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【レベルアップ】関板の選び方...迷うこと必至

タイトル通りの問題でございます。
実利をとるか、ロマンをとるか。究極の2択でございます。

【更新履歴】
2023.12.29 ▲1.00 烏帽子弭の項を追加

竹弓をオーダーしたくなったあなた


今回、竹弓が欲しくなったあなたはオーダーすることにしました。
店頭にある弓よりも周囲の人が持っていないような弓がいい、アフターフォローが万全な弓がいい、など理由はなんでもいいです。
とにかく、あなたは竹弓をオーダーすることにした、そんな前提です。

知らない木

竹弓を注文するにあたって、関板の木の種類を聞かれました。
ハゼにするのか、他の木にするのか、ということです。
一般的に良く見る関板しかないと思っていたので、油断をしていました。
思わず聞いてしまいます。
「どんな木があるのですか?」と。

まずハゼ、これは最もよく使われている木です。黄色っぽい木です。
他には唐木である黒檀・紫檀・鉄刀木、黒柿、アカシア、ブビンガ、シャム柿などなど。
見慣れていない色の関板の見た目も相まって、綺麗・カッコいい・珍しくて素敵、という感情の高ぶりがありました。

関板が変わる

弓の原則は先細りになって、軽くなっていくことが理想です。
関板に重い木が使われていると、先端に重りがついていることと同じです。
先端が重いほど弓返りの速度は遅くなります。弓を持つときも大変です。(テコの原理でも遠い距離に重りがあるとつらいですよね)
これが弱い弓にとっては顕著です。
弓全体の重量に対しての関板の重量が占める割合が多いのです。
強い弓では関板の重量の割合が少なくなりますし、反発力で補ってくれるので影響は小さいといえるでしょう。

じゃあ重い木を使ってはダメなのか?というとそうではありません。
例えば、本弭側に重い木があれば、末弭側を軽くしたときに取り回しが楽になります。(上下で木を変えるということは試したことはありませんが。)

重たい木のメリット

重たい木は堅いです。
堅い=弦輪のあとがかなりできにくいので、弦で窪みができるにくいです。
これはメリットですね。
若いハゼのような軽くて柔らかい木は窪みができやすく、誤った位置にできてしまうと取り返しがつきません。窪みが深すぎると関板と弦の距離にも影響してきます。
ちょっとだけ窪んでくれるのがいいでしょう。

関板、何を選ぶ?

「軽くて堅い木にしてください」っていうワードで終わりです。
具体的にどんな木なの?って言われると困ります。木材がいっぱいありますから、使おうと思えば使えます。
ここでは、黒柿とハゼ(200年以上の老木)を推します。
これらが比較的軽くて堅い木材になります。

烏帽子弭 ▲1.00

”えぼし はず”と呼びます。
言葉の響きから想像するに、もののけ姫に出てくるエボシ様を思い浮かべる人もいるでしょうが、帽子のことです。
竹弓でいうと弭の形状の1つになります。

烏帽子とは、平安時代から現代にかけて和装での礼服着装の際に成人男性が被った帽子のことです。

京弓では、この形を象ったものを竹弓で採用しています。
外竹側と内竹側の両方に木材を接着して形を整えます。
弦をかける切り込みを外竹側に作ります。

烏帽子弭のメリットはカッコいいこと、2種類の木を使って弭を作れるのでコントラストを作って楽しむことができること、など見た目で楽しみがあります。的中に有利不利はありません。ロマンです!
デメリットは価格があがります。自分で弭の形状に削ると分かるのですが、削るのは非常に大変です。
また、木の繊維方向に負荷がかかるため、弦をかける部分が割れやすいです。
弦の掛け方と外し方もコツを掴まないと難しいです。
そこを許容できれば、注目の的になること間違いなしです。


ロマンを追え

いや、それでもロマンを追えといいたいです。
自分の本当に欲しい竹弓にすることが一番です。
これで重い関板を選んでしまって性能が悪かったから?
それをハゼに変えたところで良くなる保証はどこにもありません。
まったく同じ材料で関板だけを変えた2張りを作ることは不可能です。

周囲の声(上記のように軽い木を推す声、重い木を推す声)に惑わされないでください。
もう一度いいます、自分が一番欲しい竹弓をオーダーしましょう!!


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本マガジンは入門に加えて、さらなる竹弓の世界に没入したい人に向けて編纂しました。 ■扱い方、矯正方法 ■知識のアップデート ■明日役に立た…

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