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相手は嫌かもしれないけど、言うべきことを言わなければならないとき

 人と関わる以上、相手に対して、言うべきことを言わなければならないときはある。
 例えば、責任のある立場にあった場合、部下に適切な指導をしなければならない。あるいは、何か処分をしなければならないときもあるかもしれない。

 親として子どもを注意しなければならない時もあるかもしれない。適切な方法で叱るべき時は叱ることも必要かもしれない。

 普段人と全く関わらなければ、そういうこととは無縁な生活もあり得るのかも知れない。
 でも、人生の中でそういう心のざわつきを感じる瞬間があることも、もしかしたら必要なのかもしれない。

 先日の会議で、あるメンバーに厳重注意をするのか、それとも何らのペナルティを科すべきかといった話があった。辞めさせるべきだ。辞めさせたいという声もあった。
 不祥事を起こしてしまったメンバーがいたら、それに対して、きちんと向き合ってもらわなければならない。
 しかし、だからといって、同じ組織のメンバーに対してそういう話をすることは気持ちの良いものではない。
 一方で、不祥事によって誰かに迷惑掛けてしまったのであれば、それはそのままスルーすべきではない。
 もっとも、このコンプライアンスの時代、一歩間違えたらパワハラだモラハラだと言われてしまうおそれすらある。

 やはり、そのメンバー(以下、「彼」という)が嫌かも知れなくても言うべきことは言わなければならない。
 しかし、同時に気をつけないといけないこともいくつかあるのではないかと思う。
 そんなことを考えたので、あげてみようと思う。

1 彼の言い分をきちんと聞く。

 一方的な判断で彼が悪いと決めつけて、頭ごなしに叱ることは良くない。
 彼には彼の言い分がある。それはまず、真摯に聞くべきだ。
 当たり前だが、仮に事前に情報を得ていて、彼に対する怒りや憤り、イラダチがあるとうまく自分をコントロールできないかも知れない。
 しかし、事前の情報のほうがもし間違っていたら、そこから彼との関係を修復することは不可能になってしまう危険がある。
 だからこそ、彼の言い分はまずきちんと聞くべきだ。彼が悪いかも知れないと事前の情報で思い込んでいたとしたら、なおさらだ。

2 彼の間違っている部分を明確に押さえる。

 彼の言い分を聞いて、言うべきことを言わなければならなくなったとき、むやみに反省をさせたり、謝罪をさせても仕様がない。彼の間違っている部分を明確に押さえて指摘すべきだ。
 彼が非を認めていないことが間違っているのか、彼が嘘をついていることが間違っているのか、彼の謝罪がうわべだけになっていることが間違っているのか、彼が自分の保身を優先し周りが悪いと責任を転嫁しようとしていることが間違っているのか、彼のどこが間違っているのかをこちらがしっかりと押さえる必要があるのだ。
 それが、彼に対して、彼にとっては嫌なことをあえて言わなければならないときの礼儀ではないかと思う。
 そして、明確に押さえているからこそ、覚悟をもって彼にとって嫌なことを明確に伝えることができるのかなと思う。

3 彼の間違っていない部分は尊重する

 彼の間違っていることを明確にした場合、そうではない部分は、間違っていない、あるいは、間違っているとは言い切れない。
 それは、こちらが間違っている可能性がある。
 「彼の間違っていることと確信できる以外のこと」は、彼による彼の考えであり、間違っていない可能性があり、かつこちらが間違っている可能性があることなのだ。
 そうであれば、それは、相手のその部分をひとりの人として尊重しなければならない。彼を非難したい気持ちがあったとしたら、それはすごく難しいかもしれないけど。
 指摘しなければならないのは、彼の間違っている部分(場合によっては彼の罪)であり、彼のすべてを非難するのではない。

4 言うからには、誰のためなのかを明確にしてきちんと言う

 ここまで、慎重に考えて、それでもあえて指摘しなければならないことは、覚悟を持って言わなければならない。
 嫌でも言わなければならないこと。これは、誰のためなのか。
 自分のためなのか、傷ついた人のためなのか、組織のためなのか、それとも彼のためなのか。
 そこがはっきりしていなければ、言っているこちらもただ辛くなるだけになってしまう。
 目的が明確になっているからこそ、言いにくいことをいえるようになるはずだ。

 *

 それでも気持ちの良いものではないなあ。

 こんな一日を最高の一日にするのは不可能かもしれない。
 でも、感情にまかせて怒って、ただお互い嫌な思いをするよりも、ここまで気持ちを整理して彼と真摯に対峙ができれば、それはずっと良い一日のはずじゃないかな。

 彼に伝えるべきことがきちんと伝わって、彼がきちんと納得してくれたら、もしかしたら、いつかこの日を振り返ったときに、今日一日を最高の一日にするために必要な一日だったといえるかも知れない、むずかしいのかなあ、でも、こんな日も必要だよね。そんな感じです。

 てなわけで、みなさんは「今日一日を最高の一日に」

今日の起床時間5:57

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