【芸術大学のオンライン授業って?-東北芸術工科大学 美術科 -洋画コース編-】
ご覧いただいている方こんにちは!寒さもかな~り増してきて、こたつを出し始める時期になりましたね。日々温かく過ごしましょう!
さて、今回は東北芸術工科大学 美術科 洋画コースの鴻崎正武先生にオンライン授業のノウハウをお伺いしました!
そのノウハウを学生さんの感想を交えてまとめて参ります。
ー本日は宜しくお願い致します!ー
鴻崎先生・ゴマフアザラシさん(洋画コースの学生):宜しくお願いします。
ー鴻崎先生が開講したオンライン授業の内容について教えてください。ー
鴻崎先生:
箔を使用した絵画表現演習をオンラインで行いました。 箔と日本画の画材である膠を使用しての絵画表現で、古典技法の基本を学んでもらいます。
ーオンライン授業で使用したソフトやツールなどがあれば教えてください。ー
鴻崎先生:
私の授業ではTeamsとYouTubeを使ってオンライン授業を行いました。
【Microsoft Teams(マイクロソフトチームス)ってなに?】
Office 365アプリケーションの1つで、チャットを始め、ビデオ会議や通話等チームやクラスでの会議・授業に利用できるツール。
ーどのような目的でTeamsを利用したのでしょうか?ー
鴻崎先生:
情報共有と学生の作品工程をチェックするために利用しました。Teamsはその授業ごとに部屋を作ることができます。
なので、その授業で使用した資料・周知した情報を簡単に学生が振り返ることができるようにしました。提出した作品を全員が気軽に見れるような形にできるのもこのツールの良いところだと思います。
ー実際にTeamsを使用した授業を受けてみて、いかがでしたか?ー
ゴマフアザラシさん:
そうですね、個人的には日々良い刺激になっていました。仲間の作業工程をじっくり見れる機会もあまりないので、自分も頑張らなければ!と思いながら作業を進めることができました。
ー普段から作業工程を記録していたのでしょうか?ー
鴻崎先生:
『やっておきなさいよ~』とは言っていましたが、自分の作業工程を記録することを習慣にしている学生は少なかったと思います。ですが、オンライン授業になってやらざるを得ない状況になったので、その習慣付けができたのはオンライン授業の利点だと思います。
ゴマフアザラシさん:
私も今まで自分の作業工程を記録する習慣が付いていませんでした。ですが、実際にこうして自身の作品をスマートフォンのカメラで撮影して、よく観察してみると『あ、ここ気泡入ってるな』『塗り忘れてるところあるな』と気付くことがありました。私自身も良い習慣になったと感じています。
ーでは、次にYouTubeでの授業について教えてください。ー
鴻崎先生:
YouTubeでは作業工程の実演を行いました。学生には予め授業で使用する画材や道具を一式郵送したので、学生が動画を見てそっくりそのまま作業を真似できるように工夫をしました。
ー画材を郵送したことも気になるのですが、動画の撮影や編集はどのようにして行ったのでしょうか?ー
鴻崎先生:
動画の撮影と編集は同じ洋画コースの教員同士で行いました。
そして、画材を『郵送』した経緯としては、同じような物を自分で揃えてもらっても構わなかったのですが、共通の画材や道具を使った方が学生により分かりやすく届くのではないかと思って一式を郵送しました。
※学生に送った画材一式※
ーとても大変な作業ですよね…。授業の背景を聞いてみて、学生であるゴマフアザラシさんはいかがですが?ー
ゴマフアザラシさん:
鴻崎先生はオンライン授業でも普段の授業と変わらないクオリティでかなり細かく、マメに作業工程を教えて下さいました。私たち学生の中では『鴻崎先生が頑張っているのだから私たちも頑張ろう!』と士気を高めていました(笑)
鴻崎先生:それはとてもありがたいですね。
ーオンライン授業になって、授業の形だけでない学生の行動や心境の変化などはありますか?ー
鴻崎先生:
そうですね、主体性を身に付けた学生が多くなったように感じます。こうして作業工程が見えるようになって学生が学生の作品を見て学ぶところだったりがあるのかもしれません。
ゴマフアザラシさん:
マンガを描き始めた学生もいますしね!学校に行けない、自分と向き合う時間が多くなったことを機に新しく何かに挑戦する人もでてきています。
鴻崎先生:
ただ、やはり良い影響だけではありません。中には作業工程が見えるからこその難しい点もあります。自分の作品と仲間の作品を比較して落ち込んでしまったり、学業とプライベートの境目が付けにくい学生がいたりも。そのような点はオンライン授業のデメリットだと感じています。
ー新しい形の授業に戸惑うのは学生も同じですね。
では、今回初めてオンライン授業を行ってみて、今後の課題などがあれば教えてください。ー
鴻崎先生:
課題は洗い出したらキリがありません。今回は初めての試みだったこともあって教員がいつも以上にチームとなってより良いオンライン授業になるよう工夫してきました。
しかし、自分個人としてもっとできることがあるのではと感じました。今後また同じような状況になったときに備えて自身の知識とスキルを蓄えておく必要があります。大変苦労した経験ではありましたが、その分新しい価値観だったり、学生の個性が見えたりしました。
ーゴマフアザラシさんは学生として何かオンライン授業における不満などはありましたか?ー
ゴマフアザラシさん:
大きな不満はありません。ですが、全体を通して細かいことや個人的なトラブルが起きたときは少し困りますね。個人的なトラブルに関しては、先生に聞けるので解決できるのですが、『何をどれくらい入れる』という感覚的なものを理解することはオンライン授業では難しいように感じました。
鴻崎先生:
確かに、絵画表現だけではない対面ならではの空気感だったり作品を実物で見ないと分からない魅力もあります。そこがリアルに感じられないのはどうしてももどかしいところではありますね。
ー対面とオンラインツールのいいとこどりができれば学びが豊かになりそうですね。本日は貴重なお話ありがとうございました!ー
鴻崎先生・ゴマフアザラシさん:ありがとうございました!
🌟 今回登場したツール・活用法 🌟
◎Teams(チームス)
・学生へ情報共有。
※授業ごと/クラスごとに部屋を分けて混乱を防ぐ。
・作業行程の確認。
※あえて学生同士で作業行程を共有できるような形に。
◎YouTube
・絵画表現の実演
※撮影や編集は教員で行った。
※いつでも見返せるので学生にとってはとても便利なものであった。
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