見出し画像

【偏愛】マツバギク

僕はマツバギクが好きです。幼稚園に通っていた頃から百科事典や図鑑を見て植物や花の名前を覚えるのが好きで、小学校に入学した頃にはいっぱしの植物学者気取り。屋外授業でカタバミ、シロツメクサ、ホトケノザ、オオイヌノフグリなどの名前を列挙してして、担任の稲村先生に大変に驚かれた。今でも歩いていて道端の花を見ると、その名前を思い出そうとする。随分と物知りなつもりではいるが、昔から見ていたのに名前の判らない花もまだまだある。修行が足りないなと思う。

そんな僕が偏愛するのがマツバギク。日当たりの良い場所に咲いて、強い日差しの中で金属的にギラギラと反射しているような紫色のこの花を見ると、何故か心が安らぐ。この花と自分の関係性があまりにも緊密に思えて、時間の観念を失い、永遠の夏の中に閉じ込められたような気持ちになる。人が誰もいなくなった空っぽの建物が居並ぶ白っぽい街に、マツバギクのメタリックな紫色だけが染みのように点在する、そんな場所の夢を子供の頃から良く見る。J・G・バラードの「時の声」で殻を作り始めた動物たちのいるような過剰に照らされた世界。その世界に子守歌のように響くカウントダウンの数字。そんなことを道端のマツバギクを見る度に考えてしまうのだから始末に悪い。散歩もなかなか呑気には出来ない。

画像1

マツバギクと云う名前で色々な品種のものが出回っているそうだが、僕が偏愛するのは、デロスペルマ・クーペリー Delosperma cooperi と云う品種。マイナス15度の気温でも越冬出来るので耐寒マツバギクと呼ばれるとのこと。「麗晃(レイコウ)」や「花嵐山(ハナランザン)」との呼称もある多肉植物。この多肉植物と云うワードも僕の偏愛に引っかかって来そうだがまだ深化には時間がかかりそうだ。

このデロスペルマ属には他にも花のカラーリングがたまらなく多彩なのがあって(砂漠のガーネットなんてたまりませんわ)、これ以上検索すると完全に魂を奪われそうなのでここまでにしておく。散歩などしていてマツバギクを見つけたら僕のことを思い出してください。

末永くがんばりますのでご支援よろしくお願い致します♫