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インコの入れ物にすべてぶち込みたい

休日出勤。
電車で行くか、高速代がかかるが時間短縮できる車で行くか悩んだ結果、車にした。
というか車で行くしかない時間までのんびりしてしまった。私の心の弱さ。

出勤してすぐ、私が今日やろうと積み残していた仕事を先輩が片付けてくれていたことに気づき、なんとも言えない気持ちになる。
迷惑をかけてごめんなさいという罪悪感、自分の無能さに対する呆れ、明日朝一番に謝らなければならない気の重さ。
最近頻発する夕立のように、重苦しい雲はさーっと私の心を覆い、大雨を降らせた。

先輩と私は時の流れが違う。
私は究極ののんびり屋で、いつも期限ギリギリ。
でも先輩は手早く、きっちり仕事をこなす。溜め込むことなど許さない。
そりゃ、先輩のかたちが理想だろうけど、まだ大丈夫やん、って思う自分もいる。
いやいや、していただいているのに何を言うか。「おかげさん」だろうが!と自分を叱咤する。

この「おかげさん」という言葉は、私に足りないものだと自覚しているので、何かあるたび脳内で唱えるようにしている。まぁ、そうやって諭している時点で本心は別のところにあるっていうことなのだけど。
自分だけを見過ぎて、過信しすぎて、他人のことが見えていない。直したいところ。

つつがなく仕事を終え、同僚と茶をしばきに行った。
彼女とともに仕事をする年上の後輩の愚痴を聞いていると、自分にもグサグサと刃が刺さっていく音が聴こえた。
仕事遅い、すぐ忘れるだのなんだの…あれ?それ私に言ってます?
なぜ人の話を聞いて自分が落ち込まねばならんのだ。
私は人の愚痴を言わないでおこう。自分で投げたブーメランにぶっ刺されて死ぬから。

前から気になっていたヴィンテージの家具屋に寄る。
家具は気軽に買える値段ではないけれど、見ている分には色々な妄想を膨らませて楽しめる。
ハイテンションになって、絶対部屋のテイストに合わないであろうカラフルな鳥の入れ物を買った。
九谷焼のような派手な色使いで、インコかオウムが描かれている。
店の人曰く、欧州で一時期訪れたアジアンテイストブームに乗っかって作られたものではないか、とのこと。
今日のモヤモヤした気持ちをこの入れ物に閉じ込めておきたい。明るい能天気そうな鳥がそのモヤモヤを食べてくれたらいいのに。
でもきっと、これに触れると今日の気持ちを思い出して、しょうもないことで落ち込んだ日やったな、って笑う自分がいると思う。
つまり時間が経つのを待て。それだけだ。

同僚を送り届けて帰路に着く。車から流れるラジオが好きだ。今日は吉岡里帆さんのライフスタイルカレッジという、彼女が様々な方にインタビューする番組を聴いた。優しい声で、相手の話を引き出す返しをする吉岡さん。私のお気に入りの番組。
ゲストはアイス研究家のシズリーナ荒井さんで、アイスに対する情熱がすごすぎて吉岡さんも押され気味、私も笑ってしまった。世の中には色々な研究をしている人がいるのだなぁ。

帰宅したあとも、あまり明るい話はなかった。今日は低調だった。でもその中でもお買い物をしたり、いいラジオを聴けたりと、小さな幸せはあるんや。それを大事に拾い集めていきましょうね。おかげさんどす。
ため息ばかりが出る日曜の夜だが、連休はすぐそこだ。もうひとふんばり。

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