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ウルトラ作戦第一号【ベムラー】

1966年7月10日に初放映されたウルトラマンの記念すべき第1話「ウルトラ作戦第一号」。宇宙の平和を乱す悪魔のような怪獣ベムラーを宇宙の墓場に護送中に取り逃がした宇宙警備隊員であるウルトラマンが、地球で科学特捜隊ハヤタ隊員の操縦するビートル号と衝突しビートル号は炎上し墜落、搭乗していたハヤタ隊員は死亡。窮余の策としてウルトラマンはハヤタ隊員と生命をシェアし地球に留まることとなった。ウルトラQを除いたウルトラシリーズで最初に地球人の生命を奪ったのは、何のことはないウルトラマンだったのです。

ウルトラマンと呼ばれる宇宙警備隊員が犯したミスにより地球は脅威に晒され、その後の地球はウルトラマンと云う存在に脅威から守られる術を得た。ウルトラマンはさほど縁もない地球に留まって地球のために尽力することとなる。それが安全保障の在り方として成り立つのか。力への依存と平和の関係性は如何なものなのか。そうした検証は多くの専門家になされて来たであろうし(その昔、ウルトラマン研究序説なんて本もありましたね)ここでは深く触れないようにする。でもウルトラマンと戦争は隣り合わせなのだと子供の頃からずっと感じていました。近いうちにそれについては書こうと思います。

全然関係ない話に飛びますが、ベムラーが落下した龍ヶ森湖の湖畔でキャンプをしていた若者達がウクレレを弾きながら歌っていたのがザ・ブロードサイド・フォーの「星に祈りを」と云う曲。「若者たち」と云う曲は小学校の遠足のバスの中で歌わされた記憶がある。何だかとりとめのない歌だなと思って釈然としなかったのをよく覚えています。それはそうと「星に祈りを」と云う曲がシングルカットされたのが1966年9月でウルトラマンの劇中で歌われたのよりも数ヶ月後。想像するしかありませんが、もうこの歌はレコードになる前にコンサートなどで歌われていてそれを観客が歌い継いでいたのではないか。若者文化が一気に花開いたその時代の空気感が、そのワンシーンに凝縮されているような気がする。でもそのシーンの「星に祈りを」をよく聴くと歌詞もちょっと違うし(「ささぐ」が「こめて」になっている)、リズムも全く違う(劇中ではメロディーがハネている)。ほんのさわりだけなのですが、そのズレにまた僕を未だにときめかせる何かがあるのです。

2019年に公開された映画「翔んで埼玉」。ありとあらゆる埼玉のネタがぎゅう詰めでしたが、出てこなくて残念だったのがウルトラマン。この記念すべき第一話でウルトラマンが飛来した最初の土地は埼玉なのです。それが証拠に科学特捜隊にビートル墜落の一報を電話してきたのは「埼玉県警の警ら隊」なのです。龍ヶ森湖はどこであろうが、とにかく埼玉県です。この初放映後半世紀以上に渡って日本を、いや世界を、いや地球を守り抜いてくれた最初のウルトラマンが最初に降臨したのが埼玉県なんです。もし僕が埼玉県人なら一生その栄誉を抱いて生きて行くと思う。「翔んで埼玉」惜しい。スタカレーも出なかった、惜しい。神奈川県が悪者扱いだったのも悔しい。こんな風にして50数年前と今現在がない交ぜになっている僕は、毎日脳内からの魑魅魍魎がダダ漏れ状態のまま収拾が付かなくて「まあいいや」と思いながら夜遅くまで起きています。夜は静かで好い。最近は特に静かで昔々の夜の静けさと奥深さを思い出しています。夜はどこにでも繋がっていて、でも何にも触れられない。


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