見出し画像

波長

最近、肉の体験をするたびに、過去に経験したあのような肉の交わりはもうできないだろうと確信する。

過去のあのとき、若い私はあの人と肉を超えた。肉の交わりを超えて私達は無時間に入り込み、互いの精神が融合した。
あの時私達は肉を維持できなくなる感覚を2人同時に知り、自我が溶け出し散らばっていくような感覚に恐怖し、未知に解放されるのを受け入れた。私達はなにかの合図のように見つめ合った。
そしてそこを超えてしまうと、次元が変わり私達は暖かい海になり目が覚めるようなエクスタシーの連続だった。私は永遠に変化し続ける波になり波間のしぶきになり、深海まで流れまた明るい海面に戻った。

今現在の彼との行為は体温と息は上がるが冷たいままで終わる。もしもまたあの人と肉の交わりができたら、、と思ってみたが、既にあの人との経験は私とあの人の精神に刻印されていることを知る。