computer fightというバンド

 すごいバンドと巡り会いました。computer fightという4人組です。乱暴に言うと「メルト・バナナ+ギャング・オブ・フォー×∞みたいなゴリゴリのポスト・パンク」。ヴォーカル、ギター、ベース、ドラムという何の変哲もない編成から繰り出されるサウンドは抜群にカッコ良く、パワフルで、強烈の一言です。最近見た若いバンドではダントツのインパクトでした。
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 初めて見たのは今年1月14日。高円寺HIGHで行われたライヴでした。痛郎の井出痛郎とヤマジカズヒデの新バンドMOZU、そしてお馴染みWRENCHという対バン企画で、主催した井出さんのブッキングで出演したのがcomputer fightでした。もちろん私の目当てはMOZUとレンチで、両バンドとも期待に違わぬ素晴らしいライヴだったんですが、全く予備知識のない状態で出会ったcomputer fightの印象は特に鮮烈でした。その時にFacebookに書いた感想です。

だがこの日のライヴの最大のディスカヴァリーは2番目に出た若手バンド、Computer Fightだった。全く知らないバンドで、バンド名からテクノポップかと思ったら、メルト・バナナ+ギャング・オブ・フォーみたいなゴリゴリのポスト・パンクだった。白シャツ長身メガネの学級委員長みたいなギターはアガタ(メルト・バナナ)とアンディ・ギル(ギャング・オブ・フォー)とスティーヴ・アルビニを足したような抜群の切れ味。歌う以外まったく口を開かず、終始客席の方を全く向かず、ほぼ棒立ちで歌うヴォーカルも異様な存在感も光る。ドラムもベースもかなりの腕で、ピリピリした雰囲気もいい。そこらの英国産ポスト・パンクなどメじゃない感じで、今後に要注目です。こういう出会いがあるからライヴハウス通いは面白いですね。

 この時のライヴにヤラレた私は、早速今日(2月19日)に行われたComputer Fight主催のライヴにノコノコと出かけてきました。仕事でもないのにこういう形で「おっかけ」するのはずいぶん久しぶりです。

 今回のライヴも強烈でした。演奏の切れ味とエネルギーは凄まじく、ハコが狭い分、最初の一音を出した瞬間、音の太さと音圧に度肝を抜かれ、その迫力に圧倒されました。ポスト・パンクという枠をはるかに逸脱するようなスケールがあり、今回もギタリストの存在感は強烈。演奏時間は30分程度。INUの「フェイド・アウト」のカヴァーなんてのもやってましたが、どの曲も短くアッという間に終わる。その駆け抜けるスピード感も鮮烈で、おそらくどんなバンドと対バンしても相手を食ってしまうようなインパクトがありました。いろいろ来日するどの海外産ポスト・パンク・バンドにも負けないと思うし、アメリカのSXSWあたりに出ればかなりの話題になるはずです。こんな凄いバンドを50人も入れば満員になってしまうような小さなライヴハウス(というか、リハーサルスタジオをライヴスペースに転用しているハコ)で見られたのはある意味幸運ですが、より多くの観客の前で思いきりやらせてあげたいと痛感しましたね。彼らがバンドの将来像をどう描いているのかわかりませんが、このままコンスタントにライヴを重ねていけば、必ずもっともっと大きなステージが待っているはず。

 とはいえ彼らにはある日突然ぷつりと糸が切れるみたいに空中分解してしまいかねないヒリヒリした緊張感があって、それもまたたまらない魅力だと思います。もし興味があれば次のライヴは絶対お見逃しなく、と言いたいですが次のライヴはまだ決まってないそう。

 バンドの音源としては、昨年ファースト・アルバムを出していて、それは各サブスクで聴けます。

 このアルバムもいいんですが、実際のライヴはこれの100倍はすごいです。スティーヴ・アルビニのプロデュースでシカゴのエレクトリカル・オーディオ・スタジオでレコーディングしたら面白そう。

 この日のほかの3バンドもそれぞれ個性があって良かったけど、computer fightが凄すぎてちょっと霞んだ感じ。なかでもスージー&ザ・バンシーズみたいなdin remoterは好みでした。バンシーズみたいなバンドって、なかなかありそうでないんですよね。

 ともあれComputer Fight。今後ともぜひ注目を。


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