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災害支援における、企業や自治体の皆様とNGOの連携

ピースウィンズ・ジャパンは、空飛ぶ捜索医療団"ARROWS"を通して国内の災害支援を行っていますが、もちろん我々単独では活動できず、さまざまな企業様や自治体の方々との連携によって実現できています。

今回のnoteでは、新潟中越地震での事例をベースに、我々が他団体様と連携してきた実例を少しだけご紹介します。



ピースウィンズは国際人道支援を行うNGOとして発足していたため、以前は国内での活動はしていませんでした。また、"国内での出来事は自衛隊や政府など行政が支援をするべき"という一般的な認識があったため、ピースウィンズ以外の国内NGOも、国内での災害対応はしていない状況でした。
そんな中、2000年ごろから鞆の浦や瀬戸内海など日本でのプロジェクトも行っていた大西は「人道援助はどこでもすべきだ」という考えから、周囲の反対を押し切って"国内災害タスクフォース"を発足させました。
国内での支援実績がない中でピースウィンズが活動を進めていくには、さまざまな団体様との協力が不可欠。そこで、以下でご紹介するような企業・自治体様との協力が生まれていきました。

企業との連携

国内災害での初めての出動は、2004年の新潟中越地震です。東京のオフィスにいた大西は、社用車のハイエースや即時にレンタルしたトラックに、資機材や食料・水を積んで出動。

イオンと提携し、駐車場に避難所を建てる

イオンとピースウィンズは、新潟中越地震発災の少し前から、災害時の連携について話を進めていました。発災時にイオンから連絡をもらった大西は、
駐車場にシェルターを作り、一時的な避難所にするのはどうか?
イオンのロジスティクスを利用して、食料や日用品を持ってこられるのではないか?
などを検討し、系列店であるジャスコの駐車場を避難所とすることとなりました。

ジャスコ小千谷店の駐車場に儲けたバルーンシェルター

帝人と提携してバルーンシェルターを開発

画像にあるバルーンシェルターは、帝人と共同で開発したものです。
シェルター自体は、大西のコソボ紛争での経験から制作しました。アルバニアの難民を支援していた際、道路が壊れてトラックが通れないため物資が届かず、仕方なく泥で汚れた地面の上で難民の方々が過ごしていたのを見て「大勢を収容できる魔法のようなテントがあったら…」と考えていました。
その後、帝人がイベント用テントを制作していることを知り、それらを強化してシェルターにできるよう提案。共同開発に至りました。

バルーンシェルターの内部の様子

新潟中越地震では余震が頻発し、恐怖で建物の中にはいられない状況が続いていました。そこで、ジャスコの駐車場にバルーンシェルターを展開。
・400名ほどの避難者を収容可能
・バルーン型のため倒壊の恐れがない
・空気を含んでいるため暖かい
という、避難者の方々に快適な環境を用意することができました。

その後も大規模災害発生時には、様々な企業様と共同させていただいてきました。我々の活動に共感していただいた企業様がそれぞれのやり方で協力してくださることで、私たちの活動を理想的な形で継続できています。

行政との連携

今でこそ避難所や避難場所の違いなどが明確に定義されていますが、当時は避難所がどんなものかすら定義されていない状況でした。
新潟中越地震発災時には、NGOや民間企業・団体が国内の災害支援を行うこと自体が稀だったため、活動初日は話も聞いてもらえない状況。震災に関する情報も得られないなか地道に現場で取り組みを続け、活動4日目にしてやっと市役所の認定を受けることができました。

その経験から大西は、災害発生前から行政と話をしておくことの重要性を実感。各地の自治体に連絡をとり始めました。
まずは、南海トラフの地震で震度7の地震が発生した場合に被害の大きいとされる静岡県袋井市に連絡し、災害支援に関する協定を結びました。"大規模災害発生時にはピースウィンズが駆けつけます"という旨のもので、続けて被害想定の大きい東京都葛飾区、当時オフィスのあった世田谷区とも同様の協定を締結。

2011年に行われた、袋井市での防災訓練の様子

協定の締結先はその後も増えており、岡山県笹岡市、倉敷市など多数の自治体と協定を結んでいます。

協定の締結時にはピースウィンズのニュースでお伝えしています

日本の場合は特に行政との調整が複雑なため、先んじていくつかの自治体と締結しましたが、都道府県だけで47個、その下の基礎自治体は1,700あまりあるため、全ての自治体と協定を結ぶのは難しい。
実際には、災害が起こって被害が出ていたら、現場に飛んでいきその場で調整を行っていきます。



これらの連携事例はほんの一部です。民間団体であるピースウィンズは、あらゆる場面で企業や行政の方々のご協力を得ながら活動をしています。
もし連携やご支援にご興味をお持ちいただけましたら、ホームページより、お気軽にお問い合わせいただければ幸いです。


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