009_最初から竹弓を使う場合に覚えること

完全に失念しておりました。
最初から竹弓を扱いたくて弓道を始めた人も一定数いるということを。
竹弓竹矢を扱ってこそ日本文化と考える人もいることは事実です。
そのため、最初から竹弓を扱う前提の内容がなければいけないのだと。

最初から竹弓に触れるという方、改めて弓と向き合い方、一緒に復習していきましょう。(射技観点での内容は出てきません)


空筈に注意

引き絞った弓の力を矢に乗せることで矢が放たれます。
矢に力が乗らないと、衝撃は弓全体に残ります。
離れの衝撃に弓は耐えることができません。特に竹弓においては一度で破損することも珍しくないです。
よって、空筈には最も注意しないといけません。

対策① 矢の重量を適切にする

軽すぎる矢は空筈に近くなります。
まずは弓力+10g以上を目安にしてください。それよりも軽くなることは避けたほうがいいでしょう。
重すぎると狙いが上になりますので、先生と相談してください。
※弦の太さも考慮してください。15キロに0号といったほうな細いほうに振るのはNGです。

対策② 仕掛けを太くする(筈)

筈をかける位置の仕掛けは筈が抜けないようにしっかりと作ってください。
細すぎると外れやすい状態になります。
行射中に気づかぬ内に外れてしまうことはありますので、注意してください。

対策③ 仕掛けを太くする(ユガケ)

弦枕に触れる仕掛けは細すぎてはいけません。太いほうが弦枕を越えて外れやすいのでは?と思うかもしれませんが、逆です。
弦が細いと弦枕が抉れて深くなっていきます。あるいは弦枕とは別の段差ができます。段差と弦枕が移動するときに誤って筈が外れることがあります。
仕掛けを太くしても、ユガケをしっかりと捻ることができていれば、暴発することはありません。

首折れに注意

弓を始めた人にありがちなこととして、弓把の高さに注意がいかないことがあります。弓把の高さは関板と弦の間隔に直結するため、常に注意していなければいけません。
関板と弦は触れていると、離れの衝撃が関板から切詰めにダイレクトに伝わります。衝撃に耐えきれずに、切詰め付近からポキっと折れてしまいます。これが首が折れる故障になります。

対策① 関板と弦の間隔を確保する

絶対に触れてはいけません。弓把の高さを15cm程度にしなさい、と指導を受けますが、真に受けてはいけません。
15cmを基準にしてる弓もあれば、していない弓もあります。
故に竹弓を扱い場合は関板と弦の間隔を優先的に考えてください。
その結果として16cmになるのであれば、それも仕方がありません。
弓把があまりに高すぎるのであれば、成りに問題があります。分かる人に見せてもらってください。

対策② 弦輪を大きくしすぎない

弭と弦輪の関係も見逃されがちです。弦輪の大きさは適当に作ればいいというわけではありません。
弦輪は弭の周回よりもやや小さめに作ってください。
張って引っ張られた時にぴったりとなるように作ります。

弦輪が大きいとどうなるか?
離れの時に弦輪だけが弓の外側に回ってしまい、弓が反対に反ってしまいます。この時に首折れを誘発する可能性があります。

胴抜けに注意

竹弓の成りで注意するポイントの1つに胴抜けがあります。
胴が抜ける、と表現することが多いでしょう。
おおざっぱにいうと、張り顔に確認した時に握り付近が膨らんで見えることです。真っ直ぐになってるか、弦側に反ってることが必須となります。
胴が抜けていると矢に力が乗りません。弓としての性能が著しく落ちます。
胴が抜けることには細心の注意を払ってください。

対策① 慣らし期間を確保する

購入してからいきなり矢束で引いてはいけません。どんなに長く張り込んでいても、です。
最初は矢束の半分から、次第に引いていき、矢束まで引きます。
矢束まで引いた状態で最低100射は巻藁で射込みます。
巻藁矢では重たい矢を使ってください。


対策② 張り込む時間を確保する

弦を張った直後に引くと胴が抜けやすいです。裏反りがある場合は尚更です。
弦を張った後は最低で15分、安全を取るならば30分は張ったままで置いてください。
また、ひと月など長期間弦を外した状態だった場合は、1時間以上は張り込んでください。

対策③ 高く張りすぎない

弓把を高く張る=弓に負担がかかります。胴が抜ける、というよりは弓全体が弱くなりやすいです。一方で、安定はしやすくなります。
慣らしの段階では高く張る、という方法がアリです。

保管方法に注意

弓具全般に該当することになります。家に置く時でも風通しの良い場所や直射日光が当たらない場所を選んでください。
湿気や日光は弓具の素材を劣化させるのを早くします。
特に竹弓で注意したい点は日光からくる温度です。

対策① 夏場に車内に置かない

夏の車内は気温以上に高温になります。30度を超えることもよくあります。
竹弓は気温が高いと成りが変わりやすいです。特に弦を張ってある状態だと常に負荷がかかった状態です。1時間放置しただけで成りが変わってしまった、ということもありえます。
冗談だと思いますが、そうではありません。合成弓ですら真夏の車内に放置しておくと形が変わることがあります。

対策② 室内環境を整える

夏場および梅雨時期ではありますが、文明の利器を活用します。
24時間つけっぱなしにするのです。
室内でも30度は越えたくないので、弱運転で2ヶ月ほどはエアコンONの状態で過ごします。湿度が高ければ除湿に切り替えます。
数千円で竹弓を守れるならば、高くない代償ではないでしょうか?

対策③ 車内→道場の寒暖差に注意

特に冬になります。車内で暖房を効かせた状態で道場に移動すると、寒暖差が生じます。張ってある状態でいきなり引こうとすると、破損する可能性があります。竹弓は寒暖差に敏感ですので、竹弓が冷えるまでは待つことをオススメします。

以上、最初から竹弓を使う場合に注意しておきたい内容でした。
合成弓での注意点とそこまで大きな差はないと思います。



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