見出し画像

5月はメンタル

なんかおかしなのがバズっていた。

50代以上の人は良く覚えてるだろうけど。
昔の日本は皆、定時に帰っても家も車も買えた。
どうしてこなった!?

みたいなやつ。

嘘だ嘘だ。絶対に嘘だ。それだけは言える。
皆、残業をものすごいやってた。
うちだって父親は夜遅くまでいつも働いていた。
もちろん、土曜も出勤していた。
土曜出勤を含めないで200時間ぐらい残業してたと思うよ。
社畜なんて言葉が流行ってたし、海外から日本人は働き過ぎだって言われていたし、ぜんぜん間違っている。
しかも年功序列だからどんなに有能でも先輩の給料を越えることはなかった。

木造アパートとか、平屋の借家とかに4人家族なんて当たり前だった。
憧れの団地みたいな感じだった。
憧れのマイカー通勤なんて言いながら、乗車率200%超の満員電車に寿司詰めで毎日通勤するのが普通だった。
高度経済成長期だったから希望はあっただろうけれど。
だからと言って今より豊かだったか?と聞かれたら、う~んと思うぞ。
比較的豊かな家の子もいたけどクラスでも数えるほどだった。
クーラーがある家はすげぇ!ぐらいの感じだったけどな。

なんでこんな嘘があるのかはなんとなくわかるんだけれども。
僕が良くないなぁと思うのは、それを読んだ今の若い人が信じて希望を持てなくしているってことなのだよ。
こんな社会にしやがった!って、煽りたいんだろうけれどさ。
そんな見え透いた嘘まで書く必要があるんだろうか。
昔の労働環境の方が良かったなんて思っている人は一人もいないと思うよ。
今でいうブラック企業なんて、全部だったよ、きっと。
それがコメントやら読んでみたら信じてる人がたくさんいるの。
嘘みたいだけど、信じちゃうのね。こんな大嘘を。

昔より悪くなっている部分だってたくさんあるわけです。
昔より良くなっているけれど、より難しくなったこととかもある。
ちゃんとそういうことを嘘なく批判すればいいだけなんじゃないか?
批判できることなんかたくさんあるんだから。
嘘みたいなもので塗り固めた批判は、実質を知った時に逆効果になるだけなのになんでそんなことをするんだろう。

5月はメンタル。
そんな言葉を目にした。
僕が子供の頃は五月病なんていう言葉が一般的だった。
5月になると心が参ってしまう。
新しい期に入って一月ぐらいで一気に力が抜けてしまう。
今はそれをちゃんとメンタルの問題だと認識している。
現代性の鬱みたいなものもすでに社会に認知されつつある。
でも昔はその認知もなかったからさ。
弱いとか、だらしないとか、五月病って言葉でひとくくりにされてた。
これも精神修行だななんて、普通に誰だって口にしていた。
今は、5月はメンタルって、別の角度になってる。
労働環境は確実に進歩しているってことだ。

そのメンタルダメージが大きい5月に若者に嘘をつく。
新入社員の2カ月目、働くことの実態を知りつつある人に嘘を投げつける。
昔は副業なしでも家も車も買えたとか、定時に帰れたとか。
やり方がなんだか小さすぎて、それでいて無意識の加害性に気付いていないことにとても厭な気分になる。
終身雇用制の良い部分ばっかピックアップしてるようなのもある。
そんなのに戻りたいのか?って普通に思うけどなあ。
それは違うだろうと。

今、5月になって。
メンタルが少し弱っているなぁという誰かに。
もっと良い社会にしようぜ。
もっと未来が見える国になろうぜ。
今の問題はここで、あなたたちが解決できるんだよ。
そういう言葉でも十分なはずだ。
そのぐらいおかしなことたくさんあるんだから。

とりあえず騙すな。
騙して煽るな。
正面からでいいだろ。正面からで。
そういうのが信用を落として、すべての批判が駄目なものに見えてしまう原因になるって理解するべきだ。

投げ銭は全て「演者」映画化計画に使用させていただきます。