[オーディオ] 現在の使用機材について(アンプ、スピーカーの買い替え)

 オーディオ関係の記事は久しぶりです。昨年の9月以降、うちのメイン環境である書斎のデスクトップ・システムで大きな変更がありました。アンプおよびスピーカーの変更です。

 スピーカーは従来のFUNDAMENTAL SM10Zから、FYNE AUDIO F1-5にリプレースしました。SM10Zはリビング・オーディオに移してそのまま使っています。

 F1-5は正式に日本に輸入されていません。海外から個人輸入された方がオークションに出品していたのをたまたま発見、当然音を聴いたことも実機を見たこともなく、日本語で書かれた試聴記も見当たらず、オークションの文面と、海外のオーディオサイトに掲載されたレビューだけを頼りに、というよりもその郵便ポストみたいな愛嬌あるルックスにもピンときて、しばし黙考の末落札しました。現地価格は現在の為替相場で85万円前後とそこそこの価格。実際の落札価格は比較的リーズナブルだったとはいえ、「衝動買い」するにはいささか高額な買い物でした。

 実際に届いてみると、高さがあることもあって、事前に予想していたよりかなり大きい。もちろん高さ321×幅186×奥行289mmというサイズから、うちの狭いデスクに十分置けることは確認しての購入でしたが、SM10Zが高さ268x幅175x奥行270というコンパクトなサイズだったのでなおさらその落差に当初は当惑しました。

 同軸2WAY、バスレフが下を向いていてデフューザーで拡散する方式なので設置場所にそれほど神経質になる必要がない。聴取位置から1m~1.5mほどの超ニアフィールド環境ですが、大きな問題はなし。このへんはSM10Zに似ています。ユニットが前に突き出たユニークな形状で、古い郵便ポストみたいな感じ。外見の仕上げは大変に良く、高級感がある。それでいて独特の愛嬌があって、イヤミがなく、見飽きません。

 音はクリアで定位がしっかりしていて音像がむやみに広がらず、解像度も現代最新スピーカーらしく非常に高い。価格的にはB&Wの7シリーズと競合すると思われますが、中高域はB&Wほどの強調感がなく、よりフラットで自然と感じました。サイズからしてもそれほど量感のある低域は期待できませんが、引き締まったタイトな音でパワーもよく出る。たとえばテクノやハウスのキックの音なんてかなりいい感じで鳴らしてくれます。クセがなく、バランスがよく、鳴らしにくいところもないので、アンプも音楽ジャンルも選ばない。総じて、SM10Zよりもトータルのクオリティは高く、味付けがやや華やかな分、聴いていて楽しい。聴く前は少し不安もあり、好みに合わなかったら即手放すことも考えましたが、衝動買いして正解でした。

 そして新たに導入したアンプはFUNDAMENTAL PA10です。

  こちらはかなりの熟考を重ね、メーカーの試聴室やお店の店頭でも試聴を繰り返して購入を決断しました。昨年11月上旬に注文して納品がそのちょうど3ヶ月後の今年2月上旬。私としては大きな買い物でした。当初はPA10でSM10Zを鳴らす予定だったのが、納品を待つ間にF1-5に代わるという出来事もありました。そしてエージングが済み音が落ち着いてきたのが2月中旬〜下旬ぐらいでしょうか。FUNDAMENTAL製品としてはエージングの時間は少なく済むようで、100時間もあれば本来の性能を発揮できるようです。

 黒一色の筐体、ボタンやツマミも電源、ヴォリューム、セレクターの3種のみと見た目は地味ですが、シンプルで、悪くないデザインだと思います。プリメインアンプなのに2筐体ですが、サイズがコンパクトなのでそれほど場所をとらない。

