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力戦奮闘記④ToGo

当時は緊急事態宣言や、まん延防止等重点措置における時短営業規制みたいなのがあったから、販路拡大的な意味も込めてテイクアウトにも力を入れることにした。
ピーク帯で少し混んでいても、それでも自分の手が空く時間があったからだ。

と、いうわけで、心の中にはこっそり広告効果もあるだろうって期待も秘めつつ、売上を上げるためにテイクアウトに力を入れ始めた。
生パスタのテイクアウトって結構難しくて、何回も試作したよね。
それこそ麺の種類やセモリナ含有量だったり、パスタソースや包材も色々考えてみたし探したんだった。
新卒で働いてたイタリアンでもパスタのテイクアウトやデリバリーをやっていたもんだから、ある程度の知識や知見はあったけど、1から自分でオペレーションを組むのって意外と難しいもんだと思った。

違いとしては、今まで冷凍麺や乾麺しか使ったことがなかったんだけど、当時の店舗は生麺だったこと。
パスタソースが生クリームを使ったクリームソースじゃなくて、ベシャメルベースだったこと。
大きいところはそれくらいかな?
色んなイタリアンのテイクアウトを買ってみたり、包材探しをやった記憶がある。

そんなこんなでテイクアウト自体は、やろうと決めた月にスタートを切ることができた。
ほとんど休みっていう休みなんてなかった気がするくらい動いてたからね。
それが楽しかったし、きっと結果に繋がるだろうと思って。
まあ、努力や行動量に対して数字が比例しないことなんて誰でも分かることだろうけど、その時はそんなことよりも真面目に働いてる自分が好きだったのかもしれない。

実際にテイクアウトを始めてみると、まあ、そんなに来ないよね。というか、全くもってテイクアウトが入らない。
これは販売戦略を考える上で1番大事なことであり、基本的なことだと思うんだけど、
例えばテイクアウトをやろうとしたとして、
どういう客層が、どういうシチュエーションのときに、どういう商品を求めているか」ということをしっかり考えてから走り出すべきなんだよね。
要するに需要をより具体的に想像するってことを全くしなかったんだ。
販路を増やしたら少しくらい売上は上がるだろうって、ポンと思ったからやってみた、というなんとも浅はかな行動だったよね。
YouTubeの「歌ってみた」シリーズ的なノリで弾けるかなって思って。

まあ、なんだかんだ継続ってのは大事なことで、いつかは認知されるだろうなあっていうのでお店の外に"テイクアウト可能"みたいなのを掲示してみたり、テイクアウトメニューを作って外に置いてみたり、とにかく認知を広げることをダサくもがむしゃらに頑張ったのが功を奏した。
気づけばテイクアウトも当たり前に入るようになったり、電話でのテイクアウト予約が入ったりするようになった。

さらに、テイクアウトをして会社で食べている人を見て、同じ会社の人がその匂いに釣られてお店に来たりしてくれたりと、一定の広告効果も生むことができた。
といっても全体として大きな額ではなかったけど。

やってみて分かったことは、テイクアウトってお店の場所によっては広告効果があることをそのとき知ることができた。
いい収穫だったとは思う。
ただこれは、業態や価格帯、地域、時間帯によってハマる場合があるというだけで、そこをしっかりと見定める必要がある。

正直テイクアウトに関してはネガティブな印象があったけど、商品をテイクアウト用に改良、特化させてみたり、実際に扱ってみたりして僕の中のその印象はポジティブなものになった。
だから自分のお店でもテイクアウトはやりたいと思ってるし、そこに価値を見出せるような商材を作れる自信もある。
海外で働いて思い出したのは、食べきれなかったのを箱に入れて持ち帰るのが当たり前の文化もあったなあ、ってこと。

結果的にテイクアウトを始めたことで、
売上は少しだけ上がった。

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