい)まで昇るとしたらとても装備なしではいけませんよ。」

そういった瞬間、私とK先輩の2人とも腕に鳥肌がザーッと立ち始めたんです。
「き、きのせいだ気のせい!きっとカラスかなんかだったんだろ・・・」
とK先輩は笑って誤魔化しながら車に乗り込んだのですが、その後のパトロールは2人とも無言になってしまいました。

でもあの時私たちは確かに見たんです。
鉄塔のてっぺんに佇む髪の長い女性のような人影を。

それはその88号鉄塔で起こる、新聞沙汰の出来事(鉄塔の上から物が落ちて危うく○人が出るような落下物事故)の前触れだったのかもしれません。

終わり

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