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ニューノーマルな社会に優位性ある群馬県

前田拓生(第26期・高崎市・高崎商科大学教授/同大地域連携センター長)

Covid-19感染拡大の影響もあり、世界経済もマイナス成長になる中、世界的に働き方が変化してきている。日本においてもZoomを中心とする「テレワーク」が日常業務となりつつある。一部にはCovid-19の影響が低下すれば、元の状況(リアルでの出勤スタイル)に戻ると想定している経営者も多いが、費用面、時間効率等を勘案すれば、おそらく以前の状況には戻らないと推察する。今後もCovid-19の影響は継続し、Withコロナにおけるニューノーマルな社会を前提にせざるを得ない。

つまり、今後も「テレワーク」が中心となるわけで、となれば、高い家賃で満員電車に乗って会社に行かなければならない都心近くに住居をかまえる必要性は低くなる。Withコロナにおけるニューノーマルな社会を前提とした場合、働き方が大きく変化することから、子育て世代の若い人びとの住まいも首都圏を離れるという選択も広がることになる。実際、このような傾向は統計でも確認されつつある。

そのような中、本社そのものを地方に移転するという企業も出てきてはいるが、そこまで思い切った企業は少なく、リモートが中心と言っても月に何度かは定期的に都心にある職場に通勤することになろう。となると、首都圏に通勤可能で子育て環境に恵まれた場所として「群馬県」は移住先としての可能性が高くなると推測される。

子育て世代の若い人びとは子育て環境として、自然の豊かとともに、食も含めた安全性を重視する傾向が強く、SDGsにおいて目標としている「陸の豊かさ」「気候変動」等への関心も高い。このような傾向が強いと仮定した場合、群馬県は本当に魅力的な地となる。里山も奥山も、綺麗な川も存在し、自然の豊かさを実感できる。また、本地域はユネスコ世界遺産の「富岡製糸場と絹産業遺産群」が存在するくらいに養蚕業が盛んであった。最近でこそ養蚕業は芳しくないことから桑畑も減少はしているが、そもそも桑畑及びその周辺地域はカイコさんを守る上でもあまり農薬が使われていない。SDGsとしても「陸の豊かさ」「水資源」「海の豊かさ」という循環の関係上、化学物質をなるべく使わず、有機農業を推奨している。まさにここでも「群馬県」の優位性を発揮できる。

いきなり「移住してもらう」というのは難しいが、ニューノーマルな社会にとっての優位性をまずは群馬に来て実感してもらい、その体験から移住へとつなげるというビジネスモデルが重要になる。
WithコロナもSDGsを絡めて考察することで地方創生につながる。特に群馬県は、山も川も安全な食材もあり、歴史もあり、文化もある。これらの素材を「ビジネス」という器に乗せることで、本地域への移住を増加させることが可能になるのではないだろうか。

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