人生初のデモ参加
2024年2月18日、人生で初めてデモ行進に参加してきました。
長年付き合いがあるフォロワーからは「お前がデモ未経験だったとか絶対嘘だろ」と言われそうですが、本当にこれが人生初です。
参加したのは「ガザ緊急アクションなごや」という団体が主催する「ラファ侵攻をやめろ!全国連帯デモ!#loudstandingNAGOYA」。
主催団体やデモの名称から分かる通り、現在進行系で深刻な人道危機が続く中東のガザ地区における停戦を求める内容です。
今日は元々、来月に迫る名鉄の値上げを前に、フリーきっぷを使って普段乗らない路線や名鉄沿線の行ってみたかった場所を片っ端から巡る予定でした。
夕方からは瀬戸線を乗り潰し、18時半頃に栄町駅へ戻って来て地上へ出てみると、何処からか聞こえて来る大勢の声。
声のする方へ向かってみれば、パレスチナの旗を持った人を含む大勢のデモ隊が何やらシュプレヒコールを叫びながら行進しているではありませんか。
ガザの目を覆いたくなるような惨状や、それを憂う人々が世界中で停戦を求めてデモを繰り広げる様子は日頃からTwitter(意地でもそう呼び続ける)のタイムラインに流れてきていたので、これは是非とも参加したいと思い、追い掛けました。
しかし、デモ隊がいるのは大通りの向こう側。
横断歩道を渡ろうにも、デモ隊が通り過ぎるまでは警察が横断を待つ歩行者を足止めしているので、デモ隊はすぐ目の前にいるのになかなか近づくことが出来ませんでした。
横断歩道で警備中の警官に
「向こうでやってるデモの列に入りたいので渡れませんか……?」
と聞いてみましたが
「一人渡らせると全員渡らせないといけなくなるので……」
とやんわり断わられました。
確かにそりゃそうだ。
仕方ないので大回りしてデモ隊通過後の交差点まで走り、大通りを渡ってようやくデモ隊の最後尾まで追い付きました。
車道を行進するデモ隊の最後尾には新日の飯塚高史みたいな見た目のゴツイおっちゃんが歩いていたので「デモ、参加してもいいですか?」と聞いてみると
「もちろん!」
の一言。
こうして呆気なく、人生初のデモ行進に加わることになりました。
ただ、完全にノリと勢いで追い掛けて飛び入り参加したこともあり、何の準備もしていません。
周りの参加者を見渡せば、パレスチナの旗だの様々なメッセージが大書きされたプラカードだの楽器だの、皆さん実に多様な持ち物を用意してデモに臨んでいる様子。
何にも無い自分はどうすれば……と思っていると、先ほどの飯塚おじさんが「これ、持って行っていいよ」とプラカードを1枚貸してくれました。
これで形だけはなんとかなりましたが、次はシュプレヒコールの問題が立ちはだかりました。
どうやら今回のデモは17時半頃には既に参加者が集合し、シュプレヒコールの練習をしていたらしいのです。
しかし、つい10分ほど前まで瀬戸線に揺られていた自分には全員練習済みのシュプレヒコールが分からず、必死で内容を聞き取りながら徐々にリズムや文言を覚えていきました。
そうは言ってもデモ行進のシュプレヒコールはシンプルな内容が多いので、約5分後には大方慣れて上手く出来るようになっていた……と思います、多分。
1つだけ「シースパイア!シースパイア!」みたいなコールだけ何と言ってるのか最後まで正確に聞き取れなかったんですが、帰宅後に検索してみたら日本語で停戦を意味する「Cease fire(シースファイア)」でした。
こういうタイミングで英語力とリスニング能力の低さが響いてきますね。
しばらく栄周辺の通りを練り歩いていたデモ隊ですが、とある曲がり角に差し掛かったところで一大イベントの予告が始まりました。
「この先に、スターバックスコーヒーがあります!」
知らない方にはナンノコッチャという内容ですが、スタバはガザ地区に攻撃を続けるイスラエルを支援する企業群の筆頭で、ガザ停戦を求めるデモ隊からすれば完全に「敵」の立場。
敵(スターバックスコーヒー名古屋久屋南店)を目の前にして、デモ隊の熱量と声量は最高潮に達しました。
無関係な店員や客には申し訳ないと思いつつも、デモの目的が目的だけに無視して通過することは出来ません。
