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《寂しさ》って何ですか 〜その2 寂しがりや優位社会を乗りこなしたい〜


わたしはひとりでいると満たされる、人付き合いは大変。
誰かさんはひとりでいるのが大変、人付き合いは満たされる。
ひとが満たされないことを《寂しい》と呼ぶ。
誰かさんの《寂しい》と真逆のところで生きてきた為、その意味に気づくのが遅れたけど、お陰さまで誰か彼かからの「寂しくない?」「可哀想」攻撃を無効化する技を覚えた鬼です。あなたにはあなたの幸せ、わたしにはわたしの幸せ、人には人の乳酸菌。



しかし、労働ではそうも言ってられないアラサー。
社会的動物として生まれたわたしたちは生きるのに必要な食料や住処、衣類などを手に入れるために対価(人的サービスまたは物品)もしくはお金が必要なんですが…、なんと、お金って人間からしか貰えないんですよ…。(最近気づいた)
結局、人間との交流は避けられない、そして社会は協調性のない人間に冷たい…。ワタシハワタシの単独行動が許されるのは一部の才能あるもののみ…どうにかせねば…うう…


ということで、1人で生きて行きたかった(実家を出て自分だけのスペースが欲しかった)自分は、働くにあたっての当座の目標を決めた。
「最低減の精神的交流で生きていくためのお金を稼ぐこと」
(仕事で自己実現とか言うけど、そんなこたあ後回しだ。自分はそれで一度失敗した。労働環境と精神の折り合いがつかなかった。夢が叶ってもプライベートと心の豊かさが死んだら意味がないって分かった。)

自分が苦手なのは〈心の深層に迫る密接な人間関係〉だという自覚があったので、嘘も方便な上っ面の付き合いは可として考える。
まず世俗との交流を断ち切った、田舎での自給自足生活。大人数の行き交う都会からは離れられるが、女性の身体持ちとして防犯面を考慮した不動産の購入、猟友会の高齢男性コミュニティへの参加、固定された人間関係、村社会特有の密接な情報共有ネットワーク…。無理だ。あまりにハードルが高すぎる。絶対過去のこととか聞かれる(偏見)
次に個人事業主として生計を立てること。これも一見して人付き合い少なく自由度が高く見えるけど、個人の技量に任せられる分、取引先や顧客と相対するのは自分ひとりという状況になりやすく、実務外の密接なコミュニケーションが重要になる。自己アピールの巧さ、交渉術、人としての魅力、それを上回る確かな技術みたいなね…(白目) ……いつかパターン化されたコミュニケーション能力と技術が身に付いたら考えたくはある。かなり厳しい世界だけど、やっぱり一部の在宅仕事は魅力的。
そして裏技、金銭的余裕のある人間と婚姻しパートナーの収入で生活する。候補として挙げはしたが、個人的には万が一の突然変異と億が一の天変地異が同時に起こらない限り実行されないだろう。デメリットが多すぎる。恋愛性愛同居の出来ない人間の考えるべきことではない。働いたほうがマシだ。


結局、手頃で規模が大きめな企業(休日やプライベートが確保しやすい)の専門部署に所属して個人のコミュニケーションを最低限に抑えるのが最も省エネルギーで効率が良いのではないかと思い至り、ここ数年はそんな感じの仕事をしてる。木を隠すなら森に。わりと気分は良好。

社内付き合いの強制がないことを基準に選ん仕事だったが、ここで意外な収穫があった。コミュニケーション大好き人間を観察できるのだ。彼らはとにかくよく喋る、そして人と接したいという欲求がすごい。プライベートで関わるとこっちにも踏み込もうとしてきて大変だけど、勝手に喋ってるから会話のパターンとかがすごく勉強になる。
そこで考えた。
もし、彼ら彼女らの旺盛な人付き合い欲求の発生動機が理解できて、省エネで真似できるところを真似して、巧い仕草や対応なんかを習得することができたら…!
そんなことが実現できれば、次の転職活動で人間の数とフロア面積を気にかける必要のない日が来るのかもしれない!
夢見るだけはタダですから。彼らのように振る舞えればずっと生きやすそうですし。


彼らはどうして積極的に人と
関わりたい・会話したいと思うのか?

