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タレルの境界に目を凝らす

人によっては卑猥に感じるかも知れない話なのでご注意

旅行は感覚を研ぎ澄すいい機会
計画を程よく立て、程よくその場任せに、
いい流れを作るのが楽しむコツだと思う

四国へ行く旅の途中
宿の付近にかなり早くに到着して
近くの美術館を調べてみると
好きなアーティストの作品が観れそうだった

James Turrell

【私の作品には対象もなく、イメージもなく、
焦点もありません。
対象もイメージもないのに、あなたは何を見ているのでしょうか。見ている自分自身を見ているのです。】
これは以前別の所でみた彼の言葉

在るはずの壁を知覚出来ない部屋
自分の感覚を失って何かに委ねる
目で視て認識するという
あたりまえの事が如何になされていたのか
ゲシュタルト崩壊
わたしは一体どこに居るのだろう?
見えないのに懸命に目を凝らす

この作業はあれに似ている
肌と肌をすり合わせた時
口の中を探り合う時
集中して相手と自分の境界を
限りなく溶け合わせながら
探している
自分という領域のその先
快感の向こうに居るはずの
その人の感じているもの

向こう側とこちら側で
風を含んだカーテンを触るみたいに
お互いの存在を確認する
触れるとふっと凹んで包み込まれる
ふわりと膨らんで肌に触る
そのキャッチボールを繰り返す
もっとはっきりと輪郭を知りたい
でもふわふわとして掴めない
やがて
ひと塊りになったそれを
リズムを持った速さと強さで
どこかへ放り投げられる


さて、境界のその先なんて
本当にあったのか?
本当はどこまで行ってもひとりで
触り返してくれる「あなた」なんていないのかも
見えない壁を前に、何故か事後の淋しさを思い出す

タレルの作品は空も多い
白い四角の中の雲
白と白とでひたすら眩しくて
縁は何も見えない
あそことここで境界はない
でも、例えばあの雲にどこまでも高く
近づいていったとしても
そこには何もない

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