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【偏愛】吉田のうどん【自宅編】

久しぶりに偏愛を語ることにする。吉田のうどんが好きだ。僕は最近焼きそばの人として知られることになってしまったが、麺と云えば何よりもかによりも吉田のうどんだと考える。吉田のうどんとは山梨県富士吉田市を中心にその近隣で食べられている郷土料理のうどんである。特徴としては硬いこと。硬くて非常にコシの強いうどん。日本一硬いと云われている。

僕が吉田のうどんのことを知ったのは雑誌dancyuの誌上で、とある方が吉田のうどんに惚れ込んで東京都内(戸越の辺り)に吉田のうどん専門店を開店したと云う記事を読んだのがきっかけであった(現在は既に閉店)。興味があったのでそのお店に何度も通ってうどんを戴いた。大変に美味しいと思っていたが、その後に現地で食べてみたら本物は全く違った。うどんが本気で硬い。こんなにも硬いのかと驚いたほどに硬い。そして心からその硬さが気に入った。以来何度か(大した回数ではないと思うが)富士吉田市を訪れて吉田のうどんを戴いた。食べれば食べるほどに好きになり、気に入ったなどと云う段階ではなく、恋愛感情に近いくらいの気持ちが心に宿り続けることとなった。時折吉田のうどんのことを思い出しては恋い焦がれて身悶えしてしまうニンゲンになってしまった。

車の運転をしない僕にとって、富士吉田を訪れるのはなかなかに難しい。電車やバスで行くのも大変だし、ごく希に友人が車で食べに連れて行ってくれるのを期待するのみ。でも吉田のうどんを想う心は募るばかり。そんな僕に朗報があった。横浜市内のスーパーに週に一度、富士吉田から吉田のうどんの生麺が入荷するとのこと。いつもライブの写真撮影などでお世話になっている大原さんにその麺を買ってきて戴いた。ありがとうございます。早速自宅にて吉田のうどんを作ってみることにした。

丸新製麺製、生の吉田のうどん

山梨県富士吉田市の有限会社丸新製麺製、生の吉田のうどん。一袋でも結構な量がある。少しずつ少しずつ大切に使おうと思う。茹で時間はお好みで12分ほどとある。温かい吉田のうどんにしようとすると、煮干しなどで出汁を取って醤油と味噌をハイブリッドで味付けする何とも懐かしい味付けの汁(僕は何故かお祖父ちゃんの作っていた料理のことを思い出す)を作らねばならない。それを再現するのはかなり苦労すると思うので、冷たい吉田のうどんにして味付けは市販のめんつゆなどを使って手抜きしようと思う。冷たい方が吉田のうどんの硬さやコシがより一層際立つので一石二鳥である。

自宅で吉田のうどん試作第1号

まずは作ってみた。試作第1号。汁は手抜きしたが、茹でキャベツは吉田のうどんに必須。温かくても冷たくても茹でキャベツはなくてはならない。そこだけは死守した。オーバーですみません。

自宅で吉田のうどん試作第1号

揚げ玉は、運良く天ぷら店の店頭で「ご自由にお持ち帰りください」のものがあったので、たっぷり使用。茹でキャベツも揚げ玉もお店で食べるより大盛となった。それも自宅で作る醍醐味のうち。

自宅で吉田のうどん試作第1号

味付けは先程も書いたとおり市販の濃縮めんつゆ使用。4倍に薄めて使用。さあどうだ。早速イタダキマス。

自宅で吉田のうどん試作第1号

ウマウマウー。ああ、硬い。たまらなく硬いじゃあないか。シアワセであります。自宅でこんなシアワセが味わえるなんて、本当に本当にシアワセじゃありませんか。箸でこんなにたくさん麺リフトすると、右手がぷるぷると震えてくるくらいに重い。うどんの一本一本が暴れて、揃えるなんて無理。一度に啜れるのは2本か3本と云ったところ。硬いだけでなく、太い、重い、長い、暴れる、等々ちょっと食べるのでも一苦労。でも本当に美味しい。僕は吉田のうどんが大好きだ。本当に好きだ。改めて深く実感した。そして感動した。

自宅で吉田のうどん試作第1号

麺が美しい。その美しさを讃えたい。左から3本目のうどんの下の方が捻れているところなんて世界で最も美しく、扇情的で、美味しそうだと思われないだろうか。

自宅で吉田のうどん試作第1号

混ぜてやれ。とにかく全部混ぜてやれ。茹でキャベツも揚げ玉も渾然一体となって僕を圧倒的に徹底的に歓ばせてくれる吉田のうどん。僕の心の中で拍手が鳴りやまない。ブラボー。吉田のうどんブラボー。そしてこの愛は昂じて更にストイックに突き進むのである。愛は終わらない。偏愛だから手に負えない。

自宅で吉田のうどん試作第2号

ちょっと麺の量を少なくして実験モード突入。試作第2号。味付けは生醤油のみ。出汁の力を借りずに、麺をストイックに味わいたくなったのだ。

自宅で吉田のうどん試作第2号

うどんを茹でたらしっかり冷やしてしっかり水切りする。揚げ玉は近所のスーパーで売っているお菓子みたいなのになっちゃったけどまあそれはそれで。イタダキマス。

自宅で吉田のうどん試作第2号

ウマウマウー。ああこれはいかん。愛でとろけてしまう。冷たくキュッと締まった吉田のうどんの口当たりの素晴らしさ。食べ応え抜群。こんなにウマイモノが世の中にあるのかと驚くほどにウマイ。一時期福岡のやわらかいうどんに心奪われそうになった時期(数年前)があったが、うどんの神様が夢に現れて「お前のうどんはそれで良いのか。吉田のうどんを忘れるなかれ」と僕を導いてくださった。福岡のうどんも美味しいけれど、やはり僕はこっちだ。もう迷ったりしない。