敵を崩すにはまず知ること。
正直昔からここがいちばん気になってた。彼らってめちゃくちゃ喋るし、隙あらば人と一緒に居ようとするじゃない?しかも人間って、他者に必要とされたり会話することによって親密度上がっていく機能ついてるじゃない?高感度上がるじゃん?そんなの、人間社会そのものが寂しがりやにとってチート過ぎじゃない?ずるいよ…
電話メールのレスポンスは早いほうがいい、人付き合いは何よりも大事、好きな人には会いたくならなきゃいけない…………いつも心の中に他者がいることが前提、しんどい。


このテーマほんと不思議だったから軽い感じで友人(女性)に聞いてみたことあるんだけど、「だって寂しいじゃん」って言われて終了した。そこをkwsk

なので過去の記憶と周囲の人間の雑談を聞いた限りの勝手な分析予想。
※以下、参考文献があったりデータに基づいたりしたものではなく、まじでただの一個人の脳内空想のまとめです※

予想❶
《自分が自分であることの確認》

いきなりぶっ飛んだ話になるけどこれが最初に浮かんだ。
人恋しさを感じないタイプの自分だけど、5日くらい他人と触れ合いゼロ(会話なし接触なし自宅にテレビもなし)だったとき、どうしようもなくリアルタイムで生きてる人間を確認したくなってコンビニ行ったことがある。他者に視認されるまで生きてる実感わかないのあるよね?自分だけ別次元に取り残されてるみたいな空想するよね??例えが大袈裟だったけど、他者と会話して自己以外の個体からのリアクションを受けて初めて生きてることを実感するみたいな。無人島みたいな。
あと存在だけじゃなくて、自分自身の考え方や価値観も他者との差異によって形がわかって名前がつくと思ってて。過去の自分との比較では補いきれない自分ならではの特性が分かるから、単独では不可能かつ定期的に交流が必要なんじゃないかと思う。


予想❷
《帰属社会との距離を測る》

❶と少し重なるけど、自分の感じた感情(ポジティブネガティヴ問わず)が社会一般(多数)の感覚とズレていないか確認するため。一般から乖離した価値観を持っていると群れ社会で生きていけない危機感があるから、その不安を取り除くための情報収集?


予想❸
《自分以外からの知識が欲しい》

単純に自分以外の人間の知識が欲しいときに利用するやつ。相談事や質問。知識欲の強い人はこれをきっかけに人間関係を作ってたりするのかな。
自分が他者に話しかけるときは、ほとんどこれが要因な気がする。どうしても一個人の視点だと見えない問題があるし、個人的に人間って生きてきた数十年の知識と経験が百人百用に積み重なったオリジナル辞書みたいなものだと思ってて、びっくりする視点貰えるし面白いという好奇心から話しかける。


予想❹
《共感・肯定・味方が欲しい》

これがいちばんよくわからない塊。
「聞いてよー」で始まる特に問いも提起もない報告みたいな会話のやつ。
共感:ポジティブな感情は共感されることによって増幅、盛り上げられていくし、ネガティブな感情もまた同調することによって肯定されて増幅される気がする。2人なら幸せは2倍みたいなあれと、悪口言って盛り上がるあれ。これも集団社会での仲間意識高めるために必要なのかな。
肯定:肯定されたい。なんかよく分かんないけど人間って他者に肯定されたいっぽい。(疲れた)
あと、自信のない人とか自己決定率の低い人が意思を確固たるものにするため肯定を期待して他者の存在を必要とするんじゃないかと思った。占い師みたいなやつ。
味方が欲しい:自分の存在を認めてくれる他者が欲しい?恋愛関係でよく見るやつかなあと思う。恋人って一対一の頑強な約束みたいなもんだと思ってるんだけど(無知)、人間って何度も顔合わせたり対面回数が多いほうが親密度が増すらしいし、繋がりをより強くするために多く会話するのかな。恋人でなくとも、相手に親近感を抱かせていざという時の味方を増やす…?
やっぱり社会的動物だし味方が欲しいのかな。
…なぜ自分はこんなに敵味方でしか物事を考えられないんだろうか。

予想❺
《責任の分配》

絶対的で限られた知識しか持たない自己から、意識のつながらない他者(外部)へ向けて言葉を発して、気持ちの整理をする。(これは対物でもできる)
かつ自分ひとりで抱えていた問題を吐露することによって当事者を増やす。自分以外の存在があってこそ可能な行動。「話したらスッキリしたよ!」ってやつ。
❹の肯定にも近い要素があって、他者の後押しによって意思決定すると自分の責任分は減る。気が楽になるから。


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ひとまずこれくらいが想像できたんだけど…
正直❶❷❸❺は経験がある。というか意識してそうしたことがある。❹については、おそらく自分がいちばん「なんでこの人こんなに喋るんだろう…」と思って眺めてきた人達を思い返して書いてるので、我ながら想像の域を出ない自信がある。考えてみよう。


❹《共感・肯定・味方が欲しい》という強い欲求

思い返してみれば自分は、一人でやった趣味のあれやこれやを友人や職場の人に自ら話して知ってもらおうとしたことがほとんどなかった。急にクジラが見たくなって飛行機駆け込んだり、唐突に2〜3週間旅行に出たり。相手に聞かれた時だけ答えてたけど、なんでもないときに「見てこれ」「聞いてよ〜」なんて世間話を耳にするたび、全く自分のことを話そうと思わない自分と彼らの差はなんだろうって気になってた。

