見出し画像

心電図のノイズ

こんばんは。今日は臨床の場でよく見かける心電図のノイズについて書いていきます。
私は理学療法士ですので、運動負荷をかけている際のノイズについての内容をメインにしていきたいと思います。

ノイズは正確にはアーチファクトと言います。アーチファクトとは人工産物という意味であり、心電図以外の現象のことを指します。

これには様々な要因があり、皮膚と電極の接触抵抗の変化、周囲の機器の電磁波の混入、筋電図などが挙げられます。




接触抵抗

接触抵抗の要因としては発汗やゲルの乾燥が挙げられます。
発汗していると電極との間にできた汗が抵抗成分となり、きれいな心電図が読み取れなくなります。電極を装着する前には、その部位をしっかりと拭きましょう。
心電図用ゲルには皮膚との抵抗を軽減する効果があるのでしっかりとつけましょう。
最近の心電図電極は初めから乾きにくいゲルが貼付されていますが、古くなって使用期限が切れていたり、あるいは不良品があった場合にはノイズが混入しやすくなります。その際には電極を新しく貼り替えるのも一つの方法です。

周囲の機器の電磁波

心電図をとる際に、周囲に心電計以外の機器が存在すると、その機器の電磁波が心電計に影響を及ぼし、結果としてノイズが混入することがあります。

筋電図の混入


おそらくリハビリ職員が臨床で困惑するのが、この筋電図混入によるノイズかと思います。安静時には問題なかった波形が運動をすると心房細動のような小さな波形が出たり、基線が上下に揺れることがあります。場合によっては心電図上にはRUNやVTなどの運動負荷を中止すべき表示が出ることもあります。

図1
図2 ドリフト

運動をしているとこのような波形を度々見ます。原因としては電極とペーストの間に発生する分極電圧の変動があります。患者さんが運動をすると電極が動くことがあり、その際にノイズが混入したりドリフトが発生します。また運動により衣服が擦れたり、呼吸が大きくなったりすることも発生の要因となります。

対策としては、、、
 電極に衣服がかからないようにする
 呼吸の仕方に気をつける
 汗をかいていたらタオルで拭く
 心電計を身体に密着させない
 等があります。

電極を貼る位置は合ってる?
場所は筋肉の上を避けて、両鎖骨の下と下胸部がいいでしょう。 
赤=右鎖骨下、黄=左鎖骨下、緑=下胸部です。

その波形はノイズ?不整脈?

ここで困惑することは、その波形がノイズなのか本当に起こっている不整脈なのかという見極め方ではないでしょうか。
正直に言えば、確実に見極める方法はないと思います。専用のノイズを除去する機器を使用すれば可能ですが、そんな機器がどの医療機関にも備わっているわけではありません。そのため確実な方法はないと言っていいのかもしれません。そんな中でも安全に運動を行うためノイズなのか不整脈なのかを判断する場面はあります。ここからは私の経験上の話を記していきますので、もしかしたら誤った情報もあるかもしれません。あくまで参考程度に読んで頂ければ幸いです。

大前提として、その患者さんの普段の心電図をしっかりと把握しておくことが重要です。

上記の図2のように、運動負荷をかけると同時にドリフトが出現するようであれば、それはほぼ間違いなくノイズでしょう。運動を止めるとすぐに元に戻ると思います。

上記の図1のような心房細動を想起する小さな波形が出現することがあります。
その時はR波とR波の間隔を見て下さい(R-R間隔)。心房細動であれば、R-R間隔は一定ではないはずです。そのためR-R間隔が一定であれば、心房細動のような小さな波形が出現しても、それはおそらくノイズだと考えられます。

不整脈には期外収縮、心房細動、心房粗動、心室頻拍、心室細動のような頻脈性不整脈と、洞房ブロック、房室ブロック、脚ブロックのような徐脈性不整脈があります。それぞれの不整脈には特徴的な波形があり、またその波形を呈する理由があります。これを理解しておくことで、目の前の波形がノイズなのか不整脈なのかを見極める上ではとても重要となります。
基本となる波形と、異常な波形をしっかりと見極められることが、ノイズかどうかの判断には必要ということです。
下記に「心電図の見方」のページを貼付ますので、よかったらご参照ください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?