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投資型クラウドファンディングFUNDINNO

今回は、日本初投資型クラウドファンドサービスFUNDINNOがどのように新規市場を開拓して、成長を遂げたのかを分析していきます。

投資型クラウドファンディングファンディーノとは?

FUNDINNOは2017年よりサービスを開始した投資型クラウドファンディングサービスです。(*投資型クラウドファンディングについては次の章で解説)

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運営会社は、株式会社クラウドキャピタルです。

会社名:株式会社クラウドキャピタル
代表名:柴原 祐喜
設立:2015年11月

FUNDINNOは、日本初の投資型クラウドファンディングサービスと言われ、実績としても日本で1番の案件成立数と成約金額を記録しています。

【ファンディーノ実績】
累計成約額:52億7736万円
累計成功件数:158件
ユーザー数:64,013人

これまでの成立案件では医療や農業、スポーツなどのtoC寄りビジネスに取り組むベンチャー企業が投資型クラウドファンドを利用しています。

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最近では、CM動画の公開もしておりマス向けのマーケティング活動なども行っています。

そんなFUNDINNOの成長要因を分析する前に、事業分野である投資型クラウドファンドについて説明していきましょう。

投資型クラウドファンドとは??

投資型クラウドファンドは、未上場ベンチャー企業の株をオンライン上で購入し、保持しておくことができる仕組みです。

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(https://fundinno.com/about_company?hc_uus=d503cb5e471dcf6a0d9c4d98e5f15018)

ベンチャー企業への投資なので、投資したベンチャー企業が上場または買収され株価が値上げしたタイミングで株を売却することで多額の売却益を得ることができます。

投資なのでもちろんリスクも存在します。具体的には、投資したベンチャーーが倒産または解散した場合は、投資したお金を回収することができず、損失となってしまいます。

このようなベンチャー投資の仕組みを通して、新興産業での新規ビジネスが成長することを支援しているFUNDINNO自体がどのように成長してきたのかをみてみましょう。

成長要因の分解

FUNDINNOのビジネスモデルは、

売上=(調達成功企業数×平均調達金額)×テイクレート

というモデルかと。

テイクレートは20%に設定しており、仮に1000万円調達した場合は、200万円がファンディーノに手数料として支払われれる仕組みとなっています。
ここからみるに、以下3点がファンディーノの成長に関わってきそうです。

①ファンディーノで挑戦する企業をいかに増やすか
②ベンチャーに対して投資する投資家をいかに集めるか
③調達成功後のイグジット事例をどう生み出すか

では、それぞれどのように伸ばしてきたのかを見てみましょう。


①いかにして、挑戦する企業を集めたか

■企業支援会社、団体との提携

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FUNDINNOは、企業を支援する団体や金融機関と提携し、FUNDINNOで挑戦する企業候補の獲得をしています。

②いかにして、投資家を集めたか

■魅力的な看板案件の集客

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FUNDINNOでは、サービスを立ち上げた当初にサッカー元日本代表の鈴木啓太さんが立ち上げた企業Aub株式会社の資金調達を支援しています。

多くの人が認知している起業家の案件が公募されることで、投資家にとっての興味が生まれ、投資家の獲得につながったと思われます。

■エンジェル税制による節税効果

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(https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/chiiki/angel/structure/index.html)

株式投資型クラウドファンドは、投資先の企業によってはエンジェル税制という制度が適用され、節税効果を期待することができます。

これにより、ベンチャー企業に投資するタイミングと株式を売却するタイミングで節税処置を受けることができます。(*2020年7月にエンジェル税制認定業者となり、ベンチャー企業の手続きがより簡易になった)

投資した企業が上場すると、将来的な利益を見込めるため投資家の投資ハードルを下げる要因となっております。

■応募までの審査厳格化によるリスク低減

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https://www.cloud-capital.co.jp/2020/04/02/fundinno/)

