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心電図の見方! 国家試験対策におすすめ!看護師、PT、OTの学生必見!

こんにちは。臨床経験15年のPTです。若手セラピストや実習生に日々指導する中で心電図が苦手という方が圧倒的に多いです。
私自身、国家試験時には苦手意識があり、正直丸暗記で覚えました。しかし、それでは臨床の場面では生かされません。今回は心電図の波形の覚え方や特徴をしっかりと理解しながら試験対策にもなる内容にしていきたいと思います。


まずは心電図の波形の意味を知りましょう。

私の覚え方としては、それぞれの波形や組織に役割を与えます。そして心臓を一つの会社として説明していきます。心臓は血液を全身に送り出す会社です。

では、それぞれの波形と組織に役割を与えていきます。

洞結節:指令を出す(社長の仕事)
P波:心房の興奮(秘書の仕事)
PーQ:房室結節-中継役-(専務の仕事)
QRS波:心室の興奮(平社員の仕事)
T波:心室の興奮が冷める

各部位の役割

基本的には社長(洞結節)から司令が出ると、秘書がそれを受けて心房を収縮させながら専務(房室結節)に司令を伝えます。それを受けた専務が平社員(心室)に伝達し、司令を受けた平社員は心室を収縮させます。これらの過程で心臓内の血液を全身に送り出しています。

以上を踏まえて、国家試験に出題されやすい波形について特徴と覚え方を記していきます。

房室ブロック

房室ブロックは房室結節(専務)の時点で何らかの影響により、適切に伝達が出来ていない状態を指します。つまり伝導障害が起こっているということです。
房室ブロックには大きく分けて3段階あります。順番に記していきます。

第Ⅰ度房室ブロック

房室ブロックではPQ時間が延長します。本来、PQ時間は0.20秒以内です。心電図の1マスが0.04秒なので、5マス以内であれば正常ですが、上記の図ではPQ間隔は7マスとなっているため0.04秒×7マスで0.28秒となりますので、異常ということになります。つまり伝達が遅延しているのでブロックということになります。

第Ⅰ度房室ブロックでは、社長の司令を秘書が専務(房室結節)に伝えに来ましたが、専務がトイレに入っていたので、対応が少し遅れてしまったような状況です。でも秘書から司令を受けることが出来たので、それを平社員(心室)に伝えることで、少し遅れはしましたが無事収縮する(QRS波)ことが出来ています。

特徴:PQ時間の延長(伝導障害)はあるが、QRS波(心室の収縮)は認める。

第Ⅰ度房室ブロック


第Ⅱ度房室ブロック

第Ⅱ度房室ブロックもⅠ度と同様にPQ時間が延長します。しかし延長の仕方が少し違います。そのため第Ⅱ度房室ブロックはウェンケバッハ型とモービッツⅡ型に分類できます。

ウェンケバッハ型

ウェンケバッハ型

特徴:PQ時間が徐々に延長(伝導障害)し、ある時QRS波が欠如する。

どういうこと?
第Ⅰ度と同様に秘書が専務(房室結節)に司令を伝えにきました。でも、専務は下痢でトイレにこもっていました。最初は遅れながらも秘書からの連絡に対応できていましたが、下痢により徐々に対応するまでの時間が遅くなってきます(PQ間隔が徐々に延長)。そして、最後にはトイレから出ることが出来ず、秘書からの連絡を受けることが出来なかったのです。
そのため平社員に司令を伝達できず、結果として心室は収縮しませんでした(QRS波の欠如)。

ウェンケバッハ型


モービッツⅡ型

特徴:ウェンケバッハ型とは違って、何の前触れもなく突然QRS波が欠落する。

どういうこと?
第Ⅰ度と同様に秘書が専務(房室結節)に司令を伝えにきました。それに対して専務も都度ちゃんと応答し、司令を平社員(心室)に伝えています。そして平社員も指示通りに心室を収縮させています。しかし、ある時専務に耐えられない程の激しい下痢によりトイレに駆け込み、出られなくなりました。その時、秘書が訪ねてきても応答することが出来ませんでした。そのため平社員にも指示を伝えることが出来ず、収縮しませんでした。

モービッツⅡ型

ウェンケバッハ型とモービッツⅡ型ってどっち危険?
どっちがハイリスクなの?っ気になりますよね。これも専務の気持ちになって考えるとわかると思います。徐々に症状が出る下痢と、前触れもなく発生する下痢とどちらが大変ですか?おそらく突然の下痢の方が困りますよね。それと同じで房室ブロックも突然の出現の方がリスクが高いということになります。


第Ⅲ度房室ブロック(完全房室ブロック)

完全房室ブロック

特徴:P波、QR S波共に独立して出現。各々で興奮のペースが違うので、PーP間隔とQーQの間隔は同じではない(PーP間隔の方が短い)。

どういうこと?
これまでの房室ブロックとは違って、専務がトイレから全く出てきません。そのため、秘書が訪ねてきても全く対応ができません。それだけでなく、平社員にも指示を出せないので、心室の収縮が滞ってしまいます。しかし、それでは全身に血液が供給されず大変なことになるので平社員は独自に心室を収縮し始めます。心室には自動能という機能があり、社長(洞結節)からの指令がなければ自分自身で興奮して心室を収縮する機能が備わっています。でも、社長からの指令通りに動くよりペースが落ちてしまいます。一方で心房は社長の司令通り秘書が心房を収縮させているので心室より早いペースになります。そのため上記の心電図のようにPーP間隔に比べてQーQ間隔が長くなるのです。そして心房と心室は各々のペースで収縮をしているので、両者には一切の関連がない状態となっています。全ては専務(房室結節)が一切機能していないことが原因です。

完全房室ブロック

ここまで房室ブロックの波形となります。

まとめ
第Ⅰ度:PーQ間隔の延長はあるがQRS波は認める。
第Ⅱ度:QRS波の欠落がある。ウェンケバッハ型は徐々にPーQ間隔が延長するが、モービッツⅡ型は前触れなくQRS波が欠落する。
第Ⅲ度:心房と心室に関係性がなく、お互いに自身のペースで独自に興奮している。


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