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イケてるクレドをつくったはずが、2度しくじった経営者のお話と、その後

突然だが、僕達の会社には、クレドというものがある。

クレドとは、一般的に信条と呼ばれていて、判断基準や指針になるものである。近い概念として、バリューなどもあり、行動指針の中心に置かれることがある。

このあたりの定義や目的は、色々調べたりヒアリングする中で、様々な考えがあるなーと思っているので、あくまで一例程度に参考にしてほしい。

さて、ご多分に漏れず弊社でもクレドをつくり、そして浸透を目指してきた。今もこれからも目指し続けていくだろう。

浸透を目指す過程の中で、たくさんの葛藤としくじりと学びがあったので、それを共有していこうと思う。

*なお本記事は、以下の目的で書いたものである
1.クレドをつくろうと思っている人や、浸透に悩む人のため
2.弊社に応募に来てくれる方や、既存メンバーへのクレド理解・浸透のため


なぜ今クレドが大切なのか

初めに、そもそもなぜ『今』このクレドを書こうと思ったのか。

結論、リモートワーク×文化醸成がすごく難しいなーと思っているからだ。

詳細は省くが、リモートワークと文化形成は、すごく相性が悪いと思っている。その一方で、働く皆はリモートワークを求めている。

ここで、すごく大切なことが

『リモートワークはボディーブロー』

だということだ。短期的かつ、一個人単位や部署単位で見たときに、リモートワークのメリットはすごく大きい。

ただ、長期的な視点や全社単位で見たときに、デメリットが多くなると思っている。

そういった意味では、リモートワークの影響はすぐに出ないけど、
長期で出てくる。ボディブローのようにじわじわと効いてくる。


例えば、コロナで鬱の人が2倍にというニュースがあるが、
僕は、リモートワークの影響もある程度あるのではないかと考えている。
https://www.yomiuri.co.jp/medical/20210619-OYT1T50169/


恋愛でいうなれば、遠距離恋愛のような状態になるわけで、
その状態で関係性や文化を保つのは難しい
なーと思う。
そんなときに大きな救いとなったのが、今回のクレドである。


とはいえクレドを徹底すると聞くと、働く側は『そこまでやるんだー』、『縛られて嫌だなー』と思ったりする人もいるかもしれない。
だが、個人的にはクレドがあるからこそ、リモートができたり、自由や多様性が生まれると思っていて。


例えばイメージとしては、車の標識で。
標識があるから、僕たちは車を自由に乗りこなしても、事故を最小単位に抑えられるような、そんな感じだ。


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また別の例えだと、木の根っこは固くずっしりとしていて、一方枝葉では柔軟性があるようなイメージだ。

そんな自由と責任、柔軟性とぶれない軸のような、二律背反が美しいのかもなーと思ったりする、今日この頃だ。


少しわかりにくいので、図にするとこんなイメージ↓


クレド

赤い部分のクレドを中心に置いた上での、オレンジの多様性は守られるべきだけど、赤い部分を通らないオレンジだと、むしろばらばらの組織になってしまうよね、ということで。

いずれにしろ、僕ら経営者は、

多様性という名のもとの、一体感の欠如と、
一致団結という名のもとの、柔軟性の欠如
の間の綱渡り

をするようなもので。

そんな中、リモートワークが進むと、多様性という名のもとに幹がぶれ始めるような、そんな感覚があった。


そんな時に少なくとも僕達にとってクレドの存在はあまりにも大きかった。


クレドの歴史

さて、ここからは弊社の実際のクレド作成の歴史を、フェーズごとに開示していこうと思う。

記憶を頼りにして記載していくので、一部時系列等、実態と違う可能性もあるが、ご容赦頂けると幸いである。

1.初期クレド

まず僕が初めてクレドをつくったのは、いつ頃だろうか。
おそらく創業1年目、2014年中ごろにはつくっていたかと思う。

最初はGoogle Documentにクレドを書いていた。
大きなクレドの見出し項目があり、そこに見出しごとの、説明文がしっかりと書かれていた。

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クレドはつくって終わりでは良くないということをある程度理解していたため、最初から仕組みとセットにしていた。

