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マイクの選び方(特性初級編)

配信を始めて慣れてくるとMYマイクが欲しくなります。
でも、どれを選んだら良いかわからない。
オススメ機材を検索しても難しい型番が並んでいて拒否反応が起こる人もいると思います。
決して安い買い物ではないので選ぶのにも慎重になります。
この記事では、型番などではなく、マイクの特性を知っていただき、皆さんがマイクを買う際の判断基準にしていただければ幸いです。

マイクの種類

マイクには実はたくさんの種類があります。
有名なのはダイナミックマイク・コンデンサーマイク、他にもラベリアマイク(ピンマイク)、ヘッドセット、ガンマイク等。
それぞれの特性と、使用場面をご紹介します。


ダイナミックマイク

カラオケなどで見るマイクがダイナミックマイクです。
比較的安価で雑音を拾いづらく耐久性が高いが、マイクの近くで話す必要があります。
使用場面:室内録音
有名機材:SHURE SM58

コンデンサーマイク

高感度で耐久性が低く、未使用時は除湿剤と共に防湿庫に保管する必要があります。
オーディオインターフェースにファンタム電源が搭載されていなければいけない等の制約が大きいですが、ボーカル録音等では細かなニュアンスの表現が可能です。
小さなブレス音やリップノイズも拾うので特性を掴むまで時間がかかるかもしれません。
使用場面:室内録音(防音必須)
有名機材:AKG(アーカーゲー) C214-Y4

ラベリアマイク

テレビなどで見るピンマイクです。
移動しながら録音する場合はマイクとの距離が常に一定に保たれるため、音量のばらつきが減らせます
洋服がマイクと擦れる衣擦れや、風が強い日には風防(マイクにつけるモフモフ)等、工夫が必要な場面もあります。
使用場面:歩きながらの録音
有名機材:audio-technica、SONY、SHURE等

ヘッドセット

講演会などや舞台などで見るマイクです。
ラベリアマイクと同じく移動しながら録音する場合は音量のばらつきがかなり軽減できます。
マイクを頭部に装着するため、ラベリアマイクよりもマイクとの距離が一定に保たれます。
ブレス音を拾いやすいため、扱いに注意が必要です。
使用場面:広い場所を移動しながらの録音
有名機材:SHURE等

ガンマイク

カメラの上などに乗っているのを見たことがあるかもしれません。
特定の方向の音や、離れた場所の音をピンポイントで録音したい場合に最適です。
ポイントがずれると一気に音が減衰してしまうので扱いに注意が必要です。
使用場面:YouTube等の動画素材と同時に音声も同時に録音したい場合
有名機材:SENNHEISER、RODE等

指向性

マイクには大きく分けて3つのタイプがあります。
無指向性、単一指向性、双指向性の3つです。
単一指向性マイクはカーディオイドとも言いますので、以下のポーラパターン(マイクの感度曲線、指向特性図)を見る際にはカーディオイドを参照してください。
円の中心がマイク、黄色は音を拾う範囲です。
まずは3種類の特性をご紹介します。

図A 各種マイクのポーラパターン
引用元>https://www.ginichi.com/shop/pg/1report008/


無指向性マイク

図B 無指向性マイクのポーラパターン
引用元>https://www.ginichi.com/shop/pg/1report008/

無指向性マイクは集音性に優れており、マイクを置いた場所を中心に全方向の音を均一に録音することができます
ポーラパターンは丸です。
会議など多方向に話者がいる場合や、ピアノやドラムなど音源(音の出る場所)が広い場合、環境音の録音などに最適です。
多方面からの音を録音するため、ノイズ等を拾う可能性もあります。

複数人での収録の場合だと、音声音源データは1つしか残りません。
後から話者ごとのボリューム調整ができないため、録音時はマイクと話者の位置関係を必ず調整してから収録しましょう。

空間の広がりを演出できるので、ステレオで録音することをお勧めします。

推奨場面:複数人での対面収録、環境音を含めて収録する場合
非推奨場面:遠隔収録で話者が一人の場合、
NG場面:スピーカーから音を出している場合
有名機材:特になし

