大西書評堂#6 『左ききの女』
ペーター・ハントケ『左ききの女』(池田香代子訳)
・あらすじ
女がいた。女は子供といた。スカンディナヴィアに赴任している夫が「居住ユニット」と呼ぶその部屋でトウヒの眺めを見つめていた。子供はだだこねて、遊び続けている。女は文句を言うが、それでも子供は遊んでいる。
女は空港にひとりでいき、夫を迎える。帰りしなに、彼はスカンディナヴィアで孤独だったと話す。誰にも言葉が通じなかった、と。
帰って荷物をおろしてから、夫は変な感じだと話す。孤独でないことになれない感じだと。女は夫