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テリー・ブロスという男

割引あり

1966年、アメリカ合衆国テキサス州に生まれた
ブロスはイマキュラタ高校を経て
セント・ジョーンズ大学に
進むと、身長205センチ、体重106キロの
恵まれた体格を生かしてバスケットボールチームの
中心選手として活躍していました。

NBAのシカゴブルズからスカウトされるほど
突出した才能を有していましたが
「バスケはそんなに好きじゃない」と
レクリエーションの為に所属していた
野球サークルを優先、
メジャーリーガーを夢見たのです。

1987年、MLBドラフト13巡目で
ニューヨーク・メッツから
指名を受けて入団すると1991年にメジャー昇格、
リリーフとして8試合に登板して
防御率1.80の好成績を残しましたが
レギュラー定着とはなりませんでした。

1993年、サンフランシスコ・ジャイアンツに
移籍するも活躍の場がないまま
夫人の給料で食いつなぐ日々を送っていた
長身右腕に1995年、アリゾナ州ユマで
春季キャンプをはっていた
ヤクルトスワローズが外国人選手の
入団テストを実施するとの
情報が舞い込んだのです。

なんとかチャンスを掴もうとテストに
参加したブロスは
長身から投げ下ろす140キロ台の直球と
右打者の懐に食い込むシュートを見せると
「これは落合も腰を引くぞ」と潜在能力の高さを
見出した
野村監督ら首脳陣は獲得を決めました。

セリーグ連覇を果たして黄金時代の到来を
予感させた
ヤクルトでしたが、前年は4位に沈んだうえ、
30億円補強と呼ばれたジャイアンツに
広沢とハウエルが移籍、
広島から川口、メジャーリーガー、
シェーン・マックも
獲得するなど着々と戦力アップを図っていた
ライバル球団に対抗すべく海を渡って来たのです。

「球は速いが変化球は今一つ、
開幕までに何か覚えさせよう」と
角(すみ)投手コーチは長身を生かした
フォークボールを
教えるもマスター出来なかった事から
似た軌道を描く縦のスライダーを伝授すると
これが見事にハマり
アメリカ時代にはほとんど経験しなかった
スターターとしての才能を開花させました。

4月は4勝負けなし、防御率0.95と無敵の投球を
見せて月間MVPを受賞すると
チームも首位を快走しましたが
前半16試合の先発出場で完投はゼロと
ランニング嫌いの一面が見えてきた事から
角コーチは
1時間がノルマだったランニング練習を
7回まで投げられたら30分、
完投したら完全に免除するという
条件を出したのです。

すると直後の巨人戦でいきなり完封勝利を
あげたかと思えば、1か月後の9月9日、
東京ドームで行われた
同じくジャイアンツ戦では
史上62人目のノーヒットノーランを
達成しました。

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