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「池の水ぜんぶ抜く大作戦」にボラ参加したときのメモのはなしの続き

今年2020年の1月末に「池の水ぜんぶ抜く大作戦」にボラ参加したときのメモをこのnoteで書きました(下のリンク先)。それから半年を越え、同番組も何度も観て、外来種の本やネット記事もいろいろ読んで・・・その結果、外来生物(外来種と呼ばれている生きもの)は、いったいどうしたらいいのか?よく分からなくなってしまったので、ここらで自分なりに整理したくなったので、今日のnoteでそれします。

外来生物は悪者!という考え方は、この番組の根底にある概念で、これは今のところ私の頭の中でも「基本的にそうだろうな」とは思ってういますが、この考えが最近になって自信がなくなり、日によっては「そうでもないだろ!?」と思ってみたり、また「やっぱり外来種は禁物だ」とか、考えが揺らぎに揺らぐようになってしまいました。

上述の「池の水ぜんぶ抜く大作戦」は、京都市西京区の大原野という地域にある由緒正しい「大原野神社」の拝殿の裏手にあるため池の水をぜんぶ抜いて外来種駆除をやりましたが、このときの印象は「この池は外来種に完全に支配されている!」でした。だから外来種は駆除すべき相手である!と、完全にそう思いました。

この池は人工のため池で、元々水生生物は居なかった森の中に池が作られました。その池の今の住人はほぼほぼアメリカザリガニと食用ガエルのの種類。その他に少しだけブルーギルなどの魚と水生昆虫と、クサガメが当日捕獲されました。

後で想像してみると、アメリカザリガニと食用ガエルのオタマジャクシは共.に池の水草や生きものの死骸などを食べてやや大きくなると、ザリガニはオタマジャクシを襲って捕食し、そのザリガニは親になった食用ガエルに食べられ、食用ガエルとザリガニはクサガメや、たぶんこの周辺に生息するアライグマに食べられる・・・という外来種だけの食物連鎖が出来上がってしまっている可能性が高いのです。

食物連鎖は自然の営みそのものなので、これはこの日本の京都の地に、外来種だけの新しい自然の営みが完成したと見てもいいのだと思います。だけどそもそもこの日本にそんな外来種だけの自然環境があるのが良いのでしょうか? 上記「池の水ぜんぶ抜く大作戦」ではそこまで言及していないですが、『有って良いわけがない!』という概念だと思います。

ただ今にして思い返すと、その池にはアメリカザリガニと食用ガエルのオタマジャクシがふんだんに生息していて、数の多さとしてでは「豊かな生きものの世界」だったのです。それは、果たして悪いことなのでしょうか?

この番組ロケが終わって、いろいろ読んだ本やネット記事の中で、ひとつ「外来種は悪」の真逆の説を唱える記事は、たとえば下のリンク先記事です。

上記「外来種を悪とする「池の水ぜんぶ抜く」の疑問点」の中からエッセンスだと思われる部分を引用すると、次の太文字部”来種とは、人間の活動によってほかの地域から持ち込まれてきた生き物であり、それ以上でもそれ以下でもなく、善悪とは関係のない概念”ということになると思います。

私も同感だと思うことのひとつは、悪ではない「良いヤツ」のハズの在来種でも近年悪玉に追いやられている動物がいます。それはニホンジカやニホンイノシシです。それにニホンザルもかもしれません。カラスもそうでしょう。これら良いヤツの在来種は環境の変化で鳥獣害をもたらし、シカとイノシシの捕獲は「駆除」と言われているのは事実です。ただし駆除は管理下で行われていますが。

反対に、もともと外来種だったけど、完全に日本の地に馴染んでしまい、人も生態系も「問題なし」とされている外来者も居て、その代表格がズズメです。ただしスズメは縄文時代に稲を古代人が大陸から持ち込んだときに一緒にくっ付いて日本に来て住み着いてしまい、そこから数千年経過しているという点が食用ガエルやアメリカザリガニと違うところです。

だからズズメにしてみれば食用ガエルやアメリカザリガニに向かって「まだまだ新参者だねー」と言えるのかも知れないですね。ヨソ者から市民権を得るには相当長い年月がかかるのは移住した人が住民に認められるように、自然界の生態系が外来生物込のちょっと新しい生態系が定着するのには数十年くらいではダメなのかもしれないです。

ただ、外来生物は日本の縄文時代から今まで延々と渡来し続けているので、この生物は外来か?在来か?なんて線は引けません。いつ日本に渡来したのか? 最近では明治以降に渡来した動植物を(一応)外来種にしようか!?という区分もあるみたいだけど、そんなところで線引きしたところで悪玉も善玉も分けられないのですね。現に「池の水ぜんぶ抜く大作戦」では江戸時代から日本に居るコイやクサガメも外来種呼ばわりで悪として扱われています。

私は、もし本気で日本の外来種を駆除し尽くしたとしたら、日本の生態系は破壊されてしまうのではないか?とも考えています。なので、

日本に限らず、生態系は外来種込みで適当とか不適当を考える時期になってきたのではないか?