自宅で吉田のうどん試作第2号

生醤油でも充分。却って味わい深いものがある。うどんそのものの持ち味の奥深さを知る。ありがとうございます。感謝しかない。でも偏愛だからここから曲がるんだよ。曲がっちゃうぞ。

レトルトの吉田のうどん

ちょっと話は逸れるが、レトルトの吉田のうどんを戴いた。麺と具材とスープが一袋になった、鍋いらずのオールインワン、便利で簡単、レンジでチンするだけ、とキャッチフレーズのオンパレード。山梨県甲州市の株式会社信玄食品製です。

レトルトの吉田のうどん

500Wの電子レンジで3分30秒で出来上がり。本当に簡単。丼に移す時にヤケドとか注意。熱いですよ。

レトルトの吉田のうどん

丼がちょっと大きすぎた。まあいいか。

レトルトの吉田のうどん

うどんに汁がしっかり沁みているのがこの時点でよく判る。イタダキマス。

レトルトの吉田のうどん

ウマウマウー。でも、ああ、これは、麺が硬くない。世間一般的にはこれでもコシがあってさすがは吉田のうどんだと思われるのかも知れないけれど、僕には別物に思える。これがちくわぶであるなら、この沁み方は正義にもなろう。しかしこれは吉田のうどんだ。硬さこそが命なのではないか。ちくわぶ吉田のうどんの境界線。そこに類似性や共通点も考えられるのだが、いやそうじゃない。そんな風に考えちゃいけないんだ。決してそうじゃないんだよ。僕の何を試そうと云うのだ。忠誠心か。信仰心か。それとも。すみません戯れ言はこの辺にしておきます。

レトルトの吉田のうどん

汁の味は吉田のうどんならではのあの素朴な感じを再現出来ていると思った。この汁だけを取り出して、先出の茹でたてのうどんと合わせたらかなり完璧な吉田のうどんになるのではないだろうかなどとも考えた。茹でキャベツも足して。また入手したら試してみるか。いや、ちゃんと吉田のうどんらしい汁を作るべきか。ふと調べてみたら吉田のうどんつゆって同じ丸新製麺から発売されてるの発見。アマゾンで買えるのか。なんだー知らなんだー。今度入手してみます。閑話休題。

自宅で吉田のうどん試作第3号

突然ですが飛躍します。試作第3号吉田のうどん焼きうどんを作ってみた。ありそうでないでしょ吉田の焼きうどん。見たことないです。なので自分で作ってみました。はっはっはっ。何故か高笑いが出る。

自宅で吉田のうどん試作第3号

具は豚肉とキャベツ。味付けは醤油。出汁少々とマルモ(富士宮)の焼きそばソース(とても使い勝手が良いのです)もプラス。岩下の新生姜スライスも忘れずに。イタダキマス。

自宅で吉田のうどん試作第3号

ウマウマウー。イイじゃないか焼きうどん。しっかりと食べ応えのある焼きうどんになりましたよ皆さん。焼こうが何だろうがやはりしっかり硬い。でも意外にも油との親和性もあるのだと認識。僕の大好きな言葉「剛柔よろしきを得よ」そのものではないか。

自宅で吉田のうどん試作第3号

お店で食べる吉田のうどんは、提供の早さも一つの特徴。腹持ちのするうどんをお昼にさっさと食べて午後の仕事もがんばろうと云うのがコンセプト。だからこんな風に茹でて焼いてなんて時間をかけちゃいられないんだよ。なるほどそうなんだ。って誰と会話をしている。全て僕の脳内妄想ですすみません。でもこのハイパー焼きうどんはリピート決定。満足度高し。でもまた閃いた。もう一つ作ってみよう。

自宅で吉田のうどん試作第4号

これもありそうでなさそうなヤツ。試作第4号吉田の釜玉うどんであります。茹でたてのうどんに生卵を落としただけ。さあどうだ。どうだどうだ。

自宅で吉田のうどん試作第4号

日本人だけのスパゲッティを作っていて思い付いたのだった。ぼやぼやしているとうどん同士がすぐくっついてしまうので(焼きうどんの時に実感)さっさとかき混ぜるべし。塩少々で味付けをして、イタダキマス。

自宅で吉田のうどん試作第4号

ウマウマウー。これは皆さん、アリですよアリ。とてもとてもウマイと思います。熱いうちが勝負。でもそんなにするするとは啜れない。うどんが暴れる。下手に啜ると卵液が飛び散ります。洋服に注意。でも急ぐべし。冷めるのも早い。

自宅で吉田のうどん試作第4号

醤油も垂らしてみた。カンペキデス。釜玉に生醤油。サイコーデス。口当たりも食べ応えも最上級。ますます愛が深まった。アイシテマス。吉田の釜玉うどんブラボー。吉田のうどんで試してみたいことはまだまだある。愛に終わりがないようにうどん探究も果てしない。ああここにも果てしなきが生まれてしまったのか。でも程々にします。僕にとって吉田のうどんは御褒美的な意味合いもある。何かを達成したりしたら、また吉田のうどんを楽しみたい。そして富士吉田もまた訪れたい。それにしても富士山のあっちことこっちに(富士宮と富士吉田)僕の大好きなものがある。富士山の辺りにはまだまだ僕を魅了するものがあるかも知れない。それも探してみたい。ぼちぼちやります。久しぶりの偏愛、長くなってしまった。これからは短いのもやろうと思います。本日はこの辺で。お付き合いありがとうございました。

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