例えば、月に一度の全社会議で、クレドごとに担当を割り振り、クレドを読み上げてもらい、感想をシェアする形式のワークをしていた。

このクレドは、やりながら少しずつ内容をアジャイル型で修正していった記憶がある。

このクレドもすごく頑張ったが、結果的にベストとは程遠かった。

しくじりは、
・想いを込めすぎて、とにかく長かった。笑
・全然浸透しなかった
・段々マンネリ化してきた
・クレド間の関係性、クレドの定義、立ち位置が良くわからなかった
・理念に基づいていない
等々、多岐にわたる。

書いていて、お恥ずかしい限りだ。。


2.定義型クレド期

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その次に覚えているのは、定義型クレドだ。
今から4年ほど前の2017年の8月ごろだっただろうか。
合宿後に藍屋(ご飯屋さん)とかで作った記憶がある。

このクレドでは、前回の反省点も生かしながら、
弊社理念に基づき、MECEを重視した。

具体的には3Q(IQ , EQ , AQ)という重要な指標ごとにクレドをつくっていた。 *3Qについてはニーズがあればまた記事でも書くが一旦割愛

IQに関するクレド6つ、EQに関するクレド6つ、AQに関するクレド6つのような感じだ。

そしてこの時は、IQ賞やEQ賞といった表彰制度とも連携させていた。
それに加えて、スライドを作って、
可視化もした。元々あった読み合わせもやった。


どうだろう?結構いい感じなのではないだろうか。


だが結論、これでもベターまで行ったが、
ベストまでいかなかった感覚がある。
これだけやったのになんでやーーー!となった。笑

今思い返すと当時のクレドは、
・定義しすぎて、綺麗だし正論だけど、響かない、浸透しないクレド
・トップダウンの決定で、皆の納得感がなかった
・UIUXの徹底度合が甘かった
になってしまった。

恥ずかしい。自分の無能さをさらけ出すようなnote、、恥ずかしい。汗


3.現在のクレド

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そうした過去を経て、今現在も進行中のクレドは、2019年ごろ、2年ほど前にできたものだろうか。

結論から言うと、今のクレドが圧倒的にうまくいっている。
これはあくまで経営目線での感覚だが。

このクレドは、常日頃から大切にしている考え、
その時に課題に感じている点などをベースにつくっていった。

次の章で、今のクレドについて意識したこと等を箇条書きで書いていこうと思う。


クレドについて意識したこと、
やって良かった施策


・MECEはもはや意思だと割り切った。
漏れなく被りないクレドにすると、そこに気持ちが乗り切らなかった。


・合宿で皆で決めた。
事前に草案を経営がつくった上で、合宿に行き、皆で修正したり、最終決断をした。
言われてやるのと、自分たちで決めるのとでは違うなと感じた。

・言いやすさを意識した。
より浸透させるため、文字数を減らして、言いやすさを意識した。
例えばスピードイズキングは、スピキンと略されている。
そうすると社内で『それスピキンじゃなくない?』のような会話が出たりするようになった。


・クレドの5段階理論をつくった。
各クレド、評価を5段階で分けている。

5,クレドを周りに体現させる者
4,クレドを己が体現する者
3,クレド体現者の味方たる者
2,クレドができていない者 
1,クレド体現を阻害(ぎゃくれど)する者


・クレドを徹底的にUIに入れ込んだ

クレドシール、クレドカードを作った
Zoomのブレイクアウトルームの名前をクレドにする
Zoomの表示名を「名前|今日意識するクレド」にする 
社内スレでの投稿に#クレドを付ける

など色々な施策に取り込んだ。


・ワークに取り入れるようにした
朝礼時のクレドワーク、社員MTGでのクレド相互5段階評価、そういったクレドに関連したワークを適宜やっている。

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・クレドの立ち位置を定義し、採用面談前に伝えるようにした
クレドの立ち位置について解説している「カルチャースライド」や動画を制作し、求職者に事前に共有している。

