[プロ野球]日本ハムファイターズの現状について[日本ハム]

 ここではご無沙汰しておりました。試合はほぼすべて見ているのですが、なかなかタイミングが掴めないままでした。自分のFacebookでは日々の試合の感想を述べてるんですが、まとまったものを書くタイミングがなかったのです。ほんとは調子の良いときにポジティヴなことを書ければ良かったんですが、今書くとなると、やはり苦言ということになります。

 7日の試合。せっかく逆転したのに先発の伊藤が掴まって再逆転され、そのままずるずると土俵を割ってついに5位転落。交流戦最初の阪神戦に連勝したのを最後に、カード勝ち越しは中日戦のみ。ここ10試合は1勝9敗と急激な失速で現在借金は3。首位ソフトバンクとはついに15ゲーム差となりました。残り70試合でこの差ですから、もはや優勝はほぼ不可能。2位のロッテとの差も6ゲームありますから、Aクラスの3位を狙うのが現実的な目標と言えるでしょう。とはいえ、歴史的大不振でダントツの最下位に沈む西武とはいつのまにか12ゲーム差。上ばかり見てると足元を掬われそうです。オールスターまでにあと11試合ありますからそれまではなんとか5位を保てますが、オールスター明けの西武3連戦がひとつの山場になりそうです。もちろん最下位争いの。それまでにチーム状態を立て直さないと、最悪のケースも考えなくてはなりません。

 さてこの大失速の原因は何か。ひとえに投手陣の不調にほかならないと思います。先発が打たれ試合の主導権を握られ、そのままズルズル負ける、なんとか終盤まで僅差で行ってもリリーフが打たれ突き放される。そんな試合展開が最近多い。打線も繋がらず投手陣の不振をカバーできない。昨日の試合後の監督記者会見で、こんなやりとりがあったようです。

-先発伊藤の投球は
 新庄監督 見ての通り。抑えきらないと。  
-5回と6回で、何か変化した?  
 新庄監督 それは(本人に)聞いて。悪くなかったですけどね。伊藤君らしいピッチングをしていたんですけど。どうしても点を取ったら…どういう気持ちなのかわかんないですけど、今シーズンちょっと多くないですか。(味方が点を取った後に)取られるっていうのが。またそれは本人に聞いてください。

 ここから読み取れるのは、新庄監督は投手のことはなにもわかってない。ということです。今年の投手起用は継投も含め全て監督が決めている(それは監督自身が明言している)。それまで先発としては短いイニングしか投げていない山崎にいきなり130球完投、それも2度も3度もさせたことが象徴的ですが、どうやら主力の先発は長いイニングを投げるべきだという「美学」が監督にはあるらしく、普通なら交代のタイミングでも続投させ、負け試合でも120球ぐらい投げさせるなど、先発陣に過大な負担を強いてきた。そのくせいったん交代させると回の途中だろうがそれまで抑えていようが関係なくマシンガン継投で次々と中継ぎ投手を代える。勝ち試合でも回またぎは当たり前で、中継ぎにも過大な負担を強いる。結果、投手陣全体に疲労が溜まって、打たれる。でも自分の酷使のせいだとはもちろん全く思ってないし、分析もできてないから「わからない。本人に聞いて」などという無責任な発言が出るわけです。

「新庄監督は6月12日にそれまで投手陣を管理していた建山投手コーチと、ブルペン担当だった武田コーチを入れ替えた。新庄監督は“武田コーチにも自分の考えを理解してもらうため。建山コーチにはブルペンの気持ちも分かってもらって、また戻ってもらう。それだけのこと”と説明していましたが、実際は感性重視で投手起用を決める新庄監督が、先を見据えてそれを押しとどめてきた建山コーチを煙たがるようになったと聞く。投手陣を守ってきた建山コーチのブルペン行きの影響は小さくないと思います」

 建山コーチの配置転換は中日戦の最中のことでしたが、それ以降カード勝ち越しが一回もないというのがあまりに象徴的ですね。先を見据え、監督の場当たり的な投手起用を押しとどめてきた建山コーチをプルペンに追いやって、もはや周りにはイエスマンしかいない裸の王様。おそらく今監督に正面から意見できるコーチは誰もいないでしょう。それでいて「自分はわからない、本人に聞いて」ですからね。