肯定される欲求が自分にないのはなんとなく分かる。スキゾイドの特性でもあったけど、自分で自分を肯定できる(自己承認)から他者からは強く必要としない(=他者承認欲求が低い) 。「あなたに認められなくてもわたしは最高なので」のメンタル。
だとしたら彼らのよう振舞うには、他者に承認を求めるようになれば、自分から話して反応を求めたくなるはず…だけど…うーん。認められたいこと、…思いつかないな…。やっぱり自分が満足できるかどうかっていう基準は変えられない気がする。次

自分の共有・共感の欲求が低いことについては、予想❷《社会との距離を測る》で過去に雑談等で的外れな発言をして疎外感を感じた経験が多いからかと思ってる。
未だに「○○って××ですよね(感想)」みたいな話投げると「えっ変わった見方するんだね(^^;」率が6割くらいあるから、いつも何言えば途切れずに話が進むのか考えて疲れるし。となると、自分にも本来は共感欲求があったけど、経験からその機会はほどんど与えられないと感じて“諦めた”ことになるな。面白い
勝手な想像だけど、寂しがりやの人やおしゃべり好きの人は過去に共感される経験が多くあって、それが通常だと思ってるとか。共感は常にあるべきもの=無い状態はおかしい=欲求が強いとか。あったものが無いと違和感だよね。
そもそも共感するって「同じ感情の共有」だから、そりゃあ多数派の価値観を持ち合わせてる人が有利だよなあ。りんご見た感想 赤い80% 美味しそう10% 虫がいそう7% その他3%のうちの「Appleの語源ってなんだろう」0.1%みたいな気持ち。赤い人のが共感できる確率高いじゃん!共感されると親近感抱くじゃん!人間社会に有利じゃん!!チクショウ!!!みたいな。

でも、本当に上記の理由でわたしが「共感を諦めた」んだとしたら、共感欲求自体はまだどこかに残ってるはず。だって、そうじゃなければ今こうして文章を書き、アロマンティック、アセクシュアル、スキゾイドの記録を読み漁ってるのは何なんだろう。この行為自体が《共感・肯定・味方が欲しい》という強い欲求じゃないか?
初めて同じマイノリティをインターネット上で見つけたとき、確かに安心したのは覚えてる。1人じゃないんだって、同じひとがいることに安心した。安心?というか、海外旅行先で日本人に会った感じ?言葉が通じるぞ、ストレスなく会話できるぞ、分かってくれるぞ、みたいな。僅かでも味方ができたような気持ち。
………もしかしてこれか?世の人間はこれを日常で感じているのか?嘘だろ。自分には共感欲求が(きっと)ある。ただそれが発揮されるコミュニティにいないってこと?自分も、もしも世界の99%の人間がアセクシャルだったら、お喋りになってたのかな。


いや忘れちゃいけないこともう一つあった。
もし、世界の99パーセントが自分と似た属性を持つマイノリティ(もはやマイノリティじゃない)だったとして。そこで自分は他者と心を深く繋げたいと思うか?
共感のいちばん危険なところは、繰り返すことによって親密になってしまう可能性があるってこと。お互いが同じ感情を持って親近感や愛着を抱いていく中で、気をつけないと〈心の深層に迫る密接な人間関係〉になってしまうかもしれない。
1,1,1,1,1 のコミュニケーションのはずが、相手は1,2,3,4,5で歩み寄ってくるつもりかも知れない。10になったら死だ。
男友達と飲みに行っていた頃を思い出す。よく会う友人のひとりだと思っていたのに、彼は会うたび物理的に近づこうとしてきた。複数人で会おう、2人で会おう、隣に座ろう、手を繋ごう……いや、メリーさんかよ。わたし今、あなたの後ろにいるのよって?

こっちのが問題としては重大かもしれない。
共感すること自体は、コストかかるけど世間の見様見真似で出来る。大変なのはその上で踏み込まれないラインを作りながら行うこと。距離を取りつつ親しくするの、本当に難しいんだな。気を遣いまくって上辺だけの会話をしなければ。

そうなってくると、なぜ〈心の深層に迫る密接な人間関係〉が苦手なのかっていう前提を分解しなければいけない気がする。
どこまでが不快で、何処からが大丈夫で嘘はどれだけついていいのか。そのラインを決めてから振る舞い方を考えよう。よし。



まとめ

・人は興味を持たれる、名前を呼ばれる、挨拶をされる、話しかけられることで他者に認識される=肯定される。
・他者に認識されることは、満たされる(人が多い)。

・寂しがり屋の人は自己肯定よりも他者肯定を重視している。
→自分は自己肯定を重視するので、自発的に他者に共感や肯定(会話)を求めることが少ない。
→環境によっては共感を求める場合があるかも。

・肯定されること、共感されることは互いの親密度を上げて仲間意識を高める。
→〈心の深層に迫る密接な人間関係〉が苦手な自分は、適度な距離を保ちながら交流することが難しい。
→ 〈心の深層に迫る密接な人間関係〉の内訳が分かれば、もう少し社会を乗りこなせるかもしれない。




ちょっと進んだ気がする!やったーーー!



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