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楊海英「黄砂は中国人がモンゴル人の草原を破壊した結果できたもの」←誤り。黄砂は7万年前から日本に飛来しています。

タイトルで全てを説明してしまった感がありますが、とりあえず問題のツイートを紹介します。


黄砂は中国人がモンゴル人の草原を破壊した結果できたものである。そして、日本にまで飛来する。モンゴル人の草原が中国に破壊されたので、環境問題は起こる。 日本人そこを認識しないといけない。

このツイートを投稿したのは「楊海英(@Hongunumongol99)」氏という人物。

プロフィールを除いてみると……まあ、とりあえず反中らしいことだけはよく理解出来ました。

中国の内モンゴル自治区には民族問題が存在する関係上、彼がモンゴル人の立場から中国に対してネガティブな感情を抱くことを否定するつもりはありません。

ただ、それがデマを拡散していい理由にはならないので、そこはしっかりと批判させてもらいます。

まず、タイトルにも書いたように、楊海英氏がツイートした「黄砂は中国人がモンゴル人の草原を破壊した結果できたものである。」という主張は完全に誤りです。

当該ツイートには黄砂の原因が中国人の環境破壊にあると信じてしまった(というより、そう信じたい人)のリプライや引用RTが多数寄せられていますが、残念ながら黄砂の飛来は中国人とは全く関係が無いんです。

何故なら、黄砂は中国最古の文明である黄河文明よりも遥かに長い歴史を持つのだから。

古くは、日本では少なくとも7万年前以降の最終氷期には黄砂が飛来していたと考えられている。
(中略)
最終氷期初期は現在の3 - 4倍と、かなり多かったと推定されている。このほか、1万8000年前にも黄砂の堆積量が増えたというデータがある。(Wikipedia「黄砂」より引用)


Wikipediaにも書かれているように、黄砂は7万年前には既に日本に飛来しており、現在よりも氷河期初期のほうが量も多かったことが研究で明らかになっています。

7万年前には中国最古の文明である黄河文明すらまだ生まれていません。

そんな太古の昔から黄砂は存在していたのですから、これは正真正銘の自然現象と考えるのが普通の感覚ではないでしょうか。

そもそも論として、自然現象や災害を利用して特定の民族や国家への憎悪を煽ること自体が重大な誤りです。

毎年日本に襲来する台風の多くはフィリピン近海で発生していますが、台風の原因をフィリピン人に求める人はいませんよね。


というわけで総括です。

黄砂は中国人がモンゴル人の草原を破壊した結果できたものではない。そして、6万年前から日本に飛来している。黄砂を中国人への憎悪に利用しようとする思考がいかに愚かなものか。楊海英氏はそこを認識しないといけない。







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