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「木遣(きや)り」で夏が始まる。 思い出で繋がる大きな家族。

一枚の写真を額を寄せ合って眺める親子。
そこには、宮出しでお神輿を担ぐお父さんの姿がありました。

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それを見て、「はしゃいでますね」と照れ笑いするお父さん。
その横で娘さんは、「ああお祭りが始まるな、夏が始まるな」と感じる光景だと、凛々しい表情で振り返ります。

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<Profile>
父:赤荻大介(あかおぎ・だいすけ)さん。
生まれは下北沢。お子さんが生まれたタイミングで奥様のご実家がある入谷に引っ越してきた。会社に勤めながら十数年氏子青年会での活動に従事する。
娘:赤荻李香(あかおぎ・ももか)さん。
入谷で生まれ育つ。この春に大学進学。地域の行事も部活も頑張ってきた19歳。

地元への愛情が絆になる

ーーまずはお父さんに伺います。氏子青年会に入るきっかけを教えてください。

私は下北沢の生まれで、実はこの町の出身ではないんです。子育てはこの町でしたいと妻と話して、子どもが産まれるタイミングでこちらに引っ越してきました。

もともと妻のお父さんが町会長をしていて地域に精通していたので、紹介をしてもらううちに気付いたらこの半纏を着て皆さんと一緒に活動させてもらっていました。

ー一お仕事もある中で活動は大変ではないですか。

負担だと感じたことはありません。仕事の都合でどうしても出れられない時は、そこは皆さん「お互い様」という考えで助け合ってやっています

活動は純粋に楽しいですし、多くは行事の裏方になるので、やっぱり皆さんが楽しんでいる姿を見ているのが楽しいです。それはたぶん僕だけじゃなくて、他のメンバーもそうだと思います。

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ーー赤荻さんにとってお祭りはどんな存在ですか。

お祭りは一年間の節目だと思っていますし、毎年新しいことにチャレンジする気持ちでやっています。「ルーティンワーク」みたいなものではなくて、毎年気持ちを新たにして。
怪我がないように、時間通りに進むように、など気にしながら取り組みますので、お祭り中は常に緊張感がありますね。

ーー氏子青年会の絆はどこから生まれるのでしょうか。

おそらく一つは行事に参加する中で。あとは、みんな地元のへの愛情を必ず共通して持っていますので、それが伝わって自然と絆が生まれるのではないかと思っています。

友達と約束しないでも会える日

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ーー次に季香さんに伺います。この町での思い出を教えてください。

小さい頃から父も母も町の行事を手伝っていたので、それに連れられてよく屋台で遊んでいました。楽しいなって毎年思っていました。

お祭りの日は境内が屋台で埋め尽くされて、ここに来れば近所の友達と約束しないでも会えました。みんなで屋台を見たりお神輿を担いだりして。お神輿のあと「頑張ったね」ってお菓子をもらえて嬉しかったです。

ーーお祭りの日のお父さんやお母さんの様子はどうでしたか。

楽しそうに、忙しそうにしていました。手伝う時もあったので、そういう場で地域の人ともたくさん知り合えて、すごくいい環境だなって思っていました。

お祭りの日もみんなから色々教えてもらって、「お神輿はこうやって担ぐんだよ」「この部分で担ぐと担ぎやすいよ」などみんな親切に教えてくれました。みんなが親みたいな感じでいつも接してくれるところがすごい好きです。

ーー高校生になってもお祭りに来ていましたか。

試験や部活の大会が被って来られなかった年もありましたが、極力来てみんなや神社に挨拶していました。やっぱりお世話になっていますし、お手伝いも楽しいので。

笑顔たくさんの夏の思い出

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ーーここからはお二人に伺います。

(Q1〜4の質問に同時に一言で答えていただきました)

Q1:お祭りは好きですか?

お父さん:好きです。
李香さん:好きです。

Q2:この町のいいところ。

お父さん:思いやりがある。
李香さん:明るい。

ーーやっぱり町のよさは人でしょうか。

お父さん:そうですね。みんなあったかくて、いい意味で世話好きというか。

李香さん:くだらない冗談でみんなで笑い合うことが多くていつも笑顔がたくさんあります。

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Q3:お祭りで一番好きなもの。

お父さん:お神輿。
李香さん:木遣り。

ーー李香さんは、きや…?