 肝心の音ですが、まず際だった変化がS/Nの高さでした。いわゆるオーディオ用語で言うところのノイズフロアが非常に低い。だから小音量再生のクオリティがめちゃくちゃあがりました。S/Nがいいので小さな音がノイズに埋もれることなく、細かいニュアンスが伝わる。しかも小音量でも音が痩せずバランスが崩れない。たとえて言うと、これまで深さ2メートルぐらいしか見えなかった水面の視界が、深さ30メートルの海の底まで見通せる感じです。しかもヴォリュームの精度が高いから、小さな音の細かい調整も簡単。特にアンビエントやアコースティック中心の静謐でデリケートなチルアウトぽい作品だと有り難みは倍増です。ヘッドホンで大きな音で聴くより、周りが寝静まった深夜にスピーカーからちいさな音で聴くと浸透度が高くて本当に気持ちいいですね。深夜に原稿を書きながら聴くことが多く、しかもヘッドホンやイヤフォンはあまり好きではないという個人的な環境・用途にドンピシャです。

 もちろん中〜大音量再生はFUNDAMENTALの得意中の得意。現代最新アンプらしい解像度の高さは当然のこと、音が前に出て来て活気があり、中域の密度が濃く力強い。低域のキレも抜群なので、聴いていて楽しい。熱い音、というのとはちょっと違う気がしますが、モニターライクな冷静さとロックやジャズをガンガン鳴らすエネルギーが併存してる感じです。

 以前使っていたアンプはLINNのプリ KLIMAXとLINDEMANNのパワーの組み合わせで、単純な定価ベースで言うとPA10はむしろダウングレードだったんですが、明らかに再生クオリティは大きくアップ。音を聴いた瞬間、決断して大正解と確信しました。

 ところでPA10はアナログライン入力が3系統とスピーカー端子が1系統あるだけの非常にシンプルなアンプ。サブウーファー端子もデジタル端子もフォノ端子もない。プリアウトもパワーインもなく、プリアンプ機能だけ、あるいはパワーアンプ機能だけ使うことができない。音質最優先で、必要最低限の機能しかない。たとえばあとからパワーアンプを加えてグレードアップを図るとか、そういうことも不可能。発展性とか拡張性がない。どこか不満が出て来たら、まるごと買い替えるしかないわけです。そういう覚悟をもって導入する必要がある。そういう意味で、このアンプはいわゆる「上がりの1台」になりうる機種だと思います。これさえあればもうオーディオアンプ遍歴は終わりにしてもいい。それぐらいのクオリティがある、満足感の高い機種です。FUNDAMENTALはオーナーがひとりで設計、製作、組み立て、出荷から営業、宣伝、メンテナンスまでやっている個人メーカーですが、次々と新機種を送り出しモデルチェンジを繰り返すのではなく、ひとつの機種を改良とメンテを続けながら長く売り続けるというポリシーの会社です。じっくり一生付き合うには相応しいメーカーですし、PA10にはそれに見合うだけのクオリティがあります。

 実際問題、私のリスニング環境ではこれ以上のクオリティのアンプは必要ないと思っています。ソース機器(ストリーマー、トランスポート、DACなど)やスピーカーはまだリプレースの余地がありますが、アンプはこれが人生最後の一台になる可能性が大きいと感じています。

(現在のオーディオシステム 2023/3/23現在/アクセサリー除く)
Computer(ROON Core) : Apple Mac Mini M1 2020
Disc Drive : PIONEER BDR-X13J-S
Music Player Aplication :ROON / Music(ex.iTunes) /Audirvana 3.5
Subscription Service : TIDAL,Spotify
Audio Decorder Aplication : X Lossless Decorder,dBpoweramp
CD/SACD Player : ESOTERIC DV-50s
Phono Player : DENON DP-1300MKII
Phono Cartridge : DENON DL-301II、Ortofon Concorde DJS、Ortofon SPU Ethos
Phono Amplifier : LUXMAN E-200
Network Transport : Silent Angel M1T-8GB
DD Convertor : MUTEC MC3+USB
DA Convertor : SOULNOTE sd2.0FT
Integrated Amplifier : FUNDAMENTAL PA10
Headphone Amplifier : iFi Audio ZEN Air CAN
Speaker : FYNE AUDIO F1-5
Headphone : DENON DN-HP700


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