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焼きそばの果てしなき旅【その36】

チルド3食入焼きそば方面は、ここまでかなり旅を重ねられたと思う。しかしなかなか行けなかった方面もある。カップ焼きそば方面だ。こちらはかなりのバリエーションがあって、逐一全てを追うことは出来ていない。ここでは変わり種も含め、僕のカップ焼きそば観を少しまとめられたらと思う。それにしてもカップ焼きそばの世界は無法地帯のように思える。その最先端をリードするのは間違いなくペヤングであろう。

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ご存じペヤングソースやきそば。四角くって食べやすい、のキャッチフレーズを覚えているのはもう僕と同世代以上の皆さんかと思う。製造は群馬県伊勢崎市のまるか食品株式会社。発売は1975年(昭和50年)。もうあと数年で50周年となるロングセラー。関東ではペヤングで関西ではUFOと云う勢力分布となっているようだ。ペヤングソースやきそばには若い頃から随分とお世話になった。どれだけ食べたか判らない。そしてこのペヤング、いつ頃からか変化球を投げるようになった。最初の頃はそれ程驚かなかったがそのうち魔球を連発して我々バッターを翻弄し始めた。野球のボールだけではなくサッカーボールもラグビーボールも投げてくるようになった。それらが消えたり炎を上げたり球速200キロだったりするのでお手上げ状態だ。中でも印象に残った典型的なやきそばをご紹介する。

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アップルパイテイストやきそば。他にもチョコ味など甘い焼きそばはペヤングだけでなく他のメーカーも出していたことがある。でも現在はペヤングの独壇場である。とにかく色々な味や具材で攻めてくる。そのペースも驚異的。僕的にはこのアップルパイテイストやきそばが特に衝撃的だった。

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アップルの味や香り、バターやシナモンの香りもするソース、まさにアップルパイテイストである。でも、麺。自分は一体何を食べているのかと空間識失調したような気持ちになった。衝撃的。でももう一段階上の衝撃は、これを素直にウマイと思った自分自身を発見したことだった。

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その証拠に一度食べただけでなく、何度かリピートしたのだった。ウマウマウー。これで良いのか。いやなかなかウマイですよ。本当にこれで良いのか。だからなかなかウマイんですってば。そうした自分自身との対話をしながら食べ進める。でも最終的には和解する。ウマかったですね。はい。我らに自由を。世界に平和を。理解し合えた。でも理解出来ないことも世の中には確実に存在する。

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ペヤング獄激辛カレーやきそば。泣けるほど辛みが強い、とパッケージに書いてある。こうした表示は多少の誇張が付きものであるが、この場合は違う。泣けるどころか、泣く。

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ソースのパッケージが、今見てみるとふざけている。中身はこんなにポップではない。

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麺にソースをかけたところ。まだ混ぜていない。そう辛そうにも見えない。

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混ぜてみるとより一層辛そうに見えない。怖ろしい匂いもしない。

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辛い。辛いを通り越して、痛い。口腔内がとんでもない激痛に見舞われた。僕が20歳くらい若かったら突撃続行したであろうが、無理。一口二口食べてギブアップ。食べられない。食べ物を残すことに極度の不安を感じる僕でもこれは残した。獄の字は伊達じゃない。でもこれを平気で食べる人もおられるだろう。尊敬に値する。僕はそこそこ辛さには強くて、そこそこ辛いモノは今でも大好きだけれど、ここに獄激辛引退を表明する。長い間ありがとうございました。ペヤングの両極。甘いと辛い。その振れ幅を体験して自己対話を重ねた。結論。程々が良いね。普通を愛でよう。

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ペヤング以外にもなかなかぶっ飛んでいるヤツもいる。エースコックのプリングルズ超サワークリーム&オニオン味焼そば。何と云うことだ。更に大盛りであると云う。食事とスナック菓子の味の共通点を発見する度に、どうにも腑に落ちない心境になる僕だが、これはパッケージからしてどう捉えるべきなのだろう。この味を濃厚&リッチに堪能、とあるが、それがポテトチップのままではいけないのか。何故焼そばにその堪能を求めるのか。そんな余計なことを色々と考えた。

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それでも作って食べてみないと判らない。食べてみてからまた考える。

