12/4/21 25:13

「明日の夜暇?」と連絡をしてきたのは、普段遊んでいるセフレでもなく、Tinderで仲良くなってから数回遊びに誘われているのを適当にはぐらかして断り続けている同い年の男でもなく、兄だった。普通、このような場合「暇だよ〜どうしたの??」と返事を入れるところを、兄であれば別だ。気を遣わなさすぎて「なぜ?」と真っ先に返信をした。「飲みに行こうかと」と言われた。

兄とは家族皆で飲んだりご飯に行ったりはしていたが、記憶している以上2人で飲みに行くのは約3年ぶりのことだ。初めて2人で飲みに行ったのは私が社会人になってすぐの春。私も上京・兄も地方都市から東京へ異動になったタイミングだった。どちらが誘ったのかは覚えていない。東京の土地勘が全くない私を気遣って兄が私の家の最寄り駅まで来てくれた。2人で初めて飲んだあの居酒屋はコロナの影響で閉店してしまった。意外とかなり前だったことを思い出し、久しぶりに飲みに行くことを決めた。

初めて飲みに行ったあの日。帰り道に号泣しながら誰もいないワンルームの家に帰宅したことを記憶している。初めて私たち家族について思っていることや過去に考えていたことを聞いた。同じことが起きている時点での年齢が私よりも3歳上のせいで、私の記憶よりも鮮明で、私よりも多くの種類の感情を吐露されたことに驚きを隠せなかった。

ゴールデン街のすぐ近くにある焼肉屋に入ると既に兄がビールと少しのつまみと肉を頼んでいた。その焼肉屋が好きらしい。幼い頃なのにも関わらず肉より魚派を豪語していた兄も大人になったようだ。バクバクと肉を食べながら話が進んだ。

家族の話・親戚の話・友達の話・これからの仕事の話・結婚の話

約20年間、同じ親に育てられてきた人と話をするのは友達と話をするのとは少し違う感覚がある。


その後、ゴールデン街で飲んだことがないから案内しろと言うので適当な店に入り、居合わせた40代の男性と元劇団員という女性店員と若い女性店員に話しかけられ「カップルですか?」と案の定聞かれた。「いえ兄弟です、顔そっくりでしょ?」と私が言うと、元劇団員の店員さんが「確かに、笑顔がそっくりね」と言い、居合わせた40代の男性は「兄弟でゴールデン街で飲むなんて仲良いね〜」と言った。その後終電間近まで飲み、解散した。

幼い頃は全く仲は良くなかったが、大切にしていきたいと思った。


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