猫を轢き殺した話

今から10年以上前にまぁまぁブラックな会社で働いていた。
朝8時に出勤して17時に仕事を一旦区切り、18時に配達に行き22時に会社に戻りそこから東京の市場(農業の会社だった)に向かい納品して2時に帰宅する…みたいな毎日を繰り返していた。

その会社ではパートの送迎と言う業務(始業前)があり、朝出勤する途中にパートさんの家を周り迎えに行くのだが、その時の僕は常にいっぱいいっぱいで、少しのことにもイライラしてパートさんからの評判は決して良くなかった。

その日もいつも通り数名のパートさんを乗せ会社に向かっていた。
僕はまた「今日は何時に帰れるのか…」とばかり考えていて、パートさんが話しかけてきても上の空だった。
その時僕の運転する車の前を野良猫が横切った。
心神喪失していた僕はブレーキも踏まずに、猫を轢いてしまった。
通常なら停まって猫の状態を確認なりするのだが、その時の僕はすでに心のコップに水が溢れかけていた状態なので、猫を轢いたと言う現実に脳が処理をしきれていなかった。

結果僕がとった行動は、そのまま会社に向かう。だった。

その結果、僕はパートさんたちの間で「猫を轢いても顔色ひとつ変えない男」になり、やがて「猫を轢き殺した男」になり「わざと猫を轢いた男」となり、上司から呼び出しを食らった。

田舎のババアの伝言ゲームはマジで舐めない方が言い、という話でした。

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