このように思います。

では適当とか不適当はどうやって決める?
この課題を深く考えると難しくてまだ私の頭では分からないし、ネットを調べても手掛かりが無いものが多いですが、

1.近縁種で在来種と交雑してしまうような外来種は二種同じ場所に居てもらっては困るから外来種駆除は要るだろう

たとえば日本のオオサンショウウオは中国のオオサンショウウオと交雑して子どもが生まれますが、交雑された子どもはもう子どもを増やすことはできません。だから動物で交雑が起きるとその種は絶滅になってしまいます。(人間や犬は人種・犬種が違っても子どもが増え続けられるのは、近縁よりもずっと遺伝子が同じ、同一種だからだそうです)

2.生存パワーで在来種を圧倒して絶滅に追い込むような外来種は"当面は”居てもらっては困るだろう

どうも外来種はこのような破壊的パワーがあるのが多いみたいなのですね。何でそうなるか? 外来はパワフルなヤツが多くて日本のは弱っちいわけではありません。渡来したての動植物にはそれを食う「敵」があまりいないからなのです。

それに在来種があまり生息していない場所に偶然生きられる外来種のヤツが伸び伸びと育って生めや増やせや状態になり易いようです。しかしそのうちに今までその外来種の味に気が付かなかった生きものがそいつを食い始めて、やがて反映を続けてきた外来種の数も落ち着くところへ落ち着くことになるでしょう。これが外来種込みのちょっと新しい生態系ができたことになります。

そういえばセイタカアワダチソウも70年代の頃は「目の敵」にされていましたが、最近はもう少し下がって「いまいましい」ぐらいになりましたね。と私には見えます。それにこの種、小さい小さい種なのですがスズメが食べているんです。セイタカアワダチソウは明治末期に園芸用で日本に持ち込まれた植物らしいから100年ぐらいかけてやっと日本で市民権の芽が出て来たのかな?ぐらいの段階です。生存パワフルな外来生物がおとなしくなるまでは数百年とかかかるのではないかと思います。

3.特定外来生物は居てもらっては困る。駆除すべき

当局も外来生物の悪さ加減はわかっているので、そのうち特にヒドい生きものには「特定外来生物」と法律によってレッテルをつけています。更にこれらを飼ったり、放流したり、生きたまま持ち運んだりしたら目玉が飛び出るぐらいの高額な罰金が科せられる可能性があります。

食用ガエルはこの一例です。だからうっかり捕まえたらもう再放流できません。その場で殺さなきゃならないのですね。

しかし現代人に生きものを「殺す」って無理っぽいのです。私もそりゃ嫌ですよ。偶然死んだカエルを穴掘って埋めるのはいいけど、殺して埋めるとか生き埋めとか出来たもんではありません。この現実は、実は一般の人には駆除が無理!ということになってしまいます。食用ガエルはこの池に住むのは知っているけど、一旦捕まえたならこの手で殺さなきゃならない!そんなの嫌だから見ているだけにする・・・という寸法で。

もうひとつ、なぜかアメリカザリガニの方は特定外来種に指定されていません。その理由は、日本の小学生達で家で買っている子、いっぱいいるからです。もし「飼ったら高額の罰金」などとお触れが回ったら、こっそり川へ池へ逃がす子ども続出で、かえって日本の生態系を荒らすことになってしまうから、なんだそうです。この手の理由で特定外来種指定を逃れているのは他にミシシッピアカミミガメ(ミドリガメ)もそうらしいです。

私が考えるには、上に書いた1から3までのような仕分けをして外来種駆除をやったら外来種駆除賛成派と反対派の溝は浅くなると思う、というのが今のところの考える限界なのです。

しかしここから先が何だかよく分からない。

上に書いたうち、3.はもう環境省が指定する「特定外来種」だから、それを駆除しましょう!は迷いが無いと思います。

次に難しいのは1.でしょう。これはどれとどれが近縁種だとかを分析しないと見分けがつきません。外来種ではないですが、カラスの仲間にはハシブトガラスとハシボソガラスが日本にはふつうに居まして、同じような場所を飛び回ってゴミ集積場を荒らしています。でもこの2種はそんなに近縁でもなくて交雑しないらしいのですね。きっと生物学者なら知っている知識なのでしょうけど、駆除しましょうか?どうしましょうか?の池の水現場でそんな区別がすぐには出来ません。

さらに難しいのは2.です。

日本に居ても、他の生きものに悪い影響もはや出ない、時代ごとに少しづつ変化する日本の生態系に馴染んだ、安全になった外来生物はどれだ?
これが多分だれにも分からないというか、人によって意見バラバラになるような案件だと思うんです。

だからこれを考えていても答えが出ないです。このような中で、もう一回「池の水ぜんぶ抜く大作戦」のボラの参加要請があったらどうするか?
あの食用カエルとアメリカザリガニの巣窟を打破するために受けるか?それとも、それだって生態系だと考えなおしてやみくもに生態系を痛めつけないために受けないのか?

でも、もしまたボラ参加要請があったとしたらあえて受けようと思います。

それで、もしやっぱり反対意見が募ったとしたら、ここでそれをnoteしようと思います。

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