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JX通信社の「NewsDigest」をマーケティングトレースしてみた

今回は、#マーケティングトレース コミュニティで課題になっていたJX通信社をマーケティングトレースしてみました。

会社概要

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JX通信社は、
【テクノロジーで「今起きていること」を明らかにする報道機関】
というビジョンをもって、インターネット上から収集したニュースを選別し、配信している企業である。(これらの工程をほとんど自動で行うとか)


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サービスとしては、ToC向けとToB向け両方に対して、それぞれ別のサービスを提供しています。
(今回のマーケティングトレースでは、toC向けのアプリ「NewsDigest」をマーケティングトレースします。)

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「NewsDigest」は、ニュース速報や地震速報など、価値のある情報をどこよりも早く伝えるメディアアプリですが、立ち上げの背景には、3.11がありました。開発者の問題意識や想いが反映されていて、いいサービスです。

市場環境分析

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外部環境として、一時期ニュースや新聞の話題がコロナ一色になっていたくらい、社会としてコロナの話題で溢れてました。

また、外出自粛になり、SNSをはじめとするスマホアプリを利用する時間が増えていることも想定されます。

SNSでは、「コロナは何度以上で死ぬ」などのデマ情報が多く流れ、フェイクニュースやデマ情報の危うさへの認識が高まっているかと。

3C分析

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基本の方針としては、どこよりも早く価値ある情報を配信することです。

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また、2019年にNTTレゾナントが実施した調査では、スマホやタブレットなどでニュースを見る時間は一番長い20代男性でも63分。ニュースを見る目的の調査では、「生活上で必要な情報を収集するため」と「時間つぶしのため」が半数を占める結果となっていた。

おそらく、新聞やテレビニュースとは違い、スマホニュースアプリに求めるものは、移動時間中に読めるもので、目の引くタイトルや面白いニュースがあればよむといった感じだろうか。

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そういったニーズに合わせて、「NewsDigest」ではコロナウィルスの感染状況マップを提供するなど、みんなが興味がある話題を移動中に数分で確認でき、視覚的に訴えるため読む面倒臭さもないといった機能を出しています。

STP分析

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4P分析

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ここまで見てきてうまいなと思ったのは、「FASTALERT」でメディア系の顧客を獲得しているために、なにかNewsDigestで機能を出した際に、PRの波及につなげやすいという点と、出している機能自体も社会的価値のある機能が多いので、メディアとしても取り上げやすいという点だ。

これにより、広告費にお金を書けるのではなく、開発費にお金を回すことができ、よりよいサービスを作ることができているのではないかと感じた。

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そのため、成功要因をあえて上げるとしたら、

①速報型ニュースへの特化による隠れた潜在層の獲得

②社会的価値のある機能開発により、PRを実施し、広告費を削る

③テクノロジーによる、人件費の抑制

などが挙げられるなと感じた。


もしも自分がCMOだったら①

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まず、現在はフェイクニュースが世に溢れていて、フェイクニュースではない正確な情報を人は求めているのではないかと思った。そこで、NewsDigestでフェイクチェックされたものを配信することで、フェイクニュースで悩む人の信頼を得たアプリとしてのブランドを作れないかと考えた。

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たとえば、メルカリUSでは、偽造品の流通が多い市場で、販売されている商品が本物認定されることよって、販売率が上がったという話もあった。

しかし、この案に関しては、「フェイクニュースを見極めるには相当のコストがかかり、新聞社1社買収するくらいのコストがかかる」という話があったので、ボツになった。

もしも自分がCMOだったら②

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2つ目は、「NewsDigest」で扱っているようなニュースをAI音声に変換し、ラジオ感覚で耳から速報ニュースを聞けるという機能の追加だ。

・テレビをずっと流しっぱなしにしている感覚や音楽をかけている感覚で、「NewsDigest」のAI音声を流したり、
・スマートスピーカーの機能で提供したり
・歩きながら速報ダイジェストを聞いたりするなど
の用途を想定した。

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首都圏で行った調査では、1週間のうちにラジオを聞いたことがある人の割合が5割と以外と耳から情報を取り入れている層が多い。

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また、海外では、AI音声機能を悪用し、CEOになりすまし、詐欺を行った事件がおきている。ここで悪用されているような音声技術を活用して、タレントや声優などの声でニュースを読むなどもよいのではと思いました。

懸念:
・そもそも、ユーザー数が伸びれば広告企業が出稿するモチベーションになるのかがあまりわからない。。。もちろんユーザーは多いほうがいいけど、自分たちが獲得したい顧客にアプローチできるかが鍵だよなあ。


マーケトレースに参加した学び

JX通信社をテーマにしたマーケティングトレースの回に参加して、チームできめたCMO仮説を提案する会に参加してきました。

当日は、JX通信社の松本さんもいらしゃってました。

当日は、チームで話し合った「ユーザー層を抱える企業と代理店提携をし、ユーザー数を増やそうというアイデア」を提案しました。

そこで得た気付きや学びをまとめます。いや~悔しかったです。


1:施策を実行するうえで関係各位全員が幸せになれるかを考える

まず、響いたのが、施策を考える上で、自社だけではなく、提携する相手企業のCMOの気持ちにもなり、提供企業がHappyになれるかどうかを考えましょう。という話です。win-winに考えるのは当たりだと頭ではわかってながら、想像力や詰めの甘さを感じました。

・マーケティングトレースとは、施策の選択肢の振れ幅を広げること。もっと遊んでもいい。
・その中で、北極星の部分はWHY なんで消費者が求めているのか。インサイトをみないといけない。
・消費者の心だけではなく、関係各位をどのように巻き込むか
→。みんながハッピーになる絵図を考える
→想定していく力は場数を踏めば出てくるようになる。


2:ユーザーインサイトは大勢の層をみるのではなく、N=1の一人だけで十分

アイデアを出す時に、変に大勢の架空のユーザー層にコンテンツを当てようとして企画を考えていました。ただし、いただいフィードバックでは、

・一人に刺さるコンテンツを作ればたいていの場合、それに共感する人が世界にはいて、その周りには似たユーザーがいる。
・だから、N=1のインサイトや人生感や価値観をどれだけクリアにできるかが面白いアイデアを出せるか出せないかのコツ
・一人のユーザーと向き合って、なんでこの人思っているのか?を深堀りする。多くの人の心を動かすインサイトは、たくさんの人にヒアリングする必要はない。

などをいただきました。自分が変に全体感を考えてしまっているなと思って反省しました。


3:ニュースアプリの数を増やす施策の前に、そもそもニュースアプリを開きたくなるコンテンツ企画が重要

また、そもそも大前提なのですが、いくらアプリをDLする施策を考えたところで、アプリを使う価値や開くインセンティブが働かないと意味がありません。そのため、変に4PのPromotion・プロモーション案をだすよりは、サービスの価値自体を上げるような4PのProductの施策を一番考えないといけなかったです。

・自分に興味あることしかアプリを開かない。
・全国で興味あることをどう訴求するか


まとめ


前回に引き続き、悔しい思いばかりだったので、次回こそは、磨かれたアイデアを出せるように準備を進めたいです。

また、マーケティングの施策を考える以上、予算と向き合ってROIの高いかどうかという点も踏まえる必要があるので、次回はそこも考えればと。

運営の黒澤さん、長瀬さん。JX通信社の松本さん、ありがとうございました。


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