参加者が「スタバ、ボイコット!」の声を上げる中、アラブ系らしき女性が血の滲んだ小さな死体袋(ガザで殺害された子供を表す)の模造品を持って店の前に立つなど、かなり強めの圧をかけて大量虐殺への加担を糾弾していました。
デモ行進の終着地はスタバの目と鼻の先にある公園だったので、最後の長い長いスタバ糾弾タイムを終えると、すぐに行進は終了。
今後の活動の告知が行われた後、お開きになりました。
そんなこんなで途中からの参加でしたが、約30分ほど人生初のデモ行進を経験しました。
感想は、まず第一に現在のガザに関心を持っている人は予想よりも多いんだなという気付きが特に大きかったです。
今回のデモ行進の参加者は240人だったそうで、これを多いと見るか少ないと見るかは人それぞれですが、沿道からも意外に反応があったのが嬉しかったです。
デモ行進に向かって両手で👍を作って高く掲げてくれた女性、リズミカルなクラクションでシュプレヒコールに連帯してくれた通りすがりの車、冗談っぽくシュプレヒコールを復唱してくれた若い男性グループ、車の後部座席から窓を開けてデモ行進をじっと見つめる男の子……
もちろん、圧倒的多数の人々は関わりたくないとでもいわんばかりに目を背けてさっさと歩いて行ってしまうんですが、その分何かしらの反応をしてくれた人を見つけると「届いてるんだな」と分かって安心します。
もちろん、反応してくれたからと言って、ガザで起きている問題を理解してくれているとは限りませんし、すぐに忘れてしまうのかもしれませんが、やはり小さな反応でもないよりはマシだと思います。
そもそも今日、自分が不慣れなまま勢いでデモ行進に参加したのも「あれだけの惨状を知って何もしないより、黙っているよりはマシだ」と考えたからです。
こんなことをしても無意味だ、デモなんてやかましいだけで迷惑だ……
そんな声があることは重々承知の上で、それでも自分は今日あのデモ行進に参加して声を上げたことを誇りに思っています。
もう一つの感想は、デモには改善の余地があるということです。
初めて参加した素人があれこれ知ったように口を出すのもアレですが、デモ行進のシュプレヒコールには「ジェノサイド」を筆頭に、政治に関心の無い層には全く馴染みの無い単語がいくつも登場します。
これでは、せっかく問題の核心を大声で叫んでも意味を理解してもらえず、多くの人々から「何かよく分からない」「うるさい」としか捉えられないのではないでしょうか。
しかし、これを「大量虐殺」と日本語で言い換えれば、言葉の圧は強いものの、今何が起きているのか、デモ隊が何を伝えようとしているかを理解してもらいやすくなるはずです。
シュプレヒコールの中には沿道の人々に向かって「あなたもガザの問題に関心を持って声を上げて(要約)」と呼びかける内容のものもありました。
それなら一層、こちらも万人に理解し易いシンプルなメッセージを叫び、今起きていることを知ってもらうべきです。
素人の意見で申し訳ありませんが、どうかあらゆるデモの主催者様に届いて欲しいです。
最後に、今後についての話です。
今日で自分はデモ童貞をあっさり卒業したわけですが、これを期にデモに行きまくるようになるかと言えば、多分そんなことは無いです。
近場で毎週のように何らかのデモが行われている街はやはり名古屋ですが、交通費や時間諸々を考えると頻繁に通うことは難しいですし、内容や主催者によっては近寄りがたいデモもあります。
よって、明日からは今まで通りネット弁慶に戻ります。
今後は外出時に遭遇して時間があれば参加する……という緩やかな形での連帯を続けるつもりですが、そもそもガザで起きている許しがたい蛮行の数々が今すぐに終ればデモに参加する必要など無くなります。
結局一番良いのは、戦争や大量虐殺に反対するデモを起こしたり参加したりせずに済む世界です。
1日も早くその日が来ることを願って、この記事は終わりにします。
長文・駄文に最後まで付き合ってくださり、ありがとうございました。
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