焼きそばの果てしなき旅【その45・めん亭はるもとの麺2021前篇】

昨年もご紹介した愛知県名古屋市の名店『めん亭はるもと』の麺を再度使わせて戴く栄誉に与った。昨年書いた記事もご参照ください。
・焼きそばの果てしなき旅【その6・めん亭はるもと前篇】
・焼きそばの果てしなき旅【その7・めん亭はるもと後篇】

「小野瀬さん用にチューニングした麺ですよ」
そうなんです。この麺のチューニングは僕に合っているのだ。チューニングはギターでも難しいのに麺をチューニングしてもらうのだ。こんなに嬉しいことはない。焼きそばの旅を続けていて良かった。何事も始めたら続けるべきだと思う。何のこっちゃ。さあ焼きそばを作ろう。

軽く茹でて水で麺を締める。これはここまでずっと焼きそばを作ってきて自分なりに「これだ」と思ったやり方。麺を予め茹でたりレンジにかけたりして、それを水で洗って締める。これが麺の状態を自分好みに近付けてくれる。僕は誰が何と云おうと麺硬め派。立ち食い蕎麦とかで「麺を硬めに」とはさすがに注文しないけれど、硬めにしてくれるなら最も硬くしてもらう。一時期福岡のやわらかいうどんにハマっていた時に、夢の中に神様が出て来て「やわらかい麺に現を抜かすなど言語道断、今までお前が生きて来た意味は硬い麺を愛でることではなかったのか」と叱責されてふと我に返った。福岡はうどんはやわらかいがラーメンは硬くするじゃないか。バリ硬どころではなく、粉落としやナマと云うのまであるじゃないか。硬い麺ブラボー。富士吉田うどんを思い出せ。あの太く硬く、啜って呑み込むなんて絶対に出来ないうどん。食べているとアゴが疲れてくるうどん。あれこそが麺の神髄ではないだろうか。いや全部の麺が奥歯でキシキシと噛むような硬さでなくてもよいけれど、しっかり麺の芯が感じられるくらいではありたい。アルデンテ。ああアルデンテ。アルデンテを拒絶するような太くやわらかいふにゃふにゃスパゲティも好きだけれど、アルデンテはやはり素晴らしい思想だと考える。話は逸れるが、日本のご飯で芯が残っているとあまりよろしくないが、リゾットなら芯が残っていてナンボと云うその価値観の差にどうしても埋めがたいギャップを感じるのだ。でもそのギャップこそが世界の面白さではないのか。互いの異なった価値観を認め合ってこその世界平和ではないのか。全ての麺に自由を。全人類に愛を。すみません取り乱しました。本題に戻ります。とにかく麺を水で洗って締めます。レッツゴー焼きそば。

2021年試作№001（はるもと通算№012）。ソース焼きそば。具はキャベツのみのストイックバージョン。ソースは名古屋のコーミソースを使用。特に何の工夫もなしにフツーに作った。

昨年の試作に比べて麺の艶や張りが断然違う。これが僕の積み重ねてきたスキルの現出。パッと見、美味しそうでしょ。ちょっと威張る、えっへん。

ウマウマウー。とても幸せな味がする。自分を満足させるために自分勝手にやっているだけだから他の何とも比較のしようがないが、確実に僕は焼きそばのどこかの境地に到達しつつある。深い愉悦。そしてまだまだ考える。これはきっともっと味が濃くても良いのだ。この麺ならもっと色々な味を支えてくれるだろう。進んでみよう。

2021年試作№002（はるもと通算№013）。続ソース焼きそば。豚肉キャベツ入り。ソースはたっぷり入れてみた。

更に麺の艶アップ。如何でしょうか。

ウマウマウー。こりゃたまらん。麺の口当たり、歯応え、味わい、香り、それらが現れては暫し留まり、ゆっくりと消えて行く。どんな味付けにも干渉されない麺自体のパワー、そして愛。この愛を深く味わう僕の歓びたるや。独り占めしてしまってすみません。いつの日かこの焼きそばの歓びを分かち合えるように色々と画策します。こんなご時世ですからゆっくりとやります。ですのでゆっくりとお待ちください。それでは次行ってみよう。

2021年試作№003（はるもと通算№014）。しじ美醤油味焼きそば。具は豚肉とキャベツ。ふと思い立って醤油方面に行ってみた。

【その43】でもご紹介したしじ美醤油。北海道札幌市清田区のラーメン店『らーめん 虎』開発の、網走湖で獲れたしじみの風味たっぷりの醤油。

これを最高の麺と合わせるのだ。ロックンロール。

ウマウマウー。これまたたまらん。ステキな味わいなのだ。油脂と合わさった醤油が少し焦げたイイ香りが麺とベストマッチ。いやいやこれはウマイ。焼きそばと云えばやはりソース味で、続いて塩味なのだろうけれど、他にも色々な味付けがあるし、バラエティーがいっぱいあっても良いじゃないかと思う。幾つか思い当たるところもあるので醤油の世界にも立ち寄ってみるつもりだ。やりたいことや行きたいことがいっぱいありすぎてクラクラするけれどムッシュムラムラとがんばります。

めん亭はるもとの麺2021後篇に続く。焼きそばの果てしなき旅はまだまだ続きます。