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甘口カレーを大人カレーにするスパイス

先日、雑誌の取材で東京は中野の進化形焼きそば店『YAKISOBA & GROCERIES 一服』に伺った時、取材終わりにお土産を戴いたのですが、それが「甘口カレーを大人カレーにするスパイス」なる小瓶に入ったペースト状のスパイス。説明書きには「1スプーンで食卓に笑顔を作るスパイス。」とある。大人の好きなカレーと子供の好きなカレーには差がある。大人が子供用を我慢して食べるのか、大人用と子供用を別に作るのか。同じカレーを(基本は子供用で作るわけね、そりゃそうね)大人が我慢せず、ワンスプーンで簡単に大人用に出来るスパイスを作ってみたと云うことが書かれていた。それも単純に辛くするのでなく、大人向けにコクの深いカレーに変身させるとある。

甘口カレーを大人カレーにするスパイス

これがそのスパイスの小瓶。90g入りである。まず考えるのは大人カレーとは何ぞやと云う点。更には大人とは何ぞや。大人って云うのはだな、と講釈を垂れるつもりは微塵もないが、何だか最近の大人は本当にダメだなぁと思う。自分も含めてだが。そんなダメな大人のカレーの面倒まで見てやるなんて何て親切で慈悲深いのだと感心する。このスパイスの小瓶にはもっとちゃんとやれよ大人達、と云うメッセージが込められているに違いない。込められてないか。そうじゃないよね。失礼しました。

甘口カレーを大人カレーにするスパイス

スプーンで掬うとこんな感じ。スパイスの香りが一気に広がる、と云うのでもない。このまま少し味見すると、ちょっと苦味があるのだ。この苦味こそが大人の正体であろうか。子供は大体苦いものが嫌いである。そこにこのスパイスの狙いがあるのだろうか。早速試してみることにする。

のっさんカレー

いきなり我田引水で申し訳ない。昨年、北海道は釧路の『食肉工房よしやす』から発売されたのっさんカレーを使ってみる。ワタシは全体の監修と云うかチューニングと云うか、それを担当させてもらった。一番に考えたことは辛くしないこと。辛さ控え目で色々な人に楽しんでもらえるようにした。こうした試み(食品プロデュース)は初めてだったが、なかなか好評を戴いている。まだ販売しておりますので興味を持たれた方は是非とも取り寄せて味見してみてください。それはそうとこれに先出のスパイスをプラスするとどうなるのか。まずはこれが気になったので試してみた。

のっさんカレー+甘口カレーを大人カレーにするスパイス

トライアルその1。のっさんカレー+甘口カレーを大人カレーにするスパイス。イタダキマス。

のっさんカレー+甘口カレーを大人カレーにするスパイス

ウマウマウー。なるほど。これは味の奥行きに多少の変化はあるものの全体の印象はあまり変わらない。これはきっとのっさんカレーが甘口ではなく、辛くはないけれどある程度スパイシーであることに起因すると考えた。ウルトラマンとメフィラスが互角に戦うような感じか。ベムスターにスペシウム光線が効かなかったような感じか。そっちへ流すのはやめよう。それならもっと極端にやってみたらどうなるのか。甘口を探せ、である。

アンパンマンカレーと鬼滅の刃カレー

一目瞭然、甘口である。永谷園のアンパンマンカレー丸美屋の鬼滅の刃カレーを用意した。話の流れとしてはここでハウスバーモントカレー甘口を作ってスパイスプラスなのだろうが、面倒だったのでレトルトで攻めることにした。

アンパンマンカレー

まずは永谷園のアンパンマンカレー。1才ごろから食べられますと云うくらいの最もお子様向けの甘口。これが大人カレーになるのかどうか。

アンパンマンカレー+甘口カレーを大人カレーにするスパイス

トライアルその2。アンパンマンカレー+甘口カレーを大人カレーにするスパイス。ミニパック2袋入りなので茶碗カレーにしてみる。この時点で驚くのは、しっかりカレーの匂いがすることであった。カレーのカレー然としたカレーの匂い。凄いことだと思った。

アンパンマンカレー+甘口カレーを大人カレーにするスパイス

ウマウマウー。おおっ。劇的変化である。ヒジョーニウマイ。アンパンマンカレーに全く含まれていない要素(深い旨味や苦味)をスパイスが補って、ちゃんとした洋風カレーになる。もちろん甘いことは甘いけれど、大人もきっと納得の味わい。小っちゃい子供にアンパンマンカレー食べさせて、親御さんはスパイスプラスで結構行けるんじゃないだろうか。これに辛味を足せばかなり攻めの姿勢のカレーにもなり得る。スパイスの本領発揮。なるほど、こうなるのか。