FUNDINNOでは、案件募集を開始するまでに厳格な審査プロセスを敷いており、複数人の公認会計士が事業計画や財務周りをチェックしています。

これにより、実のない企業が投資案件に出ることがないように防いでいるのですね。そのため、投資をする投資家の最低限の信頼を確保しています。



■魅力的な株主優待
FUNDINNOで初のイグジット事例となった漢方製薬研究所の投資募集では、株を購入した投資家向けに株主優待として、商品の割引や運営施設の入会費・年会費・月会費の無料化とった特典を用意していました。

このような特典を楽しみに投資をする層も一定層いそうですね。


■投資家の顧客基盤を持っている金融機関との連携
これまで複数社の金融機関と連携し、企業の紹介や投資家の紹介を受ける繋がりを作っています。投資家や起業家が集まるような組織との提携は、こういったプラットフォームビジネスでは、王道の打ち手ですよね。


③調達成功後のイグジット事例をどう生み出すか

ファンディーノは、投資型クラウドファンドのサイトで唯一イグジット事例をもつプラットフォームとなります。調達に成功した企業のイグジット可能性は企業にとってもプラットフォームを選ぶ上で重要ですし、投資家にとっても投資の心理的ハードルを下げる観点で重要となります。

その点、ファンディーノが行っていることを分析してみました。

■FUNDINNOサポーターによる事業の推進支援

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FUNDINNOでは、理念に共感しスタートアップ企業の成長を支援する協力者を募り、事業連携や成長ノウハウなどの提供支援を行っています。

これにより企業の課題解決スピードを上げ、成長を後押ししています。

■東急との資本提携により、企業への協調投資や技術開発の支援


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また、FUNDINNOは東急と資本提携をし、以下のようなベンチャー企業の成長を支援する取り組みを行っています。

フェーズ①:相互紹介と共同告知
・ベンチャー企業の相互紹介やFUNDINNOの更なる普及に向けて、東急のアセットを活用した共同告知
フェーズ②:協調投資と社会実装
・FUNDINNO利用企業への東急の協調投資
・事業連携による新たな技術やサービスの社会実装
フェーズ③:地域活性
・東急線沿線の中小企業に対する新たな資金調達
・ベンチャー企業のファン獲得の手段としての株式投資型クラウドファンディングの展開と普及、社会実装。

このようにFUNDINNO一社だけではなく、複数社と協力してベンチャー企業の成功を支援する取り組みを行っています。

■その他の支援

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その他では、追加の資金調達の支援や株主との株主運営のサポートなども行っています。

FUNDINNOをどのように伸ばすか?

ここまでで、FUNDINNOの成長要因を分析してきました。ここから更に成長を遂げるためには、以下のような成長循環モデルを回す必要があると考えます。

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そのために、考えた施策が以下になります。

①大学ベンチャー案件の獲得

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なぜ、大学ベンチャーをターゲットにしたかというと、

①2014年以降毎年企業数が増えており、
 2019年時点では、2,556社確認されていること
②政府の調査より、大学ごとのベンチャー数が発表されており、ターゲット対象が明確なこと
③大学ベンチャーの業種は、バイオヘルスや医療、ITサービス、環境テクノロジーなどが多く、クラウドファンドと相性のよい業種が多いこと
(「令和元年度大学発ベンチャー 実態等調査 結果」より)

といった背景からです。大学ゼミとの直接的な提携や大学生向けのビジネスコンテストなどにより、獲得を目指します。

まとめ

今回は投資型クラウドファンディングのFUNDINNOを調べてきました。
新しい分野だけに、市場の啓蒙活動から行う必要があり、

プラットフォームへの登録を集める仕組みづくり(金融機関や企業、団体との提携)
プラットフォーム自体の信頼につながる取り組み(登録の審査制や大手企業との提携など)
プラットフォームの価値(本質・理念)実現につながる活動
(=資金調達した企業が上場まで成長すること)

などなど、CtoBtoB企業ならではの施策をみることができました。

FUNDINNO一社だけでできることは限られているかつ、コストがかかってしまうので、他企業と連携する仕組み作りをうまく進めている印象です。

社会的にお金の流れを変える仕組みでもあるので、これからの発展も期待です。


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