単一指向性マイク

図C 指向性マイクのポーラーパターン
引用元>https://www.ginichi.com/shop/pg/1report008/

単一指向性マイクは前方からの音を集音し、背面(ケーブル側)からの音は遮断する特性があります。
ポーラパターンはハートを逆さまにしたような形です。
背面側の音を遮断するのでノイズ等も拾いづらくなります

複数話者の場合でもそれぞれが単一指向性マイクで録音をすると、それぞれの音声音源が残ります。
(3人で単一指向性マイクで話せば3人分の音声音源が残る)
この録音方法をマルチアウトやパラアウトと言います。
マルチ録音の利点は各音声音源の音量を録音後に調整できることです。
また、Aさんはちょっと左で喋っているように、Bさんは真ん中、Cさんはちょっと右に。のような位置調整(パン振り)も録音後に編集することができます。

録音する際にはモノラルで録音することをお勧めします。
(音源発生場所が狭い場合を想定しているため、録音時ステレオにしても意味がない)

推奨場面:遠隔収録で話者が一人の場合、対面収録時にマルチで録音したい場合
非推奨場面:複数人での収録で収録音源をマルチにしたくない場合
NG場面:環境音等の広い空間の音源を収録する場合
有名機材:SHURE SM58

また、指向性マイクには、それぞれ音を拾う範囲の違うカーディオイド、サブカーディオイド、スーパーカーディオイド、ハイパーカーディオイドなどがあります。
こちら説明は省きますが、基本的に特殊な環境ではなく、自宅で一人の録音の場合はカーディオイドで問題ありません。

双指向性マイク

双指向性マイクは前面と背面の音を集音し、側面からの音は遮断されます。
ポーラパターンで見るとちょうど8の字のような図になります。

2名での収録で、お互いがテーブルを挟んで座っている場合に最適です。
録音データは一つの波形に二人分の音声が残るので、マルチアウトで編集したい場合には不向きです。
トリッキーな使い方としては、波打ち際に向かって座り波の音を拾いつつ、喋る等の使い道もあります。

録音する際はモノラルで録音します。

推奨場面:二人で向かい合って録音する場合
非推奨場面:向かい合って収録する以外の場面
NG場面:話者が一人の場合
有名機材:特になし

使用例

マイクの特性がわかったところでシチュエーション毎に最適なマイクの使い方をご紹介します。
編集ソフトを使っておらず、音声データを1つで残したい方は⑴を、編集ソフトを使っていて、音声データをマルチで残したい人は⑵を参考にしてください。

対面収録する場合(話者が2人)

⑴双指向性マイク

⑵指向性マイク x2

対面収録する場合(話者が3人以上)

⑴無指向性マイク

⑵指向性マイク x必要人数分
※オーディオインターフェースの入力数に注意!

遠隔収録する場合

⑴指向性マイク x必要人数分
※マルチでデータが残るかどうかは録音ツールによる

⑵指向性マイク x必要人数分

マイクを購入する際の注意点

マイクを購入する際は、必ず自分の持っている録音環境、録音機材に合っているものを選びましょう。
スマホ録音の場合はマイクの端子が自分のスマホに対応しているか。
スマホ用オーディオインターフェースを使用している場合はオーディオインターフェースに対応しているか。
パソコン録音の場合はマイクの端子がUSBに対応しているか。
オーディオインターフェースを使用する際は、必要人数分の入力があるか等
オーディオインターフェースがなければ、必要入力数に対応したミキサーの購入も併せて検討する。
コンデンサーマイクの場合は入力機器がファンタム電源に対応しているか等を知っておく必要があります。

ポップガードも併せて購入する方も多いですが、SHURE SM58などのタイプはマイクのグリルボール(銀のアミアミのところ)にポップガードがすでに組み込まれています。
ポップガードは必需品ではないので、マイクだけ先に購入し、ブレス音が気になったりする場合はポップガードを購入すれば良いと思います。

この記事を読んで、「ダイナミックの単一指向性で良いかなー。パソコンで簡単にとりたいなー」と思ったら検索で「ダイナミックマイク 単一指向 USB おすすめ」等で検索すれば欲しかった製品にたどり着き易くなると思います。

ニーズがあればオーディオインターフェース、ミキサー等のお話もいたしますので、ぜひコメントください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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