*カルチャースライドの詳細はこちら。
https://note.com/onlystory_hirano/n/nc7a3031bc719

・クレド間のつながりを意識した。

(例)
・順番ごとにストーリーで話せるようにしている
・いくつかの項目ごとに章になっている
・あるクレドが行き過ぎたときの抑止力に別のクレドがなるようにしている


以上、こうした過去のしくじり、学びを経て、今のクレドになっていった。もちろん今でも改善点はあるものの、今までで一番ワークしている気がするし、何より僕自身色々な判断をする際に、羅針盤のようになっている。


社内、求職者向け

さて、ここまで少し社外的な要素が強くなってしまったため、少しだけ社員や、求職者向けにクレドの考え方の章をいれさせてほしい。
内輪ネタにもなったしまいかもしれないから、ここは読み飛ばしてもらって大丈夫だ。


<クレドの心得、考え方>


僕らにとっての』クレドとは

・クレドは、つよいい会社をつくるための指針である。憲法と法律のような関係性である。
・クレドは経営陣、社長よりも上位概念である。経営暴走の抑止力でもあるため、経営への反論もクレドを元にであれば、受け付け咀嚼する。
・クレドとは中心線である。多様性を生むための、真ん中の根であり、軸である。
・クレドはチェーンである。1つだけでなく、つながって価値となるし、1つだけできていれば良いわけではない。
・クレドは問題文である。迷った時、判断するとき、これを見てほしい。

クレド間の関係性と評価の仕方

・前後のクレドはつながっているので、順番を意識してほしい。
・クレドはある程度章ごとに分かれている。
・クレド間のMECE、被りは意思である。
・クレドは減点法でも加点法でもなく、総合点で評価される。
・多面性を大切に。一面的なクレドは時に毒になる。

クレドの考え方

・クレドは日頃の行動で現れる。
きれいさより、定義より、細部での浸透と徹底、具体がより大切。
・己の思考の正当化にクレドを使うのでなく、クレドに己を寄せてほしい。
・苦手なクレドを諦めないでほしい。それでもできないときは、
クレドの逆側 (ぎゃくれど) をしないようにし、せめて実行者の応援者たれ。
・クレドの徹底レベルは5段階ある。1つ上のクレドに近づくべし。
・選択や行動の結果よりも、その過程を経営は見ている。
クレドをもとに出した結論か、否か。


最後に

ここまで色々と書いてきたが、これはあくまで弊社のケースであるため、
これを押し付けたいとかではない。咀嚼して合っているものは飲み込んで、違うものは吐き出してもらえたら、それで十分だ。

実際個人的にクレドの定義や目的は、企業毎に違くて良いと思ってる派で。
項目が少ない方が良い派、あえて定義しない派、説明分めちゃ書く派等、色々あると思うが、それは属性等の話だ。

大事なのはどれだけ思考し、試行したかで。その純粋な深さは、間違いなく日々の現場や経営で出ると思うので、奥が深いなと思うし、自戒しかない。



最後に、実はこうして、クレドを表に出すのは、実はとても怖かったりする。実際クレドを公開すべきかどうかは、結構2派にわかれると思っているし、僕もまだ答えがでていない。

怖いというのも、指摘ポイントを増やすことになるからだ。

例えば『うちへの対応返信遅れていて、何がスピキンですか』とか『こういうこと言ってるのに、神は細部に宿るじゃなくね、笑』とか。
今後うちがうまくいってないときや組織崩壊している時には『有言不実行やん』『口だけやん』と言われたりね。



ただ、今回はそれ以上に、少なくとも当時の自分はこの情報が欲しかったし、人事や社内からもこういうのつくってほしいニーズがあった。

そのうえで、書くべきだなという使命感と気持ちの方が勝ったというだけの話だ。だからある意味この記事は実験的な要素もあるし、ひょっとしたら後から消すことになるかもしれない。

だから改めて、こういうものを公開すると気が引き締まるし『偉そうに書いておいてできてないところ多く、自戒しかないな』という想いが強まった。

本記事が、どこか誰かの0.1%の力になってもらえたら、幸いだ。


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