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ごちゃまぜイベントで障害者と出会う

わたし(デザイナ/障害なし)にとって、アクセシブルなデザインに取り組む原動力は、当事者(障害者や高齢者)と出会って、目的を共有できる楽しさである気がします。

昨年参加した「soar」の説明会、また大阪で開催されるそうなので、わたしが参加して良かったと思ったことを覚書しておきます。

soar活動説明会

soar(ソアー)」というウェブメディアがあります。「人の持つ可能性が広がる瞬間を捉え、伝えていくメディア」をコンセプトに、障害や難病、LGBTなど「社会的マイノリティ」の人々のインタビューを丁寧に記事にしていて、いち読者として応援していたウェブサイトです。
その「soar」が、はじめて大阪で説明会をされるというので、喜び勇んで参加してきました。

画像の説明:「soar」のロゴマーク。白い羽根のモチーフ。

当日は、編集長の工藤さん(@mimimizuho)が登壇し、soarの目指すことの共有、活動報告が行われました。その後、参加者同士のディスカッションの場も設けられて、わたしも、周りの席にいた方とすこしお話ししました。イベント全体の時間にしたら、ほんの一部でしたが、そのディスカッションが思いのほか刺激的で、本編のことなんかすっかり吹っ飛んでしまうほど(申し訳ない……)。でもそれくらい、場を共有することって大事だなーと実感できました。

障害者がいて当たり前

わたしのグループにいたのは、元介護職のかた、脳性まひの学生さん、聴覚障害のパフォーマーさん。もう書いただけで濃い! そして、自然には集まることのなさそうな、雑多でごちゃまぜなメンバーでした。

実際に障害を持つひとに会って、個人的に話を聞く機会って、日常ではなかなか作りづらいです。友人や同僚だと、関係性を気にして突っ込んだ話がしづらい場合もあるし、誰か紹介してもらっても、限られた時間の中では、深くコミットできるかどうかわからないし。

でも、イベントって非日常で、みんな気持ちが高ぶって開放的になってて、今回はうまく、「語りたい」という思いと「聞いちゃっていいんだ」という気持ちがかみ合っていたように思います。「障害者がいて当たり前」で、切り分けるでも、気を使うわけでもなく、フラットに話をしようとするフレンドリーな空気感が共有されていました。

おしゃれであること

認知症の方がホールスタッフを務める「注文をまちがえる料理店」を企画した小国士朗さんの本にこんな文章があります。

「注文をまちがえる料理店」が大切にしているルールの一つに、おしゃれであることというのがあります。万が一「いまから社会にいいことやりますんで、ちょっとイケてなくても許してくださいね」なんて思いがあったら、それは最悪です。
── 小国士朗 『注文をまちがえる料理店のつくりかた』

「soar」も扱うテーマの重さに反して、軽やかでおしゃれなサイトです。記事のひとつひとつも、骨太だけど読みやすい。あと何より、ポジティブな内容が多いです。明確なコンセプトに導かれたデザインがあって、障害のありなしに関わらず、「soar」のつくる雰囲気に惹かれた読者は多いのではないかなと思います。

かくいうわたし自身もその一人です。今回参加のために電車に乗って大阪に行ったわけですから。その片方で、うちの近所にある障害者センターのイベントに参加したことはありません。歩いていける距離にあるのに。

ごちゃまぜイベントで感じたラクさ

最後に、今回のイベントで感じたことをもうひとつ。

なんだか、すごくラクだったんです、会場で。

障害のことをぶっこんで聞いても大丈夫とか、「しんどい」と思ったらその場を離れて大丈夫とか、自分の裁量で適宜対処してね、というゆるやかなルールは、いわゆる健常者のわたしも落ち着ける感がありました。ひとを許す準備をすることで、自分もリラックスできるような。

障害者であるかどうかという以前に、だれもがちょっと寛容になって、結果自分もラクだったり楽しめたりする。場所であれ、モノであれ、コンテンツであれ、「こうあるべき」を強要するのではなく、多くの人が不安やストレスを感じずに済むデザインを作ることが、アクセシブルで、障害者もいて当たり前の社会には必要なのかしら、ということを、まだまだこれからも考え続けていくんだと思います。

画像の説明:当日のスケッチ

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