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最悪の日常を愛せるのなら

赤子の落ちそうな頬を掬い上げるような慈愛は、いつしかこじれた欲と草臥れた妥協だったと知る。迷線、道の区切りを天下を取るように毟り取り、ガラス玉を肌に乗せると焦げ跡は証明になる。美しさも汚さも何もない空っぽだった。何も持っていない人間としてこの世に生まれてしまった。朝食トーストの罪深さ、イヤホンから漏れ出す空気読めない熱度、不登校の味、地獄毎日続くのかこれってもはや甘美なものに生き急いで洗浄した四苦八苦を頭上の神に丸投げする。
あの人が出る夢は大抵胸が躍る悪夢だ。本気で重ねた日常まで犯されるから、もう最初からいなかったことにしときたいのに人間でいたいという欲が舞い踊って少女漫画のスクリーントーンの粉をわざと反射させてそれっぽくさせる。とりまあの粉があれば人間っぽくなれるというまやかしをいい感じに誤魔化すように感傷を殴る。ゾクゾクする。最高。あいつはダメだよ。もう自分が何者だったのかも思い出せない。どんな風に素直になりたいのか、素直な気持ちがこれなのか素直な気持ちは仕舞い込みすぎてもう死に損ないの醜虫なのか、もう歪んだら元通りにはできない。真っ白な紙にシャーペンで描いたものを消しゴムで消してもあの簡単すぎる白さには敵わないから、ずっと結託した血のような自信が欲しいんだった。意味ある空白を今すぐ校舎裏で燃やしたい。ラブソングをより気持ちよく聴くために恋するのも悪くないけど、お前の感受性はその程度なのか?学歴差別、母音の明瞭度が越えられなかった。こんなんじゃ手遅れだったと生き様が柔い土に埋もれる。

よくここまで生きてこれたな。みんなと同じになりたかった。星屑と金髪、舐められないためにどうしてか服や髪の色で判断されがちだから変えなきゃいけないけどそいつのために変えるとか、そいつに好きも嫌いも感情も意識も浅ましさも怜悧さもクソなとこも天才なとこも貴重な人生の時間使いたくないし、頭悪めな展開、金色の雨の味方、真っ赤なYouTubeを繰り返して呑気な審判はアホばかりだ。その寂しさが慣れたら、でも何をしても馬鹿にされるし、本当に何にも見ないだけの人間はお前らの方だろ?無敵状態で墓を暴いて颯爽と学校を救いたいのに自慢な明白は恥ずかしいし、洗脳できてないからもうやめろや。ドラスティックに天空を射抜き、恐怖症に任せて宇宙を抱く。
その瞬間初めて人間としてのリアルを味わう、カリギュラな春の末尾。
チョコパフェを故郷に青春は満足か?青二才のやっと耐えた妄想、折り紙の鶴に乗って冷蔵庫へ、無我夢中に赤い自転車へ流転する。最悪の日常が待ってるのに、なんでみんなホイホイとガキを産めるのか理解できない。

THE BACK HORN「生命線」

「最悪の日常を愛せるのなら」その先には。
意味なんて最初からなかった。
赤子の落ちそうな頬に一匙の×××を。

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