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気まぐれエッセイ

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時に幸せを、喜びを、 時に苦しさを、寂しさを、 その日その時ありのまま、気まぐれなエッセイたち。
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#社会不適合者

適合可否

偶然与えられた脳、偶然与えられた身体、偶然与えられた生育環境… 誰も悪くないが故、誰も善くはない。 何も醜くないが故、何も美しくない。 今の社会と、目の前の人と、目の前の事物と、 ただただ合うか合わないか、だけが存在し、 善悪と醜美は、"適合の可否"の代理人に過ぎない。

反対側にいる人が、憎く愛らしい

俺は自分の反対側で生きている人が嫌いなのだと思う。 でもきっとどこかで惹かれている。 自己確信が強い人が嫌い、 純粋な人が嫌い、 ありのままで愛される人が嫌い。 自己確信が強い人にはなれない、 純粋な人にはなれない、 ありのままで愛される人にはなれない。 本当は自己確信が強い人になりたい、 純粋な人になりたい、 ありのままで愛される人になりたい。

徹底的にダメになりたいときってあるよね

久しぶりにタバコを買った。 徹底的に落ちぶれたかったんだと思う。 早朝からベランダで、 タバコを吸って、 ウィスキーをあおる。 嗚呼、なんて素晴らしきクズ感だろうか。 どこまでも落ちぶれていきたい、 何も考えず、このまま惰性で生きていきたい。 これほどまでに、惰性に浸らせてくれる時間があるだろうか。 数ヶ月ぶりの煙が身体に染み渡る。 ウィスキーの強いアルコールが全身を駆け巡る。 ウィスキーの辛さが、煙の辛さが、 互いの繊細な香りのコントラストを引き立ててくれる。 生

歳上の女性とふたり、飲み語らっているような刻だ

花が好きだ。 およそ1年前、初めて生花に出会い、 その日から花は、私が愛してやまない存在になった。 記事に載せた写真は初めての生花で作った作品。 技術に未熟さはもちろん目立つものの、 私はこの作品が完成したその時、 心臓を暖かな手のひらでそのまま包まれたような、そんな気になった。 たくさんの、大きく綺麗な花がある中で、 それに手を伸ばさなかった。 小さな花を咲かせたカスミソウとサクラに猛烈に惹かれ、 導かれるように、手を伸ばし、枝葉をとにかく切り落とした。

夏の予感を運んでくる風よ

今日は会社に取りに行くものがあって、 夜、少し外に出た。 少し外を歩くだけでも気分は明るくなるものだ。 半袖でも過ごしやすい気候に、 ビルの間を吹き抜ける風が全身に気持ちよく降り注ぐ、 5月なのに、風は十分、初夏の香りを運んできてくれる。 夏の始まりを予感すると、ワクワクするのは私だけだろうか。 高校野球をやっていた私にとって、 夏は少しだけ特別な季節。 太陽に焼かれ、身をすり減らしながらも、 熱く駆け抜けたあの夏を、 身体はまだ覚えている。 きっとこ