 打つ方では6月21日の水野の故障離脱が大きかったと言われてますが、実際にはそれ以前からチームは下降期に入っていたから、それが第一の理由ではないでしょう。レギュラーはお前だけだと決め1年通して主軸としてやってもらなきゃいけない万波のような選手をちょっと不調なだけで、いや不調でなくてもあっさり外す。ちょっと結果が出ないと、いや結果が出てもスタメンをいじり打順をいじり守備位置をいじる。水谷や郡司やマルチネスをポイントゲッターにするなら、その前には出塁率の高い選手を置くのが鉄則なのに、実際には1番や2番は「お試し枠」で、五十幡だの清宮だの、今季まともな成績を残せてない選手を気まぐれで使う。それもこれと思い定めた選手を結果を問わず覚悟を決めて固定するのならまだしも、全選手いつ出場するかわからず打順も毎試合アットランダムで変わるから、みな自分の役割がわからず場当たり的なプレーしかできなくなる。これじゃ成長するものもしません。

  水野の故障離脱後、ソフトバンク戦で二遊間(福田と細川)が連続エラーして負けた試合があって新庄監督が激怒してましたが、そもそもスタメンも打順も固定せず猫の目で変える采配にも原因があるんじゃないでしょうか。エース格の投手を立てて本拠地での、今季もしかしたら一番大事な試合に、守備に不安がある…というかふだんあまり試合に出てない選手を守備の要の二遊間で使った監督が悪いのでは。主戦投手を出す時は守備を固めるのが鉄則。打たせて取るタイプの投手なのに守備緩めしてるんだから。せめてショートは上川畑を使うべきでしょう。それで結局細川と福田は二軍落ち。福田はエラー後はほとんどチャンスを与えられず、打つ方では結果を残してたのに懲罰降格です。自業自得といえばそうですが、いくら打てなくても出番がなくても一軍に居続ける清宮や清水とはずいぶん扱いに差がありますね。

 新庄監督、イケイケの時はいいけど、チームが下降線になった時にどうやって立て直すかわからないんじゃないでしょうか。勘だけでやってるから、歯車が狂い出すと修正できない。

<新庄監督は万波中正のベンチスタートを決断。水谷に打線の中軸を託し、それが奏功した。>

 こんなもんがマジックであるはずがない。こういう風にヘンに持ち上げ褒めそやすことで図に乗り有頂天になって、さらに奇策を繰り返し、どんどん深みにはまっていく。それをいさめるコーチは誰もいない。

 新庄監督は就任以来、積極的にストライクに手を出すことを奨励してきました。その弊害でダボハゼみたいに早いカウントでなんでも手を出してあっさり凡退、という例が最近あまりに多いですね。追い込まれて相手の決め球が来たら打ち返すような高い技術を持った選手がいないから、カウントをとりに来る甘い球を積極的に打っていくしかない。そのくせその甘いタマを一発で仕留めることもできない。たとえば今の近藤とか、昔のウチで言えば小笠原みたいな高い技術を持った真の強打者は、追い込まれて相手の決め球が来ても打ち砕く自信があるから、じっくり球を見て難しい球が来たらカットして、甘い球だけを待つことができる。その分四球が増え出塁率も高い。残念ながらそこまでの技術のある打者はいないし、相手に恐怖心を与える打者もいない。今後万波や田宮や水谷がそうなってくれればいいんですが、監督の気まぐれで1番打ったり4番打ったり8番打ったり、時には意味もなくスタメン落ちしたり、コロコロ起用法が変わる。万波のプレーがいまひとつ煮え切らないのも、田宮の調子が下降気味なのも、相手の研究対策が進む中プロとして乗り越えなくてはいけない「壁」が来てるんだと思いますが、現在の起用法では先を見据えた落ち着いたプレーなどできないでしょうし、成長もできない。思いつきヤマカン気まぐれ監督と茶坊主コーチばかりで適切な助言ができる指導者もいない。一番から六番までの打順、そしてセンターライン、特にゲッツーをとる二遊間は絶対に固定した方がいいと思うが、新庄監督は意地でも変え続けるでしょうね。

 こんなチーム状態でオールスターを迎えるわけですが、いくら本拠地エスコンでの開催とはいえ、絶不調のチームから絶不調の選手ばかりが大量出場、とんだ赤っ恥になりそう……というようなことはともかく、疲労困憊で調子を落としている山﨑や河野や田中はオールスター期間中休ませてあげたいところです。


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