鬼滅の刃カレー

続いては丸美屋の鬼滅の刃カレー。これは対象年齢がもう少し上であろうか。小学校低学年辺りか。シールが付いているのもやはりその辺がターゲットなのであろう。僕が子供の頃はご多分に漏れず仮面ライダーカード蒐集に熱を入れた。結構集めたけどコンプリートなんて夢の夢だった。ウルトラ怪獣だけでなくライダー怪人も全て名前を覚えた。今でも忘れていない。トカゲロンとかヒトデンジャーとかヒルゲリラとかが身体の形状の関係でショッカーベルトをしていないのがどうしても気になって、抗議の電話をかけようかと考えていたことを思い出した。自分のことは例外として考えるのに、他人の例外は認めない子供でありました。それはどうでもいいか。

鬼滅の刃カレー+甘口カレーを大人カレーにするスパイス

トライアルその3。鬼滅の刃カレー+甘口カレーを大人カレーにするスパイス。脱線が過ぎたのでどんどん進める。早速食べてみる。

鬼滅の刃カレー+甘口カレーを大人カレーにするスパイス

ウマウマウー。これは不思議なフルーティーさが際立つカレー。もちろんスパイスの効果は大だが、なかなか不思議な味わいに変化している。大人部分とフルーティーさがなかなか融和しない。アンパンマンカレーのフレンドリーさとは対照的にしっかり領域展開している感じってそれは呪術廻戦か。きっとこの二つを結びつける何かがこの世に存在するのだと思うが、そこまで踏み込むと異次元世界に放り込まれるような気もするのでこれ以上の創意工夫は割愛する。また機会があったら試してみたい。

カレーマルシェ甘口

ふとスーパーの棚にハウス食品のカレーマルシェ甘口を発見した。カレーマルシェの中辛は僕が生涯で最も愛したレトルトカレーである。甘口は、多分食べたことがないと思う。あっても忘れてしまうくらいの回数であろう。これが大人カレーになるかどうか試してみる。

カレーマルシェ甘口+甘口カレーを大人カレーにするスパイス

トライアルその4。カレーマルシェ甘口+甘口カレーを大人カレーにするスパイス。カレーマルシェの何が好きかってマッシュルームがいっぱい入っているところさ。イタダキマス。

カレーマルシェ甘口+甘口カレーを大人カレーにするスパイス

ウマウマウー。やはり子供用カレーに比べると変化の度合いは大きくない。カレーマルシェにあるちょっとした酸味が、スパイスのコクで鎮まった感はある。でも旨味の奥深さとかに多大な影響を及ぼすとかはない。大人の階段のぼる、と昔の歌が頭を過ぎったが、何をもってして大人とするのかその辺が曖昧で、でもまあ曖昧で良かろうと云う事勿れ主義も必要なのであろうかと考えているとまた脱線している。そもそもカレーマルシェが甘口がそんなに甘口かと云うのもあるし、選択として判りづらかったかも知れない。それなら最後にとっておきの甘口を登場させよう。

大塚食品のボンカレー甘口である。この昔懐かしいパッケージはまだ沖縄では現役稼働して販売されている。世界初の市販用レトルトカレー。要するに元祖である。この沖縄限定バージョンは内容も発売当時の味わいそのままである。ボンカレーのパッケージの特徴として、甘口=赤、中辛=オレンジ、辛口=黄色と云うカラーリングである。何となくのイメージとして甘口=黄色、辛口=赤と思いがちだが、そうした既成概念に囚われていてはいけないとボンカレーは僕たちに語りかけているのだ。安易に見た目の印象で判断してはいけない。今日はそう云う脱線ばかりだな。本当にすみません。

ボンカレー甘口+甘口カレーを大人カレーにするスパイス

トライアルその5。ボンカレー甘口+甘口カレーを大人カレーにするスパイス。ボンカレーもこの生涯でどれだけお世話になったであろうか。レトルトカレーがいくら簡単だと云っても、温めたレトルトの袋は熱いし、なかなか全部綺麗にカレーを出すのは大変だし、そう云えば昔はレトルトのご飯どころか保温ジャー(炊飯器と合体するのは随分後のこと)もなかった頃は冷や飯にボンカレーってよくやったのを思い出した。これだとカレーが熱くても冷や飯と混ぜると食べやすい温度になって、熱さを気にせずバクバクと食べられたものだ。野菜嫌いの僕もカレーに入っているニンジンやジャガイモはあまり気にせず食べられていたなぁ。なんて余計な話が長いですね、本当にすみません。

ボンカレー甘口+甘口カレーを大人カレーにするスパイス

ウマウマウー。この組み合わせは効果大。味わいの奥行きが出来て、なるほど大人っぽい感じになる。でもボンカレーのキャラは崩さずに高級ボンカレーと云った様相を呈する。これはなかなか素晴らしい。ボンカレーまで試してみて良かった。組み合わせの妙の1位はアンパンマンカレー。僅差の2位がボンカレー甘口と云ったところか。甘口カレーを大人カレーにするスパイス、ちょっと試してみましたくらいのつもりが大作になってしまった。クレイジーケンバンドの新作『樹影』絶賛発売中です。焼きそばのこともまた書きます。この夏はnoteいっぱい書くつもりなのでどうぞよろしくお願い致します。

末永くがんばりますのでご支援よろしくお願い致します♫