そのもの(掌編)

 少しだけ期待していた。君が本物である事を。

「何かお役に立てますか?」テンプレイトの言葉は、再起動の合図。
「PliaNETからナナミのデイタをDLしてくれ。……君は、ナナミだ」
 孤独な研究室。メイドロイド"Neb-u1a"に本来はない機能を追加して、全脳UL/DLの実験が始まる。
 祈りに、よく似ていた。
「かしこまりました」

 Neb-u1aは、僕の知るナナミそのものになった。数日間の観察。口調からマルディグラの淹れ方まで、死んだ彼女と何一つ違いがない。完璧だった。
 だから僕は、酷く失望した。

「――何かお役に立てますか?」
 零してしまった。訊こうと、するから。
「もう少し君を知りたかった」。


 あなたには「少しだけ期待していた」で始まり、「もう少し君を知りたかった」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば2ツイート(280字)以内でお願いします。
#書き出しと終わり
https://shindanmaker.com/801664

 過去作であり、書き出しと終わりの処女作。段落の空白は後づけだけど、ちゃんと字数制限にも沿ったもの。
 元の置き場を消す事に決めて、これもまあ私の作品の一つなのでサルヴェイジしておこうかなって感じ。
 RPGとかSNSとか、場所は選ばないんだけど、自分の活動名をつけるのがとても苦手。作品内の固有名詞は書きものを続ける内に少し慣れて来たところはあっても、そこだけは今も変わらなくて、結局「Neb-u1a」を適当に借りたまま。メイドになるにはあまりにポンコツなので名前負けかも知れない