李香さん:「木遣(きや)り」。謡うんですよ、お神輿が出る時に。小さい頃から好きなんです。男性の低い声がすごいかっこよくて、木遣りを聞くと、「あ、お祭りだな」って思います。

Q4:自分の家族のいいところ

お父さん:明るい。
李香さん:なんでも一生懸命。

李香さん:例えばお祭りの日はみんな朝ものすごく早起きしてお祭りを頑張って、終わって帰ってきてバタッと寝る、というのを見てきたので、何事にも全力投球でいいなって思います。
それに、みんなで応援しあえる家族です。私のやりたいことにも反対せずに「じゃあやってみな」って言ってくれます。

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親から子へ、確かに受け継がれる地域愛。

ーーお二人での思い出を教えていただけますか。

李香さん:一番の思い出は、高校受験の時に父と合格祈願に来たことです。
お父さん:うん、寒かったね。
李香さん:秋から冬に変わるくらいの時に神社に来て、寒い中祈祷してもらいました。

お父さん:僕の思い出は、たくさん一緒にお祭りに参加したことです。お神輿の前で金棒を持って歩く「鉄条」という役目を、娘や彼女の同級生にやってもらったこともありました。

ーーこの地域のどんなところが好きですか。

李香さん:歩けば知り合いの人によく会えて、いつも「元気?」とか「お父さんお母さん元気?」とかって声を掛けてくださるところです。そういうコミュニケーションが取れて色んな世代の方達とお話しできるのがいいです。
みんな温かくて、失敗してもうまく行ってもみんなが声をかけてくれて、よく頑張ったねって言ってくれます。

お父さん:小野照崎神社の氏子はかなり範囲が広いのですが、初めて会った人同士でもすぐに打ち解けることができます。みなさんお祭りの体験をしていて、一緒にいなくても共通の思い出があるおかげだと思います。
そういう意味では本当に大きい家族のように感じていますね。

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ーーこれからどんな町になってほしいですか。

お父さん:昔から色々なものを受け継いできた町なので、下の世代に何かを渡せるような形で発展していきたいです。行事には自然と仲間に加わりたくなるように心がけています。それを見た子どもたちが地域の活動をしたいと思ってくれれば嬉しいですね。
地元の絆を大切にしてゆっくりと確実に継承していくような町づくりを目指したいです。

李香さん:友達とは、よく話しているんです。私たちの世代はまだお祭りへの関わりが薄いけれど、将来、お神輿を担ぐだけじゃなくてみんなで役割を持てたらいいねって。

ーーすごく素敵ですね。氏子青年会に入りたいと思いますか?

李香さん:はい。入りたいと思っています。社会人になったら。

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地域の方の思い、いかがでしたでしょうか。
この記事は、「明日を始める夏に。」小野照崎神社 令和2年 大祭特別企画 でのインタビュー記事です。

みんなでお神輿を担ぐことができない夏。
この機会に、会えないからこそ、お祭りを通じた繋がりや地域の和を今一度感じることができたらと、「お祭りのスペシャルコンテンツ」を制作しました。

こちらの特設サイトから、ドキュメンタリー映像やその他の特集記事もご覧いただけます!

小野照崎神社(おのてるさきじんじゃ)

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東京の下町 入谷にある学問・芸能・仕事の神様をお祀りする神社です。
御祭神は、平安時代有数のマルチアーティストである 小野篁(たかむら)公。文鳥を愛する絵画の神様で、百人一首にも登場したり朝は朝廷に夜は冥界に出勤される多動な神様です。852年⛩創建 、境内には重要文化財の富士塚も🗻

東京メトロ日比谷線 入谷駅 4番出口 より徒歩3分
JR山手線 鶯谷駅 南口 より徒歩7分

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「明日を始める夏に。」小野照崎神社 令和2年 大祭特別企画
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