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ウマウマウー。これが何と驚いたことに、ウマかったのだ。こうした変わり味のカップ焼きそばは色々と食べたが、このプリングルズ焼そばは味わいにそう奇を衒ったところも感じられず、スイスイと食べ進められた。確かにプリングルズのあの味なのだが、ポテトチップよりもこちらの方が塩っぱさにギシギシしたところがなくて、上品さすら感じてしまった。カップ焼きそばの未来はこの辺りの製品にも垣間見えるのではないか。そしてウマイじゃないかとこれを受け入れてしまった自分自身も愛でることにする。よしよし。

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これは王道方面なのだろうが、エースコックの新食感焼そばモッチッチ。真空仕立て麺、とは居合抜刀ような大仰なキャッチフレーズである。まるで、手づくりのあの焼そば、とあるがそれが何を指しているのか判らない。とにかく説明が色々ある。これが現代と云うものなのか。

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上部のデザインでは、国産鰹だし、ふわり香る、を押し出している。作り方もここで説明されていてなかなかに賑やかである。

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ウマウマウー。思ったよりもキュッと締まった麺の仕上がり。味付けは過度なところがなく、程好い和風ソース味。それぞれのキャッチフレーズに対応するそれぞれの現実は、多少の割引感はあるにせよ、僕をしていちいちナルホドと思わせるものだった。オールドスタイルとニュースタイル。このニュースタイルが主流になってくるのだろうか。それにしてもモッチッチと云うネーミングはどうしてもモンチッチを想起させて、更にハマのモンチッチと呼ばれた吉村裕基選手(2021年4月現在・九州アジアリーグ火の国サラマンダーズ所属・選手兼コーチ)のことを即座に思い出してしまうこじれた横浜DeNAベイスターズファンの僕です。

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カップ麺に多く見られる有名店との協力・監修商品。カップ焼きそばの世界にも時折見受けられる。こちらは明星の東京・神保町みかさ監修塩焼きそば。実際の店舗での商品と比較対照が可能だ。

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こちらが神保町やきそばみかさの焼きそば塩味ブログにレポがあるので参照してください。監修はどの程度までなのか、検証する。

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ソースにはかなりの量の油脂が含まれていてちょっとビビった。最後に魚粉なども入ったふりかけをかけて出来上がり。

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ウマウマウー。麺はかなり太い。もっちりとした食感。食べ応えもしっかりある。ただもう少し平たいツルッとした麺(きしめんみたいな)にした方が似るのではないかと云うのが僕の個人的感想。味付けの中の酸味はオリジナルのレモン一片の再現であろうと推測されるなど、かなりのディティールにまで踏み込んでなかなかの完成度となっている。とにかくボリュームたっぷりなのでお腹いっぱいになります。満足度大。

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僕の現時点でのカップ焼きそばランキング1位は、KALDIの上海風やきそば 上海風炒麺。何と云うパッケージデザイン。パンダ2頭。カワイイ。

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ソースにはサッポロ一番でお馴染みのサンヨー食品株式会社の表記。

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株式会社キャメル珈琲(カルディコーヒーファームを運営)とサンヨー食品株式会社の共同開発商品であるとのこと。そうかそうだったのか。ふむふむなるほど。

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とにかく出来上がり。具の感じが他とはちょっと違う。

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かやくはチンゲンサイとニンジンとキクラゲ。この具材の取り合わせが珍しい。

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ウマウマウー。麺とソースの味わいがナイスマッチ。オイスターソースの風味が絶妙。そしてかやくのキクラゲのこりこりとした食感が得も云われぬアクセントを加えていて天才的。ここだけの話だけれど、他のカップ焼きそばを食べた後に感じる逃れようのない軽い胸焼けが、この上海風やきそばには感じられなかった。それだけでも秀逸。どうやら数量限定商品のようなので見つけたら即ゲットをオススメする。僕もそうする。

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カップ焼きそばのことを考えるに、どうしても逃れようがない問題は、焼きそばと銘打たれていてもカップ焼きそばは焼いていない云うこと。焼きも炒めもしないのに焼きそばとはこれ如何に。人類が直面する大きな問題の一つであろう。これからも深くその問題には関わっていきたい。

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焼きそばの果てしなき旅はまだまだ続きます。

【索引】焼きそばの